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【市況】明日の株式相場に向けて=「新庄効果」が生み出すマネーフロー

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 週明け8日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比104円安の2万9507円と続落。米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合指数、S&P500指数いずれもつむじ風に巻かれるような急勾配の上昇トレンドを形成している。対して東京市場は一体何を躊躇しているのかと思わせるような鈍い値動きである。2万9000円台半ばでのもみ合いを継続中だが、ここで3万円大台ラインが高い壁となって戻り売り圧力に押し返される明確な理由は見当たらない。きょうは下げ幅こそ100円強にとどまったが、2万9500円トビ台で着地し地味に安値引けとなった。

 足もとの日本株が上昇トレンドを確立できない背景を考えた際に、現象面では外国人の買いが入らないということが挙げられる。しかしその場合は、欧米系の機関投資家が出遅れ顕著な日本株市場に対し水準訂正妙味を感じていない、いわゆるリターンリバーサル狙いの買いを入れにくい何らかの理由があるはずだ。その理由について、複数の市場関係者に聞いてもはっきりした答えは返ってこない。

 これまでは新型コロナ対策の失敗や政局不安が日本株を買わない理由として挙げられていたが、今はどうか。新型コロナは驚異的ともいえるスピードで収束し、岸田新政権は衆議院選挙で議席数の減少を考え得る最小限にとどめ、むしろ自民党の求心力は高まった。日本固有の問題ではなく、アジアを一括りにしてみた場合にディスアドバンテージがあるとすれば、それは中国の不動産バブル崩壊懸念だ。恒大集団がスケープゴートとなっているようだが、他にも経営が立ち行かない不動産会社が多数出ている。

 しかし、アジア株が総じて弱いかというと決してそんなことはなく、台湾やインドネシア、ベトナム、シンガポールなど上値指向が強い。中国との経済的つながりの大きい欧州でもフランスやドイツが史上最高値圏を駆け上がる展開にある。いうまでもなく恒大ショックに身構えるのは日本だけではない。

 日経平均は前週のはじめに750円あまりの急騰をみせた。「これは衆院選を前に積み上げられたヘッジ目的のショート(空売り)が一気に巻き戻されたことが反映された。しかし、それに続く実需買いがない状態。おそらく岸田政権の次の一手をみているのではないか」(中堅証券ストラテジスト)という。例えば現在、俎上に載っている18歳以下に一律10万円支給という政策は、政権公約に掲げた公明党の子育て支援策に準じた流れだが、「これには財務省が難色を示し、所得制限を設けるというようなお決まりのコースで、小規模にまとめようとする圧力が働いている。いつまでたっても財務省に支配された小出しの政策が、日本の弱みとして嫌気されているのではないか」(同)と指摘する。

 個別株も決算発表絡みで目先やりにくい相場であるのは事実。ゼット<8135>は11日決算発表を控えるだけに、そこを通過してからの参戦が望ましいが、足もと動意含みであることは確かだ。日本ハムの新監督に就任した新庄剛志氏は、16~17年間にわたり「ゼットの同じグローブを使い続けた」というエピソードは面白い。直近、日本ハム<2282>の株も上昇したが、エンターテイナーとしての新庄効果は思った以上に大きい。

 秋深まる中、ストーブリーグのプロ野球が話題の中心となるのも、アフターコロナで人心が変化してきていることと無縁ではない。イベント関連に改めて視線が向かう可能性がある。そのなか連続上ヒゲ陰線を形成しながらも、しぶとく下値を切り上げるレイ<4317>に着目。デジタル全盛時代とはいえ、やはりイベントはリアルで行われる方が広告を打つ側にとっても気合が入る。同社株は週足で見れば底値ボックス圏離脱のチャンスに映る。

 あすのスケジュールでは、9月の毎月勤労統計調査、10月の景気ウォッチャー調査、30年国債の入札など。また。東証2部に日本調理機<2961>が新規上場する。国内主要企業の決算発表では明治ホールディングス<2269>、キリンホールディングス<2503>、東レ<3402>、日産自動車<7201>、NTTデータ<9613>などが挙げられる。海外では11月のZEW独景況感指数、10月の米生産者物価指数(PPI)、米10年債の入札など。米国主要企業の決算発表ではドアダッシュ<DASH>、コインベースグローバル<COIN>などが予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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