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【市況】米国株式市場見通し:小売り決算に注目


小売り決算や最新7月の小売売上高に注目したい。総小売売上はパンデミック前の水準を上回っており、消費が引き続き景気回復をけん引するだろう。

新型コロナウイルスデルタ変異株流行で、一部の州では流行を抑制する対策が再び導入されている。カリフォルニア州ではすでに屋内でのマスク着用が義務化されたが、ニューヨーク州でも来週から、ジムの利用や店内飲食において、ワクチン証明が必要となる。回復を抑制するとの懸念も浮上すると同時に、専門家によると、国内の新型コロナウイルスデルタ変異株流行は1,2週間でピークに達するとの見解も。景気循環株も今週底入れした可能性があり、今後の相場上昇をけん引することになりそうだ。バイデン政権も、新型コロナ感染件数に横ばいの兆候が見られるとの見解を示している。唯一、季節的に利益確定売りが強まることがリスクになりそうだ。

新型コロナ再流行は回復を遅らせる可能性はあるが、成長を脱線させる可能性は少ないだろう。インフレの上昇や労働市場の早い回復で、FRBによる速やかな緩和縮小への思惑が強まる一方で、金利はかなりの期間、低水準で維持されると見られ、相場を大きく混乱させることはなさそうだ。他の資産に比べ、株が引き続き魅力的となる。

FRBのパウエル議長は17日に教育者とのタウンホール討論会を主催、様々な質問に回答する予定。経済や金融政策に関し言及する可能性は少ないが、注目したい。

経済指標では、8月ニューヨーク連銀製造業景気指数(16日)、7月小売売上高、7月鉱工業生産、6月企業在庫、8月NAHB住宅市場指数(17日)、7月住宅建設許可件数、住宅着工件数(18日)、新規失業保険申請件数、8月フィラデルフィア連銀景況指数、7月先行指数(19日)、などが予定されている。そのほか、FRBは7月FOMCの議事録を公表する予定。FRBはこの会合で、市場の予想通り、主要政策金利となるFF金利誘導目標を0.00-0.25%に据え置き、米国債の保有を少なくとも月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を少なくとも月400億ドルそれぞれ増やす量的金融緩和策を維持した。声明では一過性要因が影響しインフレが上昇していると繰り返した。経済や雇用活動は、目標達成に向けて一段と前進したと判断を引き上げた。同時に、完全な回復にはいたっていないと、慎重だ。緩和縮小を巡り時期や構成に関しての協議を開始したが、決定、公約にはいたっていない。議事録で議論の詳細が明らかになる。資産購入策の行方は、8月の雇用統計や、デルタ株の展開次第となりそうだ。

企業決算では、小売りのウォルマート、ホームセンターを運営するホームデポ(17日)、半導体メーカー、エヌビディア、ソフトウェア開発のシスコシステムズ、ホームセンターを運営するロウズ、ディスカウント小売りのターゲット、衣料品小売りのTJマックス、パーソナルケアメーカー、バスアンドボディワークス、女性用衣料、アクセサリー小売りヴィクトリアズ・シークレット、子供服小売りのチルドレンズ・プレイス(18日)、化粧品メーカーのエスティ・ローダー、衣料ブランドのタペストリー、百貨店のコールズやメーシーズ(19日)、履物販売のフットロッカー、農機具メーカー、ディア(20日)などが予定されている。また、手数料ゼロの株式取引アプリを運営するロビンフッドは18日に上場後初めての決算を発表する予定で市場の注目が集まりそうだ。

小売りは、パンデミック前の水準を回復しているため、決算への期待も大きい。経済の再開に伴い、消費は物からサービスに移行しているが、化粧品関連、女性、子供用衣料の売り上げは引き続き好調と見られ、期待したい。半導体メーカーのエヌビディア決算も強い結果が期待できそうだ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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