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【特集】雨宮京子氏【日経平均の下値模索再び、思惑錯綜の市場を読む】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

―米長期金利や為替、地政学リスクなど不透明材料山積だが―

 週明け18日の東京株式市場は、日経平均株価が大幅続落し一時は500円超の下げで2万6500円台まで水準を切り下げる場面があった。底入れ後もなかなか戻りのリズムに乗れない展開が続いている。企業の決算発表も絡め、4月後半から5月ゴールデンウイーク明け後の相場展開がどうなるのか見極めにくい状況だ。全体相場の動向や物色の方向性について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「2万6000円台は買い下がる方針で」

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

 東京株式市場は日経平均が再び2万7000円大台を割り込む展開にあるが、先行き不透明ななかも押し目は積極的に買い向かって報われるとみている。ウクライナ情勢については依然として停戦に向けた動きが期待しにくく、長期化の可能性が高まるなか、一喜一憂の状態が続くことは避けられない。

 そうしたなか、マーケットの関心は3月決算企業の今期業績予想に向いている。外部条件としては急速に進む円安の影響が考慮され、企業業績に二極化をもたらす背景となる。ただ、プライム市場は輸出関連企業のウエートが高く、円安進行は差し引きでプラス材料と素直に考えておきたい。

 スケジュール的に注目されるのは、やはり5月のゴールデンウイーク中に開催されるFOMCであろう。ここでは50ベーシスの大幅な利上げに加え、量的引き締め(QT)の開始も想定されるところ。しかし、これを株式市場は織り込みつつあり、イベント通過後は日米株式市場ともに上値指向になる可能性が高いと考える。したがって、5月前半に下押す場面は買い場提供とみて強気に対処してみたいところだ。今年は「セル・イン・メイ」ではなく「バイ・イン・メイ」となる公算が大きいとみている。

 日経平均の向こう1ヵ月の見通しとしては、上値は3月の高値(ザラ場2万8338円)を通過点に、条件が揃えば2万9000円近辺まで浮上する可能性もある。一方、下値は地政学リスク次第のところもあるが、2万6000円ラインは下回らないとみており、2万7000円台を割り込んだ水準は買い下がるチャンスと捉えておきたい。

 個別株では直近IPO銘柄で値動きのよいサークレイス <5029> [東証G]や、二輪車用部品を手掛け超低PERのデイトナ <7228> [東証S]、バイオベンチャーで目先はファイナンス実施で需給思惑が浮上しているスリー・ディー・マトリックス <7777> [東証G]などをマーク。プライム市場の銘柄では、積層セラミックコンデンサーの世界トップで円安メリットも期待される村田製作所 <6981> [東証P]のほか、マリコンで洋上風力発電に強みを持つ東洋建設 <1890> [東証P]は、任天堂創業家グループによるTOBの可否に絡み需給相場に発展する可能性も内包している。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。

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