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【市況】明日の株式相場戦略=SBG株下落が示唆する負の連鎖

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(18日)の東京株式市場では、全体指数が高く始まったものの売り圧力の強さを改めて認識させられる形となった。トランプ米政権の大盤振る舞いというべき1兆ドルの経済対策検討、加えてFRBも週初に発表した緊急利下げに続き、企業の資金繰り支援を目的にコマーシャルペーパーを買い入れる方針を発表、これまでのアルゴリズム主導のエレベーター相場であれば、きょうは素直に綺麗な戻りトレンドを形成して全く不思議はなかった。しかし、日経平均株価は前場から上値が重かった。米株価指数先物が変調で、最初はそれでも売りを吸収していたが、支えきれず後場に入り値を崩しマイナス圏に沈んだ。海外マネーによる実需の売りがのしかかってきている。

 指数寄与度の高いソフトバンクグループ<9984>、ファーストリテイリング<9983>が急落し、この2銘柄で日経平均を190円近く押し下げる形となった。結局284円安で着地し1万7000円台を終値で割り込んだ。一方、前日に続いてTOPIXは踏ん張り小幅ながらプラス圏を維持したが、前引けと比較すれば見る影もなく値を消す形となっている。前日に目先底入れの可能性に言及したのはテクニカル面からの判断だが、甘い見立てだったようだ。

 マーケットの底流ではクレジットリスクが意識され始めている。株価は企業実体を映す鏡のようなものだが、近未来を映し出す特性がある。その意味ではソフトバンクGのここにきての下げ足はうすら寒さを覚える。きょうで6日続落となり、この間に時価総額の4分の1が吹き飛んだ。目先は大手格付け会社のレーティング引き下げが追い打ちをかけているが、それ以上に出資する米シェアオフィス大手ウィーワーク支援の一部撤回観測が、ウィーワークではなくソフトバンクG自身の厳しい財務事情を反映しているのではないかという思惑を生んだ。世界同時株安がもたらす負の連鎖はソフトバンクGにとってはきつい。しかし、クレジットリスクに対する警戒感がもっと弱い企業に飛び火してきた場合、これは全体相場の更なる波乱を覚悟しなければならない。

 かつてのリーマン・ショック時のようにリスクアセットが問答無用に叩き売られる状態は、きょうの東証REIT指数の下げ足にも色濃く映し出されている。ここ3年くらいのタームでREIT指数の週足を見ると、その“断崖チャート”に思わず息を飲む。これはただ事ではないという印象を受ける。少なくとも中期的な視点でも楽観できる状況ではない。

 米株価指数先物が下値指向を強めるなかで、日経平均は終盤マイナス圏に入ったが、実は米株価指数先物は朝方から安かった。本来ならばGPIFの買いや、年間購入枠を拡大した日銀のETF買いが意識されるところ。全く売り圧力が消えないのは、海外マネーがこれらを絶好の受け皿として日本株を吐き出しているからにほかならない。繰り返しになるが、今は値ごろ感につられて、むやみに凧糸を出し切るような買いは慎むべき局面であることに変わりはない。

 世界各国が財政出動と金融緩和のポリシーミックスで足並みを揃えれば、いずれは株価復活への強力な足掛かりとなる。しかし、今はまず新型コロナウイルス を駆逐し、その呪縛から逃れるための政策が第一義だ。きょうの富士フイルムホールディングス<4901>のストップ高は、中国政府が、新型コロナウイルス感染による肺炎治療で新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の有効性を確認し医療現場への投入を促すと伝わったことが材料だが、時価総額2兆6000億円の企業を値幅制限上限に張り付けるほどのインパクトがあった。脱コロナを願うマーケット心理を代弁している。

 日程面では、あすは朝方取引開始前に2月の消費者物価指数(CPI)が開示されるほか、後場取引時間中に1月の全産業活動指数が発表される。2月の訪日外国人客数も発表される。IPOが3件あり、東証2部に日本インシュレーション<5368>、マザーズ市場に関通<9326>、ジャスダック市場にゼネテック<4492>が新規上場する。海外では3月の米フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月の米景気先行指標総合指数、19年10~12月の米経常収支など。また、インドネシア及びトルコ中銀などが政策金利を発表する。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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