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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】FOMC通過まで方向感は掴みづらく、個別材料銘柄に注目

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「FOMC通過まで方向感は掴みづらく、個別材料銘柄に注目」

●オミクロン株と米金融政策を警戒、リスクオフムード強まる

 今週の日経平均株価は、前週末の大幅な下落の反動は限られ、荒い値動きの中で一時2万7500円台まで売られた。南アフリカで特定された新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)に対する懸念が高まっているほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言でテーパリング加速に向けた見解を示したことがポジション圧縮に向かわせた。

 また、中小型株についても、これまで強い基調を続けていたフロンテオ <2158> [東証M]がストップ安を交えて下落するなか、連鎖的に売られる銘柄も相次いだ。マザーズ指数は12月2日まで7営業日続落しており、個人投資家の需給状況も悪化した。

 来週は週末に12月限先物・オプション特別清算指数(メジャーSQ)を控えていることから、先物市場では限月交代に伴うロールオーバー中心の商いにとどまりやすく、引き続き方向感を掴みづらくさせよう。また、パウエルFRB議長の議会証言での発言は、12月14日~15日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)においてテーパリング加速を発表するための準備段階といったところだろう。テーパリング加速は既定路線ではあるものの、FOMCまではこうした報道に振られやすい状況が続く。

 一方で、今後IPOラッシュが始まるため、個人投資家の資金はIPO銘柄に集中しやすく、IPOが好調であれば換金した資金の再投資への期待が高まる。また、来週にも米ファイザー<PFE>の新型コロナウイルスワクチンのオミクロン株に対する効果について発表される可能性がある。仮に有効性が示されれば、楽観的なムードが台頭し、大きく売り込まれていた銘柄などは見直されそうだ。なお、今回の注目銘柄としては、個別に材料のある銘柄とした。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆大阪ソーダ <4046>
12月2日に、山形大学などと進めていた次世代リチウムイオン電池の共同開発で、同社の特殊ポリエーテルを用いたゲル状電解質により、高い安全性を示す半固体電池を開発したと発表。液漏れや発火など課題であった安全性を大幅に向上させ、充放電サイクル数の増加や充電時間の短縮といった高い電池性能を両立した。株価はこの発表を受けて急伸する場面が見られたが、PBRは0.7倍台と依然としてバリュエーション面で割安感が意識されやすく、見直し余地は大きいだろう。

◆ニチコン <6996>
今後、EV(電気自動車)化の流れが本格化することが確実な中、急速充電器の需要が一段と高まる可能性がある。また、11月16日に、リコー電子デバイスと共同で、環境発電を活用しワイヤレスかつ10年程度メンテナンスが不要なIoTアクセスポイントおよびエッジ端末システムを開発したと発表。設置が簡易であり、オフィスや店舗、災害現場、工事現場、工場、展示会場など様々な場所での活用が期待される。株価は10月5日につけた987円を底にリバウンド基調を継続しており、2月半ばの急落局面で空けたマド下限を捉えてきた。出来高の少ない真空地帯となるため、マド埋めから1月高値を意識したトレンド形成が期待されよう。

◆ミズホメディー <4595> [東証2]
妊娠検査薬、排卵日検査薬やインフルエンザウイルスキットなどの開発・製造・販売を手掛ける。11月30日には「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」(PCR法)を用いたインフルエンザウイルス核酸キットの国内製造販売承認を取得。株価は8月20日に付けた3705円を戻り高値に調整基調が続くものの、急伸前の水準まで下がってきたこともあり、仕切り直しのスタンス。

◆フリー <4478> [東証M]
クラウド会計ソフト「freee」を提供。11月12日に発表した2022年6月期第1四半期(7-9月)連結決算は、売上高が前年同期比52.5%増の33億9200万円、営業損益は5億100万円の赤字(前年同期は2億7200万円の赤字)だった。予想通りの内容ではあったものの、株価は75日移動平均線を越えられず、その後も調整を継続しており年初来安値を更新。トレンドは弱いものの、クラウドERPの普及余地は大きいと見られ、リバウンド狙いのスタンスで注目。

◆エイジス <4659> [JQ]
チェーンストア・流通小売業向けに在庫金額・数量を確定する商品棚卸サービスを主力とする。10月28日に発表した2022年3月期第2四半期累計(4-9月)連結決算は、売上高が前年同期比3.5%減の126億8300万円、営業利益は同12.0%減の18億2100万円だった。減益ではあるものの、緊急事態宣言の発出や感染症対策により棚卸サービスの発注を中止していた顧客からの受注状況が回復傾向にある。株価は4月20日につけた4100円を高値に調整トレンドを継続しているが、11月11日の2741円を安値に足元でリバウンドを見せてきている。

2021年12月3日 記

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