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【特集】人手不足解消が緊急課題、飛躍期迎える「パワーアシストスーツ」関連株 <株探トップ特集>

経済活動が徐々に再開するなか、今後深刻化するとみられるのが労働力の不足。そこで再び関心が高まっているのが、作業負担を軽減できるパワーアシストスーツだ。

―アフターコロナに向け労働力が足らない、作業負担の軽減需要は拡大へ―

 政府は新型コロナウイルス対策で19都道府県に発令していた「緊急事態宣言」と8県への「まん延防止等重点措置」を9月30日をもって全面解除し、経済活動の正常化に向けてかじを切った。岸田首相はワクチン接種証明や陰性証明を組み合わせた「ワクチン・検査パッケージ」を使った行動制限緩和策を広げていく構えをみせているが、課題のひとつが経済活動の担い手を確保することで、日本に先駆けて経済正常化に動いた欧米では人手不足が深刻化している。特に建設や物流、医療・介護といった重労働を強いられる業種は以前から人手不足が常態化しており、そこで再び関心が高まっているのが人の動作を支援する「パワーアシストスーツ」だ。

●国交省は普及後押し

 パワーアシストスーツとは、電動アクチュエーター(駆動装置)や人工筋肉などの動力を用いて人間の機能を拡張・補助する装置のこと。高齢者や脳卒中患者の歩行訓練補助など人体の動きをサポートする「自立支援型」と、介護現場での移乗介助(ベッドから車イスなど、被介護者の移動を助ける作業)や工場・倉庫での運搬など作業者の重労働を補助して身体的な負担を軽減する「作業支援型」に大別される。

 国土交通省では、建設施工現場の生産性向上の実現、苦渋・危険作業からの解放や継続的な技術革新により、建設産業の魅力を高め、女性・若年層が活躍しやすい環境を実現することを目的として、人力作業へのパワーアシストスーツの早期社会実装に向けて環境整備を推進中。今年度は導入効果が期待できる建設作業の9工種(かご工、鉄筋組工、張芝工、ブロック敷設、プレキャストL形側溝据付、コンクリートブロック設置、法面石材敷設、コンクリート打設、地質調査・ボーリング)と、災害対応の1工種(排水ポンプの設置作業)で技術検証を実施予定であり、直轄工事でのパワーアシストスーツ導入に向け技術公募(公募期間は9月30日から10月29日まで)を行っている。

 今夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックで、パナソニック <6752> のパワーアシストスーツが利用されるなど用途先は一段と広がっており、今後の市場規模拡大が見込まれる分野として関連銘柄に目を配っておきたい。

●関連企業の商機拡大へ

 ユーピーアール <7065> [東証2]は2010年からパワーアシストスーツの開発に携わり、自社開発製品から他社製品の代理販売も含め多くの販売実績を誇る。21年2月からはビックカメラ <3048> 及びコジマ <7513> の一部店舗で「サポートジャケット Bb+FIT」の販売を開始し、6月には取り扱い店舗が152店舗に拡大。同事業の売上高は21年8月期に前の期比16%増の1億7400万円に伸び、22年8月期は前期比61%増の2億8000万円を見込んでいる。

 CYBERDYNE <7779> [東証M]は04年に筑波大学発ベンチャーとして設立されて以来、革新的な技術を駆使したロボットスーツ「HAL」の開発とその社会実装に取り組んでいる。直近ではオーストラリアTGA(保健省薬品・医薬品行政局)から医療用「HAL」単関節タイプの医療機器承認を取得。既に日本や米国、欧州連合(EU)では取得しているが、アジア太平洋州ではマレーシアやタイなどの東南アジアに続くものであり、更なる世界展開が期待されるところだ。

 菊池製作所 <3444> [JQ]グループのイノフィスは腰の補助に特化した「マッスルスーツ」の販売を14年から開始し、今年4月末には国内外をあわせたシリーズ累計出荷台数が2万台を突破した。直近ではオーダーメイドユニフォームを企画・製造するソーイングボックス(群馬県館林市)と業務提携し、同社の顧客基盤(医療・介護、農業、飲食、観光宿泊、物流など)を活用したマッスルスーツの販売を行うことを明らかにしている。

 朝日インテック <7747> 子会社のトヨフレックスは、作業支援を目的とした無電力で使用できる腰アシストスーツ「Way-sist」を手掛けている。椅子に座った状態から立ち上がる際の補助をはじめとして、荷物の上げ下ろし、中腰・前傾姿勢時の腰椎・脊柱起立筋・大腰筋など腰回りの負担軽減が行え、アシスト力の発生にはゼンマイバネとワイヤーロープを用いているだけで、電源などの外部動力を必要としないことが特徴だ。

 ジェイテクト <6473> は新規事業のひとつとして介護・福祉分野に注力しており、今年3月には自立推進トレーニングロボット「J-Walker テクテック」と衣服型パワーアシストスーツ「J-PAS fleairy(フレアリー)」を市場投入した。フレアリーは動きを検知してモーターでアシスト力の調整が可能となるタイプで、複合的な連続する作業動作に対応。フレーム構造を持たないベルト巻き上げ式により大幅な軽量化を実現しているという。

●日電産などにも注目

 このほかでは、子会社がマッスルスーツを取り扱っているレスターホールディングス <3156> 、アシストスーツ「DARWING Hakobelude(ダーウィン ハコベルデ)」の日本パレットプール <4690> [JQ]、農業向けパワーアシストスーツ「WIN-1」のクボタ <6326> 、グループ会社が腰部サポートウェア「rakunie(ラクニエ)」を販売するモリタホールディングス <6455> 、パワーアシストスーツに使用されるモーターを提供する日本電産 <6594> 、無動力歩行アシスト「aLQ(アルク)」を手掛ける今仙電機製作所 <7266> 、作業アシストスーツを展開するキングジム <7962> 、各種製品を扱うユアサ商事 <8074> にも注目したい。

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