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【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (33)短期売買も長期投資も、バリューもグロースも、有望株は業績評価で決まる【市場マップ】

足元から将来の業績の数字を読み取ろう!
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆「経常増益率」分布マップで利益成長企業を確認

 「市場マップ」の「業績・財務分布」では、「経常増減益率」「売上高増減率」「売上営業損益率」「自己資本比率」の4つの項目が赤色で記載されています。ご覧になりたい項目をクリックいただくとその色が反転し、白地と赤色の文字による表示に変わります。

 分布マップの上には、左端の「水産・農林」から、右端の「サービス」まで業種が並んでいます。業種名の赤色、青色はその業種別指数の上昇(赤)、下落(青)を表します。業種名の上にある「C」のアイコンをクリックすると、業種別指数のチャートが表示され、その業種がどのような価格推移を辿ってきたのかを確認することができます。そして、業種名をクリックすると、その業種の構成銘柄の騰落状況を一覧でチェックすることができます。業種名の下にあるマップの棒状のエリアは、その業種に属する銘柄の業績・財務の水準を表しています。

 なお、「市場マップ」は終値ベースで提供されていますので、立会時間中は前営業日の姿を表しています。当日のデータは引け後に反映されますので、下にある「○年○月○日」の日付は必ず確認しましょう。


図2 市場マップの「経常増減益率」分布マップ(東証1部)
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 まずは「経常増減益率」の項目をクリックしてみましょう。「経常増減益率」分布マップは、企業が発表した経常利益予想について前期と比較した増減益率の分布を表しています(図2参照)。企業は本業に加えて、たとえば本業が製造業であるのに、不動産経営といった本業以外の業務を行っている場合があります。経常利益は、企業が行っている本業と本業以外の事業の損益を合わせた利益を意味します。

 「経常増減益率」マップは、経常利益予想の伸び率を増益の場合は赤色で表し、濃い赤色ほど増益率が高くなります。減益の場合は青色で表し、同じように濃い青色ほど減益率が高くなります。「増益率2倍以上」から「減益率-80%以下」までを、中間の白色の±5%を挟んで11段階に濃淡をつけて色分けしています。なお、グラフ中の赤い「B」は黒字転換を、青い「R」は赤字転落、黄色の「-」は業績予想が非開示であることを表しています。

 「経常増減益率」の分布マップ内の赤色や青色、白色、黄色の小さな四角形の上にマウスのポインタを移動すると、業種と市場、コード番号、銘柄名、株価、上昇・下落率、経常増減益率の値をポップアップウインドウで確認することができます(図3参照、ポップアップウインドウで表示される内容は市場マップの各項目によって若干異なります)。1つ1つの小さな四角が1つの銘柄に該当しますが、この四角をそのままクリックすると、個別銘柄の「決算」のページに移動することもできます。

図3 「経常増減益率」分布マップのポップアップウインドウ
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 一般的には、経常利益予想は減益であるよりも増益である方が、また増益率も大きければ大きいほど好感されるでしょう。同様に、赤字転落より黒字転換の方が好感されて株価へのプラスインパクトは大きくなります。一方で、業績予想が非開示である場合、企業の収益力の伸びを正確に計ることができないため投資判断を下すのは大変難しいものとなります。株式市場には数多くの銘柄が上場していますから、投資判断を下すことがあえて難しい銘柄に投資する必要はありません。

 投資先を選別する際には、値上がりする可能性が高そうな銘柄を探すのですから、今後、業績が好調に推移する可能性がある銘柄を選ぶことになります。2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて業績見通しを慎重なものとする企業が多く、全体的に減益を表す青色が目立ちます。自粛による移動制限が響いた陸運セクターをはじめとして赤字転落を示す「R」も数多く、全セクターで厳しい経営環境下で苦戦を強いられていることがうかがえます。

 このように「経常増減益率」の分布マップでは、どのセクターの業績が好調(悪化)であるのか、そして各セクター内における業績好調な銘柄、悪化している銘柄の分布を一目で把握できます。たとえば大幅増益銘柄をピンポイントでチェックするといった銘柄探しの参考に活用することができます。

 個人投資家によっては得意とするマーケットが異なるでしょうから、左上に表示されている「東証1部」「2部市場」「新興市場」「全銘柄」で得意とする市場を選択しましょう。同じ「経常増減益率」マップでも市場によっては大きく様相が異なることがあります。たとえば、「経常増減益率」の項目を「新興市場」で表示させると赤色が全体的に多いことがわかり、「東証1部」に比べると今後の業績について伸びを見込んでいる企業が多そうと考えることもできそうですね(図2、図4参照)。

図4 新興市場の「経常増減益率」分布マップ
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