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【特集】ロシアの秘密兵器ソロキン氏、原油50万バレル減産に続く対応を模索か <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司
 来週4月3日、石油輸出国機構(OPEC)プラスの共同閣僚監視委員会(JMMC)が行われる。ロイター通信が産油国の関係筋の発言として伝えたところによると、日量200万バレルの減産目標に修正が加えられることはなさそうだ。米国や欧州の金融システム不安を背景に主要国の景気悪化懸念が強まったことがブレント原油やニューヨーク市場のウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)先物を2021年12月以来の安値圏まで一時押し下げたが、主要産油国は動じていない。OPECプラスによる日量200万バレルの減産は年内いっぱい続く見通しである。

 一方で、ロシアは今月から開始した日量50万バレルの自主減産を6月末まで継続すると発表した。米国や欧州連合(EU)など西側による制裁を受けても、ロシアの原油生産の下振れは限定的だが、ロシアのノバク副首相によると現在の市況を踏まえると減産を継続する必要があるという。同副首相は相対的に割安なロシア産原油の値引き縮小を目指していると述べている。

●“秘密兵器”ソロキン氏の手腕はいかに

 3月以降の減産について、パベル・ソロキン副エネルギー相は以前に相場を注視して決定すると述べていた。ロシアは石油を安売りする気はないとも語っていたことからすると、ロシアは石油価格が十分に回復するまで自主減産を継続するのではないか。

 ソロキン氏は米WSJがプーチン大統領の秘密兵器として紹介した人物で、エネルギーや金融市場の専門家である。ソロキン氏は米モルガン・スタンレーや露アルファ銀行、伊ウニクレディト、英アーンスト・アンド・ヤングなどでの勤務経験がある。2018年3月に副エネルギー相に就任しており、当時は32歳の若さだったことからすれば、次世代のロシアを担う有望株として期待されているのは間違いなさそうだ。このスペシャリストが単純に相場の下支えだけを念頭に置いているとは思えず、減産に続く次の動きがあると考えるのが妥当かもしれない。

●需給バランスの変化を見守る時期に

 日量50万バレルの減産によってロシアの輸出量がどれだけ減少するのか不明だが、この減産の影響を最も受ける可能性があるのがロシアの最上位顧客となった中国とインドである。割安なロシア産原油の供給が減少する分について、両国は必要であるならばその他の産油国から原油を手当する必要があり、指標原油とロシア産原油の価格差は縮まっていくかもしれない。

 中国のゼロコロナ政策が終了した後、北半球の需要期に石油消費はどれだけ上向くのだろうか。年初にかけては中国の感染爆発の記事が溢れかえっていたのが遠い昔のようであり、OPECプラスやロシアの減産を踏まえつつ、需給バランスの変化を見守っていく時期に入っていると思われる。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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