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【特集】WTI原油「マイナス価格」再来はあるか、6月OPEC+へ錯綜する思惑 <株探トップ特集>

衝撃の「マイナス価格」から間もなく1ヵ月――。足元では切り返しに転じた原油価格だが、再び波乱展開に陥るとの警戒感も強い。

―6月限の限月交代にも注目、需要底打ちで夏場にかけじり高期待も―

  原油相場が驚愕の「マイナス価格」をつけた4月下旬から間もなく1ヵ月。足もとで原油価格は急速に切り返し、相場は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。ただ、今月の原油先物の限月交代や来月の産油国会合の結果次第では、再度、原油相場は波乱展開に陥るとの警戒感も市場には根強い。果たして、原油市場は最悪期を脱出し、上昇基調を強めるのか。原油相場の行方を探った。

●驚愕のWTIマイナス価格、米ETFの投げ売りが背景に

 原油価格がニューヨーク原油先物市場で、史上初めてマイナス価格をつけたのは4月20日のこと。この日、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の5月限は1バレル=マイナス37.63ドルに暴落した。 新型コロナウイルスの影響で世界経済が急減速するなか、原油の余剰感が急速に台頭。在庫が増加し、保管スペースが枯渇することになり、原油市場に投げ売りが発生した。

 売りの主体となったのは、ユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンド(USO)など米国の上場投資信託(ETF)とみられている。「原油の現物を引き取りたくないETFが、先物の限月交代が迫るなか価格を無視した格好で売り物を出した」(アナリスト)とみられている。原油相場のマイナス価格への転落は、“コロナショック”による市場の混乱の象徴的な出来事となったが、その後、WTI価格は急速に切り返しに転じている。

●「コンタンゴ」による異常状態は解消へ、限月交代の波乱限定的か

 11日時点のWTI価格は24.14ドルと暴落前の4月中旬の水準に戻している。この要因には、第一にはUSOなどのファンドが先物相場の期近物に積み上がっていた建玉を期先物にロールオーバーしたこと。第二には、新型コロナの感染拡大ペースの減速を背景に、欧米主要国が経済活動再開の動きを強めており、今後の原油需要の回復が期待されていることがある。

 原油先物市場では、需給が引き締まった状態では期近物の方が価格は高くなることが多い。しかし、春先からは期近物より期先物の価格が高くなる「コンタンゴ」と呼ばれる状態となり、特に4月下旬は期先物が極端に安くなる状態となった。しかし、足もとで「この異常な状態はかなり解消された」(市場関係者)という。市場の関心は、今月20日頃の6月限の限月交代に向けて4月に起こったようなWTI価格の急落が発生しないか、どうかだ。この点に関しては「当面は神経質な値動きも予想されるが、市場環境は落ち着いてきており4月のような波乱はないのではないか」(アナリスト)との見方が出ている。

●来月10日のOPECプラスでの追加協調減産が焦点に

 原油価格をみるうえでの、もう一つのポイントが来月に予定されている産油国の国際会議だ。6月9日に石油輸出国機構(OPEC)総会、翌10日にロシアなど非加盟産油国からなる「OPECプラス」の会合が予定されている。特に、市場の関心が高いのがOPECプラスの動向だ。

 4月に開催されたOPECプラスでは日量970万バレルの協調減産が決定された。これは過去最大の減産だが、コロナショックによる原油需要の落ち込みは日量3000万バレル前後にも達するともみられている。米国のシェールオイル企業の減産や米国と中国などの原油備蓄積み上げ、欧米主要国の経済活動再開に向けた動きなどを考慮しても「足もとでは実質1000万バレル前後の余剰状態ではないか」と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員はみている。この原油の需給ギャップを埋めるためにも「できればOPECプラスの会合で数百万バレル規模の追加の協調減産を行うことが望ましい」と芥田氏は指摘する。

●原油相場は当面一進一退も、夏場に向けWTI30ドル意識の展開か

 OPECプラスの動向には思惑が錯綜するところだが、欧米での経済活動再開の動きは原油相場にはプラス要因に働く。今後の原油相場に対して「夏場にかけてのWTIの上値は30ドル前後ではないか」と同氏は予想する。「何らかの事態が起これば、再度マイナス圏に転じることが起こらないとは言い切れないが、全体的には、当面は一進一退の価格が続き、コロナ収束を視野に年後半に向けじりじりと上値を試す相場を見込む」とみている。

 ただ、例年なら夏場に向けて米国のドライブ需要で原油価格は上昇しやすくなるところだが、今年は新型コロナの影響で状況が異なり上値は重そうだ。こうしたなか、国際石油開発帝石 <1605> や石油資源開発 <1662> 、JXTGホールディングス <5020> 、コスモエネルギーホールディングス <5021> などの石油エネルギー株は、当面底堅い値動きが期待される。また、ETFやETNではNEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブル ETN <2038> [東証N]やWisdomTree WTI 原油上場投資信託 <1690> [東証E]などの動向も注目される。原油価格が急落した場合は、原油備蓄需要に絡み共栄タンカー <9130> が再度、値を上げる展開も予想される。

株探ニュース

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