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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「年末相場に冷や水を浴びせたオミクロン」

株式評論家 富田隆弥

◆仕事の打ち合わせで久しぶりに丸の内に行った。店を出たらなんと別世界、イルミネーションが灯るファンタジーな世界になっていた。しばし時を忘れ見とれてしまったが、そう、世間はもう師走、クリスマスに向け心ときめかす時なのだ。

◆株式市場もクリスマスラリーに期待を抱かせるように盛り上がっていてもおかしくないところだが、突如現れた「オミクロン株」が台無しにした。日本株も米国株も急落し、チャートは甘い期待を抱くには難しい雰囲気になってきた。

日経平均株価の日足は2万9000円近辺にある25日、75日、200日の各移動平均線を大きく下回り、週足も26週移動平均線(2日時点2万8704円)に続き、昨年から下値を支持してきた52週線(同2万8703円)を割り込み、「調整入り」懸念を強めている。

◆騰落レシオが2日時点で61.2%と、底値とされる75%を割り込み、昨年4月以来の水準に低下した。ここまでくると日経平均株価はいつ反発してもおかしくないが、日足チャートを好転させるには少なくとも移動平均線の集まる2万9000円処を突破しなければならず、それまでは「アヤ戻り」という捉え方になる。

◆信用買い残が11月26日時点で3兆7401億円と前週比で1608億円増加した。投資家の旺盛な押し目買い意欲が窺えるが、3兆7401億円は14年2カ月ぶりの高水準で、評価損率は-9.66%(10月22日時点-7.30%)とジワジワ悪化中である。年初来安値銘柄が550を超えてくるなど個別株は厳しい状況にあり、下落に伴い「見切り売り」が出やすくなっていると言える。

NYダウなど頼みの米国株もチャートは芳しくなく、調整入り懸念が漂う。パウエルFRB議長は「インフレ懸念」に加え新変異株「オミクロン」の登場により難しい舵取りを強いられるが、クリスマスを控えて“パウエルマジック”でこの難局を乗り切るものと期待したい。

◆日本株にも株高の師走アノマリー(経験則)がある。だが、相場は流れに従うのが基本だ。日経平均株価がもし8月20日安値の2万6954円を割るなら、昨年3月安値から続く上昇基調に終止符を打つことになるので、個別株は意地を張らず、いったん手を空かして様子見とすべきだろう。師走相場に期待しながら、「陰転ポイントを忘れず」にということだ。

(12月2日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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