【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─日経平均は2万8000円水準で保ち合い、個人主体の中小型株物色が中心に
RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一
「日経平均は2万8000円水準で保ち合い、個人主体の中小型株物色が中心に」
●週初の東京エレクトロンの決算反応を見極め
日経平均株価はこう着感の強い展開ながら、緩やかなリバウンドをみせ、約1カ月ぶりに2万8000円を回復してきた。主要企業に好決算が目立つことがセンチメントを改善させている。また、米国ではバイデン政権が進めるインフラ法案が上院で可決されたほか、良好な経済指標の発表などが相次ぐなかで、株式市場で強い動きが続いていることも安心感につながっているのだろう。
もっとも、新型コロナウイルスの感染拡大が警戒され、売買は決算を手掛かりとした個別物色にとどまっている。また、ここにきて半導体株に対する利益確定が強まるなど、成長株から割安株へのシフトが目立つ。東京エレクトロン <8035>など指数インパクトの大きい値がさ株の弱い値動きによって、日経平均株価の上値も抑えられている格好であり、2万8000円水準での攻防が続くとみられる。
決算発表もほぼ一巡したことで、来週は手掛かり材料に欠ける展開となる可能性がある。お盆休みにより機関投資家の売買は膨らまず、米国市場の動向に振られやすい需給状況になりそうだ。短期のヘッジファンドなどが大きく仕掛けてくることは考えづらく、個人投資家を主体とした中小型株物色が中心となろう。その中で、業績に安心感があるものの調整が続いている銘柄などを見直す動きに期待したい。一方、短期資金が中心となりやすいため、足元で強い値動きが続く銘柄に対しては順張りでの短期値幅取りといった方向に物色が分かれそうだ。なお、週初には東京エレクトロンの決算が予定されている。決算後の反応次第では成長株から割安株へのシフトに一段と影響を与えそうである。
●来週の活躍期待「注目5銘柄」
◆ラクス <3923>
企業の業務効率化、高付加価値化に貢献するクラウドサービス(SaaS)を、自社で企画・開発・販売している。2021年3月期の売上高を基準に2022年3月期から2026年3月期の5年間で、CAGR(年平均成長率)25%~30%成長を目指す。足元ではクラウド事業で「楽楽明細」の新規受注が好調であるほか、他の主要サービスも堅調に推移。株価は7月13日につけた3500円をピークに調整しているものの、高値圏で保ち合いを続けており、需給は悪くないだろう。保ち合いレンジからの上放れに期待したい。
◆KADOKAWA <9468>
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた2020年から書籍市場が回復を見せているほか、電子書籍・電子雑誌は高成長を継続。また、アニメ「蜘蛛ですが、なにか?」「聖女の魔力は万能です」など映像化作品に対する需要は高い。今期のレンジ予想では、営業利益(下限)は前期比26.6%減を見込むが、第1四半期の対通期進捗率は6割近いため、減益幅の縮小が期待される。株価は利食いを交えながら強いトレンドを継続。
◆rakumo <4060> [東証M]
グループウェアの「Google Workspace(グーグル・ワークスペース)」やCRMの「Salesforce(セールスフォース)」とシームレスに連携するクラウド拡張ツールを提供。クライアント数(利用社数)は毎期堅調に増加。2020年に2000社を達成し、第2四半期(4-6月)には2125社に。株価は2月15日につけた2520円を高値に調整を続けており、8月10日には上場来安値1222円をつけている。トレンドは弱いが、直近で25日移動平均線を捉えてきたことで、いったんはリバウンドを想定。
◆コクヨ <7984>
新型コロナ禍で オフィス需要の動向が注目されたが、オフィスのリニューアルという形で新たな需要が動き出している。ニューノーマル(新常態)における働き方の変革を受けて、サテライトオフィス向けの需要が増えてくる可能性もありそうだ。株価は1800円水準で続けてきた高値保ち合いを上放れてきている。
◆ネクステージ <3186>
新車・ 中古車販売大手。半導体不足が自動車メーカーの減産という形で影響を与えるなか、中古車需要が高まっている。半導体不足は長期化するリスクもあり、引き続き中古車に対する引き合いは強まりそうだ。また、今後、電動化の動きが加速することで、買い替えに伴う中古車市場への流入量も増えてくる可能性がある。中古のEV(電気自動車)需要も期待される。株価は高値圏での保ち合いが続く中、25日移動平均線にサポートされてリバウンド基調にある。
2021年8月13日 記
株探ニュース