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【市況】S&P500 月例レポート ― 再来した“根拠なき熱狂”と相場を決定づける2つの要因 (3) ―


●個別銘柄

 ○米証券取引委員会(SEC)はEastmanKodak(KODK)が開示した7億6500万ドルの負債について調査することを発表しました。同社の株価は7月27-31日の週に、2.13ドルの安値と60.00ドルの高値を付けました。同社は債務(9500万ドル)を2990万株の株式に転換する計画(転換前の株式数は4370万株)について臨時報告書8Kを提出し(2020年8月3日)、5.98ドルで8月の取引を終えました。

 ○娯楽大手のWalt Disney(DIS)は50億ドルの損失を発表しました。市場はこの影響を見定め、株価は将来のテーマパーク再開を見込んで上昇しました。

 ○カリフォルニア州裁判所は、スタッフ(ドライバー)を社外の請負業者としてではなく、従業員として扱うことをUber(UBER)とLyft(LYFT)に求める新たな議会法案(Assembly Bill 5)を支持し、仮処分命令の執行延期を却下しました。UberとLyftは9月4日までに、上告するか判決を受け入れるかを決定する必要があります。両社はカリフォルニア州での営業閉鎖を示唆していました。

 ○ソフトドリンク飲料メーカーのCoca-Cola(KO)は事業再編の一環として、北米で働く従業員の40%に早期退職奨励金を支払うことを明らかにしました。

 ○リゾート施設を運営するMGM Resorts(MGM)は新型コロナウイルス対応として、従業員1万8000人のレイオフを発表しました。

●注目点

 ○新型コロナウイルスの初期影響の調査で、在宅勤務者の増加により、第2四半期のクラウドデータの使用が前年同期比11%増の346億ドルだったことが明らかになりました。2020年には破産件数が過去最大になる見通しです。

 ○米国は1兆ドル規模のコロナ対応追加パッケージに基づいて、今年後半に2兆ドルの借入を計画しています。これにより、2020年の借り入れは4兆5000億ドルになります。

 ○トランプ大統領はカナダ産のアルミニウムに対して10%の追加関税の発動を発表しました。カナダはこれに対し、報復関税を適用する構えです。

 ○アルゼンチンは650億ドルの債務再編交渉で債権団と合意に達したことを明らかにしました。

 ○米政府が引き続き支出を増やし、紙幣を増刷する中、金価格は過去最高値を更新し、2000ドルの節目を突破して1トロイオンス=2089ドルを一時付けました。

 ○ソーシャルディスタンスなどの新型コロナウイルス対応を反映して、Walmart(WMT)は駐車場でのドライブインシアターを開始しました。

 ○Apple(AAPL)は1対4の株式分割を実施し、米国の株式公開企業として初めて時価総額が2兆ドルを超えました。電気自動車メーカーのTesla(TSLA)も1対5の株式分割を発表し、市場では「4桁台の株価を誇る銘柄が存在する日々は残り少ないのか」といった議論が起きました。Alphabet(GOOG/L)、Amazon(AMZN)、自動車関連の小売チェーンAutoZone(AZO)、オンライン旅行サイト運営企業Booking Holdings(BKNG)、ファストフード・チェーンChipotle Mexican Grill(CMG)、住宅建設業者NVR(NVR)は、1000ドル以上の株価で取引されている銘柄です。

 ○運動靴とアパレルのメーカーFoot Locker(FL)は売上高が増加したことを明らかにしました。また、同社は四半期配当金の0.15ドルでの復配を発表しました。従来は0.38ドルでした。

 ○Intel(INTC)は100億ドル規模の自社株買い計画を発表し、自社株買いを加速する意向を示しました。ディスカウントストアのDollar General(DG)は自社株買いを再開し、20億ドル相当の自社株を追加購入する計画を明らかにしました。

 ○ヘルスケア大手のJohnson & Johnson(JNJ)は総額75億ドルの社債を売り出しました。S&Pグローバル・レーティングの「AAA」格付けを利用して、5年債の表面利率は0.55%、40年債は2.45%で発行しました。

 ○フルサービス航空会社大手は、国内のフライトに関しては手数料なしで航空券の変更を認める方針を明らかにしました。

●利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年債利回りは7月末の0.54%から0.71%に上昇して月を終えました(2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年債利回りは7月末の1.20%から1.48%に上昇して月末を迎えました(同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは7月末の1ポンド=1.3081ドルから1.3365ドルに上昇し(同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは7月末の1ユーロ=1.1778ドルから1.1938ドルに上昇しました(同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は7月末の1ドル=105.87円から105.86円に小幅上昇し(同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は7月末の1ドル=6.9752元から6.8487元に上昇して月を終えました(同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○原油価格は7月末の1バレル=40.43ドルから42.82ドルに上昇して月を終えました(同61.21ドル、同45.81ドル、同60.09ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は、7月末の1ガロン=2.265ドルから2.311ドルに上昇して月末を迎えました(同2.658ドル、同2.358ドル、同2.589ドル)。

 ○金価格は7月末の1トロイオンス=1994.20ドルから1972.70ドルに下落して月の取引を終えました(同1520.00ドル、同1284.70ドル、同1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は7月末の24.46から26.41に上昇して月末を迎えました。月中の最高は27.09、最低は20.28でした(同13.78、同16.12、同11.05)

●世界の株式市場

 ○新型コロナウイルス感染状況の改善はまちまちでしたが、治療薬などの開発が進む中、世界の株式市場は引き続き幅広く上昇し、パンデミックによる下落分を回復しつつあります。8月は7月と同様に50市場中42市場が上昇し、45市場が上昇した6月からは減少しました。米国市場は月中、数回にわたり最高値を更新し、グローバル市場をアウトパフォームしました。

 ○世界の株式市場は、7月に4.90%上昇した後(米国の5.53%上昇を除くと4.12%の上昇)、全体で5.94%上昇しました(米国の7.04%上昇を除くと4.57%上昇)。過去3カ月間では世界の株式市場は14.50%上昇(米国の15.39%上昇を除くと13.39%の上昇)、年初来では2.30%上昇(米国の7.95%上昇を除くと4.17%下落)しました。過去1年間では13.24%上昇し、米国の18.99%上昇を除くと6.62%の上昇となっています。より長期でも、米国のパフォーマンスが突出しています。過去2年間では、グローバル市場は9.36%上昇しましたが、米国の18.20%上昇を除くと0.33%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は19.87%上昇し、米国の39.55%上昇を除くと0.81%の上昇でした。

  ⇒2016年11月8日の米大統領選以降では、グローバル市場は39.86%上昇しましたが、米国の61.63%上昇を除くと18.45%の上昇でした。

※「再来した“根拠なき熱狂”と相場を決定づける2つの要因 (4)」へ続く

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