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【市況】国内株式市場見通し:米中発の材料多く、神経質な展開継続へ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■インフレ長期化懸念さらに強まる

今週の日経平均は週間で25.35円安(-0.09%)と小反落。週間では往って来いの展開となった。今週も26週移動平均線に上値を抑えられる形となったが、ローソク足は2本連続での陽線を形成した。

連休明け11日の日経平均は714.86円安と大幅下落。米9月雇用統計での失業率の低下など強い結果を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ加速への警戒感が強まり、米長期金利が上昇するなか、連日で下落していた米国株の動きを引き継ぐ格好となった。また、バイデン米政権が半導体の先端技術に関する中国への輸出規制を強化すると発表したこともリスク回避の動きを強めた。

12日は重要イベントを前に様子見ムードが強く4.42円安とほぼ横ばい。13日は159.41円安と連日で下落。米9月卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことで米9月消費者物価指数(CPI)に対する警戒感が高まったほか、9月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でFRBのタカ派な姿勢が確認されたことも重石となった。

ただ、週末14日は853.34円高と急反発。米9月CPIは総じて予想を上回ったが、コアCPIのピークアウト観測が広がり、米長期金利が低下に転じたほか、ドル高も一段落したため売り方の買い戻しが加速。ナスダック総合指数が+2.22%と7日ぶりに大幅反発となったことが安心感を誘い、東京市場でも短期筋の買い戻しに繋がった。

■金利上昇圧力に止む気配なし

来週の東京株式市場は弱含みか。米中の経済指標や米主要企業の決算などを睨みながらの神経質な状態が続きやすいだろう。

米10月ミシガン大学消費者信頼感指数における期待インフレ率は1年先が5.1%と9月(4.7%)から大幅に上昇し、5-10年先も2.9%と9月(2.7%)から上昇した。ガソリン価格の動向などに左右されやすいものの、高水準の期待インフレ率の定着を恐れるFRBには許容しがたい結果と考えられ、今後のFRB高官のタカ派発言に警戒したい。米10年債利回りは再び4%を超えてきており、フェデラルファンド(FF)金利の5%超えを指摘する意見も増えてきている中、一段の金利上昇圧力にも注意が必要だろう。

米FOMC議事録や米9月CPIなどの重要イベントを通過したとはいえ、来週も米国と中国を中心に注目度の高い材料が相次ぐ。中国では18日に7-9月期国内総生産(GDP)、9月鉱工業生産及び小売売上高が発表される。成都市でのロックダウン(都市封鎖)は9月中旬に全面的に解除されているため、数値としては堅調なものが確認されるだろう。ただ、依然として「ゼロコロナ」政策は続いている。結果に対する市場の反応からセンチメントを推し量りたい。また、16日からは5年に1度の中国共産党大会が開催されている。経済成長よりも国家安全保障を重視する姿勢に転換するとみられており、「ゼロコロナ」政策堅持の姿勢が強く打ち出されるとマーケットにはネガティブなものとなりそうだ。

米国では、今週末のJPモルガン・チェース、モルガンスタンレー、ウェルズ・ファーゴに続き、来週もゴールドマン・サックスの金融大手のほか、ネットフリックス、テスラ、アメリカン・エキスプレスなどの注目度の高い企業決算を控える。金融決算は景気動向の先行きを敏感に映し、テスラなどの個人投資家人気の高い企業決算に対する株価反応は投資家センチメントを計る材料となるため、注目したい。

19日に公表される米地区連銀経済報告(ベージュブック)も注目材料となる。株式市場の関心事はもはやインフレそのものではなく、遅行指標に基づいて後追いで利上げに邁進しているFRBによる政策ミスが引き起こす過度な景気後退や企業業績の悪化、ないしは金融市場の混乱へと移っている。前回のベージュブックから既に景気減速に言及する記述が散見されているため、こうした内容が一段と増えていれば、今後本格化していく7-9月期決算に対する事前の警戒感が高まりかねない。その場合、相場は再び下方向に振れるリスクが十分にあろう。

■中国小売売上高、米NY連銀景気指数、米住宅着工件数など

来週は17日に米10月ニューヨーク連銀景気指数、18日に中国7-9月期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、米9月鉱工業生産、米10月NAHB住宅市場指数、独10月ZEW景況感指数、19日に米9月住宅着工件数、米ベージュブック、20日に9月貿易収支、9月首都圏マンション発売、米9月中古住宅販売、21日に9月消費者物価指数などが発表予定。

《FA》

 提供:フィスコ

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