【特集】利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第3弾 33社選出 <成長株特集>
電子材料 <日足> 「株探」多機能チャートより
本特集では、10月下旬から11月中旬までの決算集中期間に配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。
第1弾(12月16日配信)、第2弾(12月19日配信)に続き、今回は16日時点の時価総額が250億円以上700億円未満の銘柄を対象に、21年7-9月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、21年7-9月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している33社を選び出し、7-9月期実績の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、シンバイオ製薬 <4582> [JQG]。21年7-9月期(第3四半期)業績は、エーザイ <4523> との契約満了に伴い、昨年12月から自社販売へ移行した抗がん剤「トレアキシン」の販売が拡大し、経常利益は6億1700万円と四半期ベースで初めて黒字化した直前の4-6月期実績である500万円を大幅に上回って着地。3月に承認された難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の適応追加で患者数が増加したことに加え、新型コロナウイルスに対するワクチン接種の進展で高齢者の治療遅延が解消に向かったこともプラスに働いた。
2位に入った住宅資材商社JKホールディングス <9896> の7-9月期(第2四半期)経常利益は過去最高益を95.9%も上回る40.5億円に膨らんだ。持ち家着工戸数の増加を受けて建材需要が高まるなか、ウッドショックによる木材価格高騰の販売価格への転嫁を進めたことに加え、山梨合板工場の稼働率が上昇したことも利益拡大につながった。好決算を受けて、株価は16日に1994年7月以来、実に約27年5ヵ月ぶりの高値となる1184円まで上値を伸ばした。直近では利益確定売りに押されているが、予想PER5倍台と割安感が強く、見直し余地は大きいとみられる。
3位の恵和 <4251> はテレワーク需要が旺盛なノートパソコンやタブレット端末向けの中型液晶ディスプレー用光拡散フィルムや直下型ミニLEDディスプレー用複合拡散板の販売が好調だったほか、車載モニター向け光拡散フィルムの受注も増加し、7-9月期(第3四半期)は3四半期連続の最高益更新を果たした。11月26日には21年12月期の業績見通しと配当予想の大幅上方修正に踏み切っている。
続く4位の日本電子材料 <6855> はメモリーIC向けを中心に半導体検査用プローブカードの販売が大きく伸び、7-9月期(第2四半期)の経常利益は18.8億円(前年同期比4.8倍)と2四半期連続で過去最高益を更新した。好調な業績を背景に、株価は07年5月以来、約14年7ヵ月ぶりの高値圏に浮上している。今回の青天井リストも第1弾、第2弾と同様に、半導体をはじめとする旺盛な電子部品需要を取り込んでいる企業が目立つ。
電子部品に必要不可欠な水晶デバイスの大手メーカーである大真空 <6962> が8位、電源用ICと半導体受託製造を2本柱とするトレックス・セミコンダクター <6616> が10位、半導体製造装置向け継ぎ手を手掛けるイハラサイエンス <5999> [JQ]が18位、半導体検査用ソケット大手の山一電機 <6941> が27位、半導体向け超純水製造装置に強みを持つ野村マイクロ・サイエンス <6254> が32位にリスト入りを果たした。いずれも株価は頑強に推移しているが、なかでもイハラサイエと山一電機は予想PERが10倍前後と割安圏にあり、一段の上昇が期待される。
選出リストには、業績上方修正や決算発表を受けて上場来高値を更新した銘柄も多くみられる。6位にリストアップされたブシロード <7803> [東証M]の7-9月期(第1四半期)は「ヴァイスシュヴァルツ」「ヴァンガード」といったトレーディングカードゲームが好調だった。また、マーチャンダイジング部門の収益拡大に加え、広告宣伝費を中心とした販管費の抑制も寄与し、売上高、経常利益ともに過去最高を記録した。
22位にリスト入りしたバリューHR <6078> は働き方改革や健康指向の高まりを背景に、主力のバリューカフェテリア事業で健康関連サービスや特定保険指導の受託業務などが増加したほか、新型コロナウイルスワクチン接種支援収益の計上もプラスに働き、7-9月期(第3四半期)は3四半期ぶりの最高益更新を遂げた。11月22日には東京海上ホールディングス <8766> との資本業務提携も発表しており、株価は15日に上場来高値となる2837円をつけている。
このほか、7位のエムアップホールディングス <3661> 、12位の東計電算 <4746> 、14位のダブルスタンダード <3925> 、25位のシグマクシス・ホールディングス <6088> 、29位のデジタルハーツホールディングス <3676> が11月以降に株価は過去最高値を塗り替えている。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 7-9月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<4582> シンバイオ 12240 617 5 5525 1350 24 38.0
<9896> JKHD 95.9 4052 2068 55.8 9000 5776 5.3
<4251> 恵和 87.4 1132 604 215 3142 996 24.3
<6855> 電子材料 61.5 1880 1164 49.3 4244 2843 10.9
<6089> ウィルG 37.0 1570 1146 8.7 4410 4057 11.7
<7803> ブシロード 36.4 1669 1224 2.3 3100 3031 26.1
<3661> エムアップ 32.2 493 373 11.3 1300 1168 45.7
<6962> 大真空 28.6 1808 1406 11.1 5000 4501 21.4
<9386> 日本コンセプ 25.6 829 660 25.6 2573 2048 12.9
<6616> TOREX 24.8 1152 923 35.1 2700 1998 18.9
<3371> ソフトクリエ 24.3 1198 964 10.1 3575 3247 28.4
<4746> 東計電算 22.0 1286 1054 12.6 4123 3661 15.3
<9310> トランシティ 21.2 2283 1883 22.9 6500 5290 10.2
<3925> ダブスタ 15.7 523 452 53.6 1710 1113 37.0
<6050> イーガーディ 13.0 601 532 8.2 2207 2040 25.4
<7979> 松風 11.7 1124 1006 26.8 3199 2523 16.0
<6556> ウェルビー 11.6 664 595 26.4 2659 2104 19.8
<5999> イハラサイエ 11.2 1203 1082 10.7 3750 3389 9.4
<3984> ユーザーロカ 9.8 258 235 16 984 850 39.5
<5757> CKサンエツ 9.1 2809 2575 10.2 6500 5897 8.1
<9302> 三井倉HD 8.6 6102 5621 16.6 20100 17240 5.1
<6078> バリューHR 7.5 301 280 11.7 900 806 61.3
<9308> 乾汽船 7.2 3400 3173 121 10368 4700 6.4
<1968> 太平電 7.1 4505 4205 11.7 10700 9580 7.5
<6088> シグマクシス 5.1 738 702 15.5 2500 2164 37.2
<4674> クレスコ 4.8 1340 1279 2.4 4200 4101 15.0
<6941> 山一電機 4.4 1921 1840 31.1 5700 4348 11.1
<9795> ステップ 4.3 1263 1211 2.8 3692 3593 12.3
<3676> デジハHD 4.2 761 730 5.2 2100 1997 36.7
<8715> アニコムHD 4.1 911 875 19.7 3300 2758 28.4
<9619> イチネンHD 3.6 2438 2353 6.7 8020 7513 6.1
<6254> 野村マイクロ 2.9 1339 1301 17.7 4279 3636 15.8
<3937> Ubicom 0.8 257 255 25.9 1104 877 39.0
※ 2020年10月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
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