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【特集】殺菌! コロナ共存時代“深紫外線LED”という選択肢 <株探トップ特集>

新型コロナウイルスとの共存。緊急事態宣言の解除は既定路線となったが、ウイルスが消滅したわけではない。否応なく迫られるwithコロナの時代にはウイルス不活性化デバイスの需要が高まっていく。

―脚光「ウイルス不活性化」関連株、緊急事態宣言解除後を見据えて―

 政府は新型コロナウイルス特措法に基づいて全国に発令した緊急事態宣言について、一部解除の可否を14日に判断する見通しだ。これによって社会経済活動を再開する動きが広がることが期待されるものの、現時点では収束が見通せず予断を許さない状況が続く。感染拡大の第2波、第3波に見舞われる可能性を考えれば、新型コロナとの共存を見据えた“ウィズ(with)コロナ”を意識せざるを得ない。こうしたなか、殺菌・除菌への関心は依然として高く、ここにきて注目されているのがウイルスの不活性化が期待できる深紫外線LED(発光ダイオード)だ。

●空気浄化など幅広い分野で応用

 深紫外線とは、300ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の短い波長を持った紫外線の一種で、なかでも波長265ナノメートル付近の深紫外線はDNAに吸収されやすいため、遺伝情報を消失する効果(遺伝情報が失われると菌は増殖できなくなる)があり、最も強い殺菌作用が発揮されるといわれている。こうした特長を生かし、ウイルスや細菌の殺菌をはじめ飲料水・空気の浄化、院内感染防止、アトピー性皮膚炎の治療、イチゴのうどんこ病の予防など幅広い分野で応用されている。

 深紫外線を発するデバイスとして以前は水銀ランプが主に用いられてきたが、安定した光を出すのに時間がかかるほか、寿命が短く、消費電力も大きいことから利用範囲は限られていた。これに対して“次世代の光源”である深紫外線LEDは、コンパクトで省エネ・長寿命であることに加え、水銀ランプと比べて人体や環境への影響が極めて少ないことから水銀ランプからの代替が進んでいる。

●有効性確認の日機装に関心

  新型コロナウイルスに対する効果については、ナイトライド・セミコンダクター(徳島県鳴門市)が4月中旬に、10分間の波長275ナノメートルの深紫外線LED照射で高い不活性化を実証したと発表。マスクやスマートフォン、アクセサリーなど身の回りの物についたウイルスを安全かつ簡単に死滅させることができるとした。

 また、日機装 <6376> は4月下旬に、自社の空間除菌消臭装置「Aeropure(エアロピュア)」に搭載されている深紫外線LEDが、新型コロナウイルスと類似するネコ腸コロナウイルスとウシ型結核菌の不活化試験で有効性を確認したことを明らかにしている。同社は2015年に世界で初めて深紫外線LEDの製品化に成功し、現在は大容量の流水殺菌ができる深紫外線LED水殺菌モジュールや水産業向け深紫外線LED浄化装置などを開発提供。エアロピュアは今年1月に発売した製品で、納期は現状1ヵ月程度だという。

●ユニット開発に着手したウシオ電

 また、ウシオ電機 <6925> は3月から、ウイルスを不活化する「222ナノメートル紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニット」の開発に着手した。これはウイルスや細菌の付着が疑われる建材や器具、衣服に対して波長222ナノメートルの紫外線を直接照射することでウイルスの不活化や殺菌を行うもの。既に医療機関などに研究実験用ユニットの設置を開始しており、早期の製品化を目指している。

●カナミックNは除菌装置を販売

 深紫外線LEDを巡る動きはこのほかにも、カナミックネットワーク <3939> が4月から医療機関や介護事業者、学校・保育施設、飲食店向けに、コムラック(埼玉県三郷市)が製造する屋内空間の紫外線殺菌装置「UVCエアクリーンmanager」の販売を開始した。この装置はウイルス除去率99.99%という高い殺菌力を持ち、コロナウイルス(2003年コロナウイルスSARS)への効果も検証済み。欧米では空間殺菌に対してUVGI(空間紫外線殺菌)が一般的であり、国内での需要も今後一段と高まりそうだ。

 東芝 <6502> [東証2]グループの東芝ライテックは4月から、深紫外線LEDを採用した流水殺菌モジュールの販売を開始。これは大幅な省スペース化と流量100リットル/分に対応した殺菌能力を両立しており、純水、養殖用水、医療用水などさまざまな用途に使用することができる。

●旭化成、スタンレーなどにも注目

 これ以外の関連銘柄は、米クリスタルIS社との共同開発で14年から深紫外線LEDを事業化している旭化成 <3407> 、高出力化を実現する深紫外線LED用微細構造体技術を持つ王子ホールディングス <3861> 、深紫外線LED用石英レンズを販売するAGC <5201> 、グループ会社が深紫外線LEDを展開しているDOWAホールディングス <5714> 、深紫外線LED光源モジュールを取り扱う豊田合成 <7282> 、深紫外線レーザー加工機を手掛けるタカノ <7885> など。

 スタンレー電気 <6923> は、殺菌能力が最も高いとされる発光波長265ナノメートルの深紫外線LEDの量産化技術を既に確立しており、今後の展開が注目される。

株探ニュース

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