【市況】明日の株式相場に向けて=AI・半導体株逆襲で静かなる躍動に刮目
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより前週末18~19日に開催された日銀金融政策決定会合では政策金利の誘導目標を25ベーシス引き上げ0.75%とすることを決めた。もっとも相場はこれを事前に100%織り込んでおり、投資家の耳目はおのずと会合後の植田日銀総裁の記者会見に集中した。そこで植田総裁は中立金利の下限についての明言を避け、これが1ドル=157円台後半まで円安を加速させる背景となっている。他方、国内の新発10年債利回りは直近で2.100%まで急上昇。債券売りと同じ時間軸での円売り加速ということで、危険な債券安・円安の匂いを放つ。仮に株も急落となったらトリプル安で資金逃避のレッテルを貼られかねないところだったが、米株市場主導とはいえ、足もと株高で乗り切ったことはヤレヤレと胸を撫で下ろす結果となった。もっとも、植田総裁の記者会見がハト派的との見方で為替市場では投機的な円売りを誘発したわけだが、実質金利がマイナスという現状は、将来的な利上げ余地を覆い隠すことができない。債券市場の方は将来を見据えた動きとなっていて、為替との連動性が霧消している点は今後も火種として残りそうだ。
株式市場に目を移すと、半導体関連株の人気は完全復活とまでは言えないが、局地的ではあっても潮流に変化が出始めている。AIバブルに対する警戒論が大手を振るなかにあって、ショート戦略をとっている向きが多いという現実も念頭に置いておく必要がある。AI関連にとどまらず、投資家心理を弱気誘導する論調が強まる時は、その後ろ側で大口資金が空売りを積み上げているようなケースが少なくない。その結果、需給の歯車が逆回転して何度も踏み上げ相場が繰り返されてきたこともまた、紛れもない事実なのである。
AI・半導体関連ではソフトバンクGやアドテストなど、ド真ん中の銘柄に照準を合わせるのも一法だが、実質的に全体相場観と同じ目線となる。つまり、日経平均が5万円台で売り物に押し返されることなく、例えば最高値の5万2411円をにらみつつ上値を追うというようなイメージがなければ、安易には手を出しにくい。半導体関連でも全体相場に振り回されにくい「森より木」の観点で銘柄を探すのであれば穴株的要素を持つ銘柄に優位性があり、これは個人投資家の土俵ともいえる。
そうしたなか、静かなる躍動をみせている銘柄をいくつかピックアップしてみる。リガク・ホールディングス<268A>はX線技術を軸とした最先端分析ソリューションで世界トップクラスの実力を有するグローバル・ニッチトップだが、ウエハー検査などの半導体プロセス・コントロール機器事業で重要なポジションを担っておりチェックしておきたい。25年12月期は小幅減益を見込むが、26年12月期は高性能メモリー向け開発案件などを成長ドライバーに2ケタの利益成長で切り返す可能性がある。また、年初来高値圏で強調展開を続けるイノテック<9880>にも目を配っておくところ。自社での製品開発などメーカー機能も併せ持つ半導体商社で、東エレク型のビジネスモデルであり、業績も改善色が鮮明だ。26年3月期は営業利益段階で前期比46%増益を見込む。同社は防衛向けで納入実績が豊富な点もポイントとなる。
このほか、A&Dホロンホールディングス<7745>の戻り足に拍車がかかってきた。同社は先端半導体測定などに使われる電子ビーム技術への評価が高く、走査型電子顕微鏡を応用した主力商品のCD―SEMで大手半導体メーカーを中心とした需要を取り込んでいる。ニッチトップ企業という切り口では、半導体保護資材(スペーサーテープ)で世界シェア首位を誇るアテクト<4241>も動兆著しい。更に、半導体特殊ガス供給装置を手掛けるジャパンマテリアル<6055>は業績絶好調で、キオクシア関連銘柄でもあり、今の株価水準は拾い場となっている可能性が高そうだ。
あすのスケジュールでは、国際決済銀行(BIS)国際資金取引統計及び国際与信統計の日本分集計(9月末時点)が朝方取引開始前に開示されるほか、後場取引時間中に11月の食品スーパー売上高、11月の全国スーパー売上高が発表。また、基調的なインフレ率を捕捉するための指標が日銀から開示される。この日はIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にテラテクノロジー<483A>が新規上場する。海外では、12月開催分の豪中銀理事会の議事要旨が開示されるほか、米国で重要経済指標発表が相次ぎ、7~9月期の米実質国内総生産(GDP)速報値、10月の米耐久財受注額、10、11月の米鉱工業生産・設備稼働率、12月の米消費者信頼感指数などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS

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