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【特集】雨宮京子氏【米株絶好調も鈍い日経平均、個別株をどう攻める】(2) <相場観特集>

雨宮京子氏(雨宮総研代表)

―最高値圏走るNYダウ、ナスダック指数との差は埋まるか―

 週明け8日の東京株式市場は、朝方は買いが優勢で日経平均株価は高く始まったが、その後は上値の重い展開となりマイナス圏に沈んだ。下値では押し目買いが入り下げ幅も限定的ではあったが、絶好調の米国株と比較して上値の重さが目立つ。果たして日経平均は米国株に追随して今後上値追いが見込めるのか、それとも冴えない地合いが続くのか。先読みに定評のある市場関係者2人に今後の相場見通しと個別株戦略について意見を聞いた。

●「目先強弱観対立も早晩上放れへ」

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

 東京市場は足もとこそはっきりしない動きが続いているが、米国株が急速に上値追い指向を強めるなか、早晩これにキャッチアップする動きが期待できる。11月相場は過去の実績から上がりやすい月であるほか、今回は「選挙後の向こう3ヵ月は株が高い」というアノマリーにも該当し、徐々に先高ムードが醸成されることになろう。

 岸田政権は、当初は金融所得課税強化を図るという思惑がクローズアップされ株式市場にネガティブな影響を与えたが、実際に株式市場に対して向かい風となるような政策を前面に押し出すようなことは当面考えにくい。むしろ足もとでは数十兆円規模の経済対策を掲げるなど、財政を投入して日本経済の再生に尽力する構えを明らかにしている。半導体生産工場の建設に補助金を出して海外大手メーカーを誘致する姿勢をみせるほか、直近では18歳以下に一律10万円の現金給付を行う計画など、矢継ぎ早に政策を打ち出しており、早晩マーケットでもこうした動きを評価する流れとなりそうだ。

 今月末の日経平均の下値についていえば月初(1日)の始値である2万9330円を下回る可能性は低いと考えている。途中下値を模索する局面があったとしても13週移動平均線の2万9000円近辺が下値抵抗ラインとして機能しそうだ。一方、上値については9月14日につけたザラ場高値3万795円を上回るケースが想定される。

 個別では、まず半導体関連に着目。台湾TSMCの半導体工場建設に携わることが注目されるソニーグループ <6758> のほか、半導体、自動車関連ビジネスの今後に期待が大きい日清紡ホールディングス <3105> は上値妙味がある。また半導体ウエハー容器を製造するミライアル <4238> も注目できる。このほかでは、米長期金利上昇が追い風となる三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> も押さえておきたい。更に、アフターコロナ関連ではホテル事業に先行きGoToトラベルの復活が強力な追い風材料となる共立メンテナンス <9616> や、店舗物件の転貸借事業を手掛けるテンポイノベーション <3484> をマークしておきたい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。

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