【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 政策対応プラス需給の改善効果!
株式評論家 杉村富生
「政策対応プラス需給の改善効果!」
●“小物”が物色の中心に浮上する!
古来、パニックは政策の母、という。マーケットが動揺し、人々がパニックに陥る度に政策対応は強化される。最後は何でもありの政策総動員態勢となる。そして、危機は必ず克服される。これは歴史の教訓である。今回もそうだったではないか。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まったのは3月だ。しかし、皮肉なことに株価はそこが大底になっている。すなわち、日経平均株価の安値(ザラバベース)は3月19日の1万6358円、NYダウ平均の安値は3月23日の1万8213ドルである。
直近の高値は日経平均が2万6889円(12月2日)、NYダウが3万116ドル(11月24日)だ。上昇率は各64.4%、65.4%に達する。やはり、中央銀行の超低金利政策、流動性の供給、政府の財政出動に加え、ファイザー、モデルナなど新型コロナワクチンの開発が大きかった、と思う。
日本市場の場合、ここにきて外国人の買い越し基調(1~10月は先物を含め、9.7兆円の売り越し→11月は第3週までに2.7兆円の買い越し)、TOBに伴うNTTドコモ <9437> の売却代金(11月24日に4兆円)、9月中間決算の配当金(約4兆円)、裁定売り残(1.6兆円)の買い戻しなど需給の改善が寄与している。
買い方が外国人、国内機関投資家だったこと、およびポートフォリオの組み替えなどシステム売買が中心という事情があって、大型株が集中的に物色された。“小物”は旗色が悪かったのは確かである。しかし、12月中旬以降は“小物”が活躍するタイミングとなろう。
●2021年に活躍期待の銘柄を選定!
筆者は業容一変の可能性を秘め、2021年相場では全般カサ上げの波に乗って一段高が期待できるリバーホールディングス <5690> [東証2]、YE DIGITAL <2354> [東証2]に注目している。さらに、ワイエイシイホールディングス <6298> 、不二精機 <6400> [JQ]は材料の大きさを考えると、大幅高が見込める。
このほか、玉移動(強力な大株主が登場)のビジョナリーホールディングス <9263> [JQ]、プロパスト <3236> [JQ]、アスコット <3264> [JQ]、THEグローバル社 <3271> は株価倍増を狙えるだろう。
ワイエイシイは非開示だった21年3月期業績予想について最終利益が5億円(前期は9.5億円の赤字)、1株利益は55円(同106円の赤字)に浮上すると発表したが、これでは「済まない」と調査関係者がコメントしている。不採算事業の整理、新製品の貢献を織り込んでいない。特に、ウイルスを検知する「ウイルスゲートキーパー」は画期的なものだ。全世界で使える、という。
超値がさ株に育ちそうな銘柄はEV(電気自動車)関連のインスペック <6656> [東証2]、ヘルスケアのファーマフーズ <2929> [東証2]、コンビニ向け“魚”専門のSTIフードホールディングス <2932> [東証2]、意欲的な中期経営計画を発表しているアートスパークホールディングス <3663> [東証2]など。
2020年12月3日 記
株探ニュース