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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:東エレクやエヌビディア決算、4-6月期GDP速報値、3週ぶりのIPOなど

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し


予想レンジ:上限28500-下限27500円


来週の日経平均はもみ合いか。企業決算の発表が一巡し、決算トレードの動きも徐々に落ち着こう。外部環境の不透明要因を抱えるなか、全体の方向性は引き続き明瞭さに欠けることが想定される。


日本国内で連日過去最多を記録する新型コロナウイルスの新規感染者数を受け、東京都のモニタリング会議では専門家から「災害レベルで猛威を振るう非常事態」と強い危機感が示された。一方、新規感染者数は英国がピークアウトし、米国も足元がピークとの見方があるもよう。日本でも間もなくピークを迎えるとの声が聞かれ、経済活動正常化への期待は根強い。しかし、少なくとも新規感染者数の増加ペースが加速しているなかでは、海外投資家による本格的な日本株の買いは期待できない。


また、今週に発表された世論調査では、政権支持率がついに30%を切ったことが判明。2012年12月に自民党が政権復帰して以来の低水準だ。政権求心力の更なる低下は海外投資家の手控えムードにつながる可能性が高い。衆院選に向けて、今後は追加の経済対策への期待感も出てくるとの指摘も聞かれるが、現状、規模としては30兆円ほどとみられている。昨年度予算が30兆円も繰越金として未消化のまま残っていることなどを踏まえれば、インパクトや目新しさには欠ける。


他方、日経平均は今週、長らく頭を抑えられていた200日移動平均線を超え、心理的な節目の28000円台で定着しようとする動きも見られた。8月第1週からはクレディ・スイス証券が先物手口で断続的に買い越してくるなど、売り方の買い戻しも徐々に見られてきている。結局、好悪材料が混在するなか全体的には方向感の乏しさが継続しそうだ。


そのほか、来週は4-6月期GDP(国内総生産)速報値や米中の小売売上高、鉱工業生産など経済指標の発表も多い。指標を受けてからの国内での経済対策動向や米長期金利の動きにも注目したい。


週初16日には東京エレクトロン<8035>、18日には米エヌビディア、19日には米アプライド・マテリアルズなど、国内外で注目の半導体関連株の決算発表が予定されている。足元、半導体関連株が再び軟調に推移している折でもあるため、決算内容と株価反応に注目したい。


そのほか、決算発表が一巡してきたため、好決算ながら出尽くし感などで売られていた銘柄が見直されやすいタイミングでもあろう。高進捗率ながら上方修正がなかったがために売られた銘柄などについては、押し目買い妙味があると考える。


■為替市場見通し


来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の早期縮小への期待は持続し、リスク回避的なドル売りがさらに拡大する可能性は低いとみられる。直近の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は予想外の増加を記録し、失業率は一段と低下した。一方、7月消費者物価コア指数(コアCPI)の上昇率は市場予想と一致し、8月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は急低下したことから、長期金利の上昇は一服した。来週発表される7月小売売上高が市場予想を下回った場合、個人消費の鈍化が意識される可能性があるため、長期金利はさらに低下し、ドル安要因となりそうだ。


ただ、新型コロナウイルス変異株の感染拡大は米国以外の主要国の経済活動にも大きな影響を与えることから、欧州中央銀行(ECB)や豪準備銀行(中央銀行)は現行の金融緩和策を2022年以降も継続する可能性が高い。また、今月26-28日に米ワイオミング州で開催されるジャクソンホール会合に向け、FRBの資産買入れの段階的縮小(テーパリング)開始への観測は根強く、8月18日に公表される連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で金融緩和策の早期縮小について肯定的な意見が多く含まれていた場合、ドルは底堅い動きとなる可能性がある。


なお、米国株式市場では、ダウ工業株30種とS&P総合500種が終値ベースの最高値を更新しており、米国株式の強気相場が日本、中国、欧州諸国の株式市場に波及した場合、リスク選好的な円売りが増える可能性があることはドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。


■来週の注目スケジュール

8月16日(月):GDP速報値(4-6月)、決算発表:東エレク、中・鉱工業生産指数(7月)、中・小売売上高(7月)、中・不動産投資(7月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(8月)、など
8月17日(火):決算発表:パンパシI、米・小売売上高(7月)、米・鉱工業生産指数(7月)、米・NAHB住宅市場指数(8月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がタウンホール会議を開催、米・決算発表:ウォルマート、など
8月18日(水):貿易収支(7月)、コア機械受注(6月)、米・住宅建設許可件数(7月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月27~28日会合分)、米・決算発表:エヌビディア、シスコシステムズ、テンセント・ホールディングス、など
8月19日(木):首都圏新築分譲マンション(7月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(8月)、米・決算発表:アプライド、など
8月20日(金):シイエヌエスとフューチャーリンクネットワークが東証マザーズに新規上場、など

《YN》

 提供:フィスコ

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