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【特集】プラチナ相場は堅調、米利上げ停止観測によるドル安が支援 <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は3月、2月3日以来の高値1003ドル台をつけたが、金融システム不安によるリスク回避の動きを受けて上げ一服となった。ただ、4月に入り弱い経済指標が発表されると、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しによるドル安を受けて一段高となり、1023ドル台まで上昇した。

 米銀3行が破綻し、それがクレディスイスの信用不安という形で欧州に飛び火したことで、先行き懸念が強まった。しかし、スイスの金融大手UBSがクレディスイスの買収に合意したことで金融不安は一服した。また、破綻したニューヨークのシグネチャー・バンクやシリコンバレー銀行(SVB)の買収が発表されると、金融不安は更に後退した。ただ、米FRBの金融機関に対する貸出額が高止まりするなど影響は残っている。また、中小銀行からの預金流出も続いている。

 これに対しイエレン米財務長官は3日、「預金流出は減少しており状況は安定化しつつあるが、状況を注視している」と述べ、米財務省や米FRB、米連邦預金保険公社(FDIC)が取った措置によって銀行システムに対する信頼が強化されたとの見方を示した。3月後半に株高に転じたことはプラチナの下支えになった。

●米FRBの利上げ停止見通しも原油急伸の影響を確認

 3月21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、4.75~5.00%とすることが決定された。また、今年あと1回の利上げとされ、利上げ停止の見方が強まった。2月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.0%上昇と前月の5.3%上昇から伸びが鈍化した。CMEのフェドウォッチによると、5月3日の米FOMCでは金利据え置きの確率は58.3%となっている。

 一方、石油輸出国機構(OPEC)プラスは2日、5月から年末まで日量116万バレルの追加減産を発表した。原油が急伸しており、今後のインフレ高止まりにつながると、米FRBは高水準の金利を維持する可能性が出てくる。

 ただ、3月の米ISM製造業総合指数は46.3と事前予想の47.5を下回り、2020年5月以来の低水準となった。新規受注が47.0から44.3へ急低下し、景気の先行き懸念が高まった。また、2月の米雇用動態調査(Jolts)で求人件数が63万2000件減の990万件と2021年5月以来の低水準となった。今後発表される経済指標で金融不安の影響も確認したい。

●プラチナは大口投機家の買い越し拡大もリスク回避で手じまい売り

 プラチナETF(上場投信)残高は4月4日の米国で30.44トン(2月末31.62トン)、3日の英国で13.34トン(同14.08トン)、南アフリカで12.46トン(同10.64トン)となった。欧米で景気減速懸念を受けて投資資金が流出する一方、南アで安値拾いの買いが入った。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万0374枚(前週9526枚)に拡大した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化の見方を受けて2月21日に2905枚まで縮小したが、その後は買い戻されて拡大に転じた。ただ、金融不安でリスク回避の動きが出ると、手じまい売りが出た。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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