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【特集】No.1 Research Memo(5):クラウドサービス注力で中小企業のDX化推進、ストック売上も成長へ

No.1 <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期の成長戦略

No.1<3562>は中期経営計画の中で以下の5つの指針を掲げている。

1) アレクソンとのシナジー効果発揮
対象企業はアレクソン

2) ソリューション営業の深化(ストック収益の拡大)
対象企業はNo.1

3) ハード×ソフト(情報セキュリティ領域の拡大)
対象企業はアレクソン、クラブワンシステムズ

4) クラウド型サービスの開発
対象企業はNo.1デジタルソリューション

5) M&A・事業提携・新規事業
対象企業はNo.1パートナー、オフィスアルファ

1. ビジネスコンサルタント増加に伴うソリューション営業強化
従来のITサポートに経営相談も加えた「No.1ビジネスサポート」の強化に注力していく方針だ。パソコンの各種設定からリモートワークのサポートだけでなく、求人や設立登記など経営全般のサポートを行っていくことでサポートの付加価値と売上高を向上させていく。

具体的には、雇用契約書作成などで雇用環境を整備する「人事労務サポート」、小規模事業者持続化補助金などの「補助金・助成金申請サポート」、企業の財務情報から課題を抽出する「資金調達・融資サポート」、そして創業時の事業相談から会社設立の手続きを支援する「法人設立サポート」など、顧客企業が抱える経営課題を総合的にコンサルティングできるようにしていく予定だ。

これまでよりビジネスコンサルタントに要求される知識が広範になるため、ビジネスコンサルタントのサポート力向上を目的とした様々な施策を実施していく。No.1税理士法人と連携することで経営リテラシーの向上を図っていく。また、人材育成マニュアルを構築することで社員を早期に育成し、配属から約3ヶ月でビジネスサポート活動ができるようにする。加えて、ビジネスコンサルタントと営業員が得た情報を積極的に共有することで、サポートサービスの貢献利益を強化していく予定だ。

2. フルマネージド型クラウドサービスを提供開始
2021年6月からサービス開始予定であるフルマネージド型クラウドサービスにも本格的に注力していく。子会社のNo.1デジタルソリューションがサーバーを運用し、24時間365日エンジニアによる有人監視を行うネットワークインフラ、そしてインターネット経由で利用するソフトウェアを丸々パッケージにして提供する。クラウドサービスに関心はあるが導入方法が分からない中小企業のニーズを丸々取り込んでいく予定だ。

オラクルのクラウドサービスの導入から運用、監視まで一括で請け負うことで、中小企業のDX化を推進する。コロナ禍でDX化のニーズは今後も強まっていくことが予想されるため、一括サポートできる同社のサービスへの期待は高いと弊社は見る。特に同社の主な顧客層である建設業、医療・福祉業、そして製造業ではDX化に力を入れている企業も多く、一層の新規開拓と販路拡大が期待される。一度クラウドサービスが導入されれば、その後の定期的な保守やセキュリティ機器の切り替えなど、同社の商品・サービスの継続利用につながるので、ストック売上の増加にもつながってくる。

3. 財務・ガバナンス体制を強化
株主への利益還元策として、自己株式を取得した。42,500株を5月1日‐18日の間に市場買い付けにて取得しており、取得価額の合計は54百万円となった。ROEを高める経営姿勢は、株価にポジティブな影響を与えると弊社は予想する。今後も経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行していく。

また、業績連動型の有償ストックオプションも発行した。同社取締役、執行役員、従業員、完全子会社取締役の合計15名に対して、発行済株式数の1.83%に相当する120,000株分のストックオプションを発行した。2024年2月期における連結営業利益が12.8億円に達しなかった場合は行使することができないという条件を付与することで、利益成長へのインセンティブを設けた。会社へのコミットメント強化につながるため、今後の売上・利益成長につながることが期待できると弊社は見る。

加えて、取締役の指名や報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性および監督機能の強化を図り、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させるため、指名・報酬諮問委員会を2020年8月26日に設置した。委員会の設置により、コーポレート・ガバナンスが一層強化され、企業の透明性と成長基盤を整備した。株主価値最大化への土台を築くことで、安定的な企業成長を実現していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)

《ST》

 提供:フィスコ

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