市場ニュース

戻る
 

【市況】米国株式市場見通し:主要企業決算が本格化


主要企業の四半期決算発表が始まり、結果が注目される。ドル高、高インフと同時に景気後退リスクの上昇で消費鈍化が懸念される中、企業の業績見通しに特に焦点をあてたい。また、金利動向やFRBの利上げを巡る思惑が相場を左右する状況が続くだろう。今週発表された重要インフレ指標が軒並み予想を上回ったため、従来想定された以上に大幅な利上げが織り込まれつつあり、金利高を警戒した売りが上値を抑制しそうだ。

特にFRBがインフレ指標として注視している9月CPIのコア指数は前年比で6.6%増と、40年ぶり最大の伸びを記録。FRBの掲げているインフレ目標2%の3倍にも及ぶ。FRBはインフレを抑制するために異例の大幅利上げを実施しているにもかかわらず、インフレが弱まる兆しは見られない。ガソリン価格は下落したものの、天然ガス価格の上昇で燃料価格も想定通り下落せず、インフレ高進を抑制するのは容易ではなさそうだ。市場はすでに11月FOMCに続く12月も5会合連続で0.75ptの利上げに踏み切ると予想し始めている。FRBは来年も利上げを継続し、来年3月までには政策金利であるFF金利誘導目標が4.8%近くまで引き上げられることが織り込まれている。来週はまた、住宅関連指標にも注目だ。9月の中古住宅販売件数は8カ月連続の減少予想で、2007年の住宅危機時以来で最長を記録する見込み。住宅市場がすでにリセッション入りしている新たな証拠が示されれば、これも相場の下押し圧力として働こう。

経済指標では、10月NY連銀製造業景気指数(17日)、9月鉱工業生産・設備稼働率、10月NAHB住宅市場指数、8月対米証券投資(18日)、9月住宅着工件数・建設許可件数(19日)、10月フィラデルフィア連銀景況指数、週次新規失業保険申請件数、9月中古住宅販売件数、9月先行指数(20日)などが予定されている。また、FRBは19日に地区連銀景況報告(ベージュブック)を公表予定。内容はFRBが11月FOMCで金融政策決定する上での参考材料となるため注目だ。特にサプライチェーンや物価動向、労働市場や消費動向に焦点をあてたい。

主要企業決算では、金融でバンク・オブ・アメリカ、バンク・オブ・NY(17日)、ゴールドマン・サックス(18日)、ブラックストーン(20日)が予定されている。そのほか、航空会社のユナイテッド(18日)やアメリカン(20日)、動画配信のネットフリックス、製薬会社のジョンソン・エンド・ジョンソン、防衛のロッキード・マーチン(18日)、消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル、ITのIBM、電気自動車メーカーのテスラ、油田製品会社のベーカー・ヒューズ(19日)、貨物輸送会社のCSXや鉄道会社のユニオン・パシフィック(20日)、加えて、通信のAT&T(20日)やベライゾン(21日)、クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレス(21日)、などが予定されている。

航空会社はパンデミックからの需要回復が強く、軒並み良好な決算を発表しており、アメリカンやユナイテッドの決算にも期待したい。また、航空会社のスピリットは19日に、同業ジェットブルーとの合併提案を巡り株主投票を実施する計画で、注目材料になりそうだ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均