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【特集】脱炭素で一躍脚光、究極の輝き「ペロブスカイト太陽電池」特選株 <株探トップ特集>

次世代型電池としてペロブスカイト太陽電池が脚光を浴びている。官民を挙げて普及に向けた取り組みが加速するなか、関連有望株を探った。

―経産省機関と民間企業が力を結集、次なるエネルギー革命の一翼を担う電池はこれだ―

 世界的な脱炭素 への取り組みが加速するなか、クリーンエネルギーに関するアプローチも多極化している。再生可能エネルギーに関しても、これまでの延長線上ではなく常に新たな技術や可能性にマーケットの興味や関心が尽きない。その一つに挙げられるのがペロブスカイト太陽電池で、次世代型太陽電池として耳目を集めている。

●極薄で曲げられてコストも安い

 これはペロブスカイトと呼称される結晶構造の材料を用いたニュータイプの有機系太陽電池であり、従来のシリコン系太陽電池などと比べ薄型・軽量で曲げることも可能という特性を有し、低照度の環境でも発電効率が高い。厚みはシリコン系太陽電池の100分の1程度と非常に薄く、これまで困難だった自動車のボディーやルーフ、建物の壁面や窓などといった場所に設置できる優位性を持つ。また、小型のウェアラブル端末はもちろん、災害時のテントや簡易住宅(プレハブ)などにも応用が利く。そして、ペロブスカイト太陽電池の製造法はプラスチックやガラスなどの基板上に光吸収層となる材料を塗布し焼いて作るというシンプルな工程であるため、製造コストが安いのも大きな強みとなっている。

 政策的側面からも追い風が意識されている。脱炭素のテーマを背景に住宅への太陽光発電設備の設置義務化の思惑が底流しており、使い勝手がよく、高い性能を持つペロブスカイト太陽電池の活躍余地が広がっている。更に見逃せないのは、世界的に電気自動車(EV)シフトの動きが加速していることだ。同電池をEVの車体に設置することで日中であれば常に充電補助が可能となり、画期的に走行距離を伸ばすことなども可能となりそうだ。

●2050年に5兆円の巨大市場創出へ

 経済産業省機関である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、政府のグリーンイノベーション基金事業の一環として同電池の開発に事業全体で約500億円の支援を予定。このうち、基盤技術などの確立を目指す21年度から25年度までのプロジェクトを公募したなかで、東芝 <6502> [東証P]や積水化学工業 <4204> [東証P]、東京大学などの計6件に200億円の支援を発表している。

 ペロブスカイト太陽電池は現在、実証実験レベルで商業化ベースではほとんど市場と呼べるものはないが、NEDOの試算によると、2050年に約5兆円の市場に発展する可能性があり、これは太陽電池市場全体の半分を占める状況を意味している。

●パナソニックとNEDOが強力連携

 パナソニック ホールディングス <6752> [東証P]は次世代電池分野で高度な技術力と実績を有するが、NEDOのプロジェクトでも重要なポジションを担っている。ガラス基板の軽量化技術や、インクジェットを使った大面積塗布法を開発しており、これらの技術を用いて作製したペロブスカイト太陽電池モジュールで世界最高のエネルギー変換効率16.09%を実現した。

 会社側では「(太陽光発電分野は)当社が打ち出している『グリーンインパクト』というコンセプトのもとで積極的に取り組んでいる。価格競争の激しい太陽光パネルについては撤退したが、モジュールの方で展開を強めていく方針にある。ペロブスカイト太陽電池についても、住宅を含め今後中長期的にみて幅広い分野を対象に市場拡大が期待される」としている。最近では、同社のマテリアルズインフォマティクスの研究者が、ペロブスカイト太陽電池の開発にAIを活用し、材料特性の予測にかかる計算時間を従来比500分の1に短縮させたという実績も話題となった。今後も同社の開発力には注目が集まりそうだ。

●カギを握る京大発のスタートアップ

 独立系資産運用会社のスパークス・グループ <8739> [東証P]は、3月28日に昨年10月に設立された「未来創生3号ファンド」が、京都大学発のスタートアップでペロブスカイト太陽電池の開発を手掛けるエネコートテクノロジーズへの投資を実行したことを発表した。エネコート社はこの資金調達を活用し、ペロブスカイト太陽電池のパイロット設備の設置とともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に不可欠なIoTセンサーやウェアラブルデバイスの開発を加速させる計画。このほかKDDI <9433> [東証P]やニコン <7731> [東証P]の系列ファンドなどもエネコート社に出資している。

 エネコート社は、同電池の特性を生かし半導体商社のマクニカ・富士エレホールディングス <3132> [東証P]とも協業で、ペロブスカイト太陽電池を電源に使ったCO2センサー端末を開発しており、今月から試作品の出荷を開始。将来的には自動車のルーフへの設置などを目指し、カーボンニュートラルへの貢献を図っていく方針。

●トヨタ系部品メーカーのアイシンにも存在感

 アイシン <7259> [東証P]はトヨタ系の大手部品メーカーで、機能部品を中心に手掛け自動変速機では世界トップの実力を持っている。同社もペロブスカイト太陽電池の実用化に向け研究開発を進捗させている。会社側では「今はまだ実証段階で、実用化する際には自社工場などでの活用を優先させる。商業化はまだ先の話」とするが、筆頭株主のトヨタ自動車 <7203> [東証P]とは取引関係も厚いだけに、近い将来にEV搭載をにらんだ商品展開も考えられる。同社はペロブスカイト太陽電池の製造工程で、材料を均一に塗布するスプレー工法技術への取り組みを進めているほか、金属電極を使わずカーボンを塗布して電極を作る技術などを有し注目される。

 光学フィルターの大手であるフジプレアム <4237> [東証S]は精密貼合技術で優位性を持ち、パネルディスプレー関連分野で高い競争力を持つ。太陽電池はOEM供給を主軸に開発要素の大きい案件に注力し軌道に乗っている。ペロブスカイト太陽電池についてはエネコート社を生んだ京都大学とともに、今年3月まで協業体制で開発に取り組んだ実績がある。なお、同社は足もとの業績も絶好調で22年3月期営業利益は従来見通しを大幅増額し、前の期比2.3倍の7億100万円を見込んでいる。

●将来を見据え有望株ひしめく

 積水化学工業は、2050年に企業活動における温暖化ガス排出量ゼロを目標に掲げているが、省エネ住宅などへの取り組みをはじめクリーンエネルギー活用に意欲的だ。ペロブスカイト太陽電池については、脱炭素に向けたイノベーション製品として位置づけ、封止や成膜技術など同社独自のノウハウを駆使して開発を進捗させている。発電効率も徐々に高めることに成功しており、25年の商業化に向けた青写真を描いている。

 このほか、同関連で活躍が期待される銘柄としては塩ビ大手のカネカ <4118> [東証P]は要注目となる。同社は3月中旬に高性能ペロブスカイト太陽電池の実用化技術開発を加速させることを発表、今後の展開にマーケットの視線が否応なく集まりそうだ。

 また、堺化学工業 <4078> [東証P]の子会社で化学品の専門商社である堺商事 <9967> [東証S]は電子材料を取り扱うが、電子部品や燃料電池用途でペロブスカイト化合物を取り扱っている。フィルム用塗工装置メーカーで製品開発力に定評があるテクノスマート <6246> [東証S]もリチウムイオン電池向け装置で高い実績があり、会社側では「ペロブスカイト太陽電池用装置は、現在引き合い旺盛なリチウムイオン電池向けのノウハウと基本的に一緒であり、今は商業採算に乗らないが、市場が立ち上がれば対応できる」としている。

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