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【特集】新・国策銘柄に照準!「大型経済対策」観測に描く夏相場シナリオ <株探トップ特集>

足もとの株式相場は「新型コロナ感染拡大」と「政局不安」が上値を抑えている。そんななか、今夏には「大型経済対策」が打ち出され相場を押し上げるとの期待が強まっている。

―総選挙を視野に30兆円規模の補正予算も、「国土強靱化」「DX」「脱炭素化」に妙味-

  東京五輪が開幕し、日本選手の活躍が連日の話題となるなか、海外ではNYダウが最高値を更新するなど上昇基調を強め、東京市場でも日経平均株価は2万8000円前後に値を戻し上値を試す状況にある。ただ、米国などに比べ、東京市場の上値が重い展開が続く。その背景には、新型コロナウイルス感染拡大に加えて政治要因がある。今秋にかけて衆院選があることから、政局は今後の大きなテーマとなる。そんななか、今夏には補正予算策定に基づく大型経済対策が打ち出され、それが相場の転機となるとの観測が出ている。

●日経平均株価は出直り基調も懸念材料は多い

 27日の日経平均株価は前日比136円高の2万7970円と3日続伸。一時2万8000円台を回復する場面があった。日経平均は20日には一時、2万7400円を下回ったが、足もとでは戻り歩調を強めている。23日に開幕した東京五輪で日本代表選手が金メダルを相次いで獲得していることも、「市場のムードを明るくしている」(市場関係者)ようだ。

 ただ、一方で株価の上値を抑える要因は少なくない。その一つは、言うまでもなく首都圏を中心とする新型コロナの感染拡大だ。感染力の強い変異株(デルタ株)の影響で東京都の感染者数は27日に2800人を超えたと発表され、今年1月のピーク時を上回った。加えて、警戒感を呼んでいるのが菅政権の支持率の低迷による政局不安だ。

●菅政権の支持率低迷が相場の上値抑える

 報道各社の7月の世論調査によると菅内閣の支持率は低迷し、過去最低水準に落ち込んでいる。日本経済新聞の調査は34%となったほか、時事通信の調べでは29.3%と初の3割割れを記録した。特に、7月の都議会選で自民党が苦戦したことは、今秋にかけて予定されている衆院選に向けての不安を高めた。今後、東京五輪の開催がどう世論調査に影響を与えるかは不明だが、「日本市場に対する影響力の大きい海外投資家は政治情勢には敏感に反応する」(アナリスト)だけに、足もとの菅政権の支持率低迷は東京市場の上値を抑える要因となっていることは否めない。

 衆院議員の任期は10月21日までであり、9月30日には菅首相の自民党総裁の任期満了を迎える。いまのところ、衆院解散後の総選挙を経て、自民党総裁選は後ろ倒しとなるとの見方が多い。総選挙の時期は今後の内閣支持率の動向にも左右されるが、9月解散、10月総選挙との見方があるほか、状況次第で11月投開票の可能性も指摘されている。

●真水でも10兆円超の観測、相場反騰のキッカケとなるか

 そんななか、市場の関心を集めているのが、総選挙を視野に入れた補正予算の策定による大型景気対策に向けた思惑だ。菅首相も補正予算編成に前向きと伝えられているが、とりわけ、自民党の二階俊博幹事長が今月8日に補正予算の規模について「30兆円規模」という数字に言及したことが注目されている。大手証券のエコノミストは30兆円の数字を前提に「真水でも10兆円を超える」との予想を出している。更に年末には経済対策の第2弾が策定される、との観測もある。8月中旬にはその大型補正の概要が提示されるとの観測もあるが、過去の相場でも「大型経済対策が相場の反転材料となったことは少なくない」(市場関係者)。この先、総選挙を視野に入れながら市場の関心は補正予算策定に基づく経済対策に向かっていくことが想定される。

●菅政権の目玉政策のDX、脱炭素化関連に再注目も

 今後、8月相場に向け市場は政治絡みの動向に関心が向かいそうだ。では、大型経済対策で注目されるセクターや銘柄は何か。まずは、公共投資絡みで「国土強靱化 」に絡む建設株などが注目されるが、「菅政権が目玉としているデジタルトランスフォーメーション(DX)脱炭素化関連銘柄は、新・国策銘柄として当然、注目されるだろう」(アナリスト)との声が出ている。

 具体的には建設株なら、秋の台風シーズンも意識され国土強靱化に絡む銘柄が注目される。大成建設 <1801> や鹿島建設 <1812> など大手ゼネコンに加え、ライト工業 <1926> やショーボンドホールディングス <1414> 、日特建設 <1929> 、不動テトラ <1813> 、技研製作所 <6289> やタカミヤ <2445> 、サンセイ <6307> [東証2]など。

 DX関連では、9月のデジタル庁発足にも絡み伊藤忠テクノソリューションズ <4739> やITbookホールディングス <1447> [東証M]、ベイカレント・コンサルティング <6532> などのほか、チェンジ <3962> やサイバーリンクス <3683> 、パイプドHD <3919> など。脱炭素化関連で、11月に英国で開催される気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)も視野にレノバ <9519> やエフオン <9514> 、ユーグレナ <2931> などのほか、日立造船 <7004> 、Abalance <3856> [東証2]、テスホールディングス <5074> 、中外炉工業 <1964> などが注目されそうだ。

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