【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「52週線を突破か、大きく突っ込むか?様子見も相場」
株式評論家 富田隆弥
◆米国の3月消費者物価指数は前年同月比8.5%上昇と40年3カ月ぶりの高い伸びとなり、生産者物価指数も同11.2%上昇と2010年11月の統計開始以来の高い伸びを記録。原油価格の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は3月に一時1バレル=130ドルを超えて13年8カ月ぶり高値を、また3月の世界食料価格指数は159.3と1990年の調査開始以来の高値を記録するなど、いま世界でインフレが加速している。
◆そしてインフレを背景に、米国や欧州だけでなくカナダ、ニュージーランド、韓国、シンガポールなど利上げに動き出す国が相次いでいる。こうしたなかで日本(日銀)だけが緩和を継続することで、為替市場では「円」の独歩安が鮮明となっている。13日には一時20年ぶりとなる126円台(対ドル)を記録した。
◆日米とも株式市場は3月下旬に戻り高値をつけたが、日経平均株価、NYダウ、ナスダックともに週足チャートは年初に割り込んだ52週移動平均線に戻りの頭を叩かれ、そこから2週間以上、調整を続けている。つまり、年初の下落で「陰転」したチャートはまだ下げ基調にあり、二段下げのリスクを抱えている状況にある。
◆日経平均株価は4月12日の2万6304円を下値に、13日、14日と続伸して2万7200円まで一時は切り返したが、割り込んだ75日移動平均線(14日時点2万7291円)までのアヤ戻しというレベルで、ポイントとなる52週移動平均線(同2万8275円)にはほど遠く、好転の兆しを確認できるレベルにはない。
◆調整を2週間以上続けていることで、「何か買いたい」と思う投資家が少なくないのだろう。4月8日現在の信用買い残は、押し目買いにより再び3兆円を回復した。だが、評価損率は-12.70%と悪化傾向にある。早急に2万8000円を回復しないと、3兆円の信用買い残が需給のシコリとなる懸念が強まりかねない。
◆地政学的リスク、インフレ懸念、日本はトリプル安(株安・円安・債券安)と難題山積の折、いま日経平均株価は中途半端な水準にあるといえる。厚い節目の52週移動平均線を突破するか、あるいは大きく突っ込むのか―そのどちらかに振れるまでは、無理はせず「様子見も相場」と考える。
(4月14日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース