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【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (16)リスク管理を徹底して信用取引を活用しよう

信用残高には投資家の心理が映し出される
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆需給変化の節となる高値・安値期日

 たとえば、信用取引の制度信用で買った銘柄が下落したとしましょう。損切りを決断できずにずるずると時が経ち、期日の6カ月を迎えてしまったら必ず決済しなければなりません。一般的に、高値や安値をつけるタイミングでは、多くは出来高を伴うことが多いといえます。そのため、高値や安値を付けてからの6カ月後の期日は、個別銘柄の需給を考えるうえで重要なタイミングになります。

 そこで、どの銘柄が6カ月の高値・安値期日を迎えるのか、信用買い残や売り残が増加・減少している銘柄はどれかを知りたい時には、「株価注意報」の「信用取引需給」を活用してみましょう。

 まず、各ページの上部にあるグローバルナビから「株価注意報」を選んでクリックします。表示された「株価注意報」のページの下部に「信用取引需給」の項目があります(図2参照)。「信用売り残の増加ランキング」では信用売り残が増加している銘柄を、「信用買い残の増加ランキング」では信用買い残が増加している銘柄をランキング形式で確認することができます。反対に、「信用売り残の減少ランキング」では信用売り残が減少している銘柄を、「信用買い残の減少ランキング」では信用買い残が減少している銘柄をランキング形式で確認することができます。信用買い残の場合には、地合いが悪ければ需給悪化に対する懸念が強まり、信用売り残の場合には、地合いが良ければ買い戻しへの期待が高まります。「市場別」では「全市場」「1部」「2部」「新興」と分かれていますから、お目当ての市場の銘柄を確認するとよいでしょう。


図2 「株価注意報」の「信用取引需給」メニュー
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 さらに、「信用【高値】期日到来銘柄」では、高値を付けた時点から6カ月後の信用期日が近い銘柄とその高値の日付を確認することができます。同様に、「信用【安値】期日到来銘柄」では、安値を付けた時点から6カ月後の信用期日の到来が近づいている銘柄とその安値の日付を確認することができます。

 今回は「信用【高値】期日到来銘柄」のトレジャー・ファクトリー <3093> で具体的に情報の確認方法をみていきましょう(図3参照)。「株価」欄の「613」は現在の株価です。「売り残」と「買い残」を比べると、「買い残」が「319,800」と「売り残」の「10,500」を大きく上回っていることもわかります(「信用倍率」は30.46倍)。そして、「52週高値」は過去52週間で最も高かった時の株価が「1472」であり、「高値日付」の「19/09/26」の週にその高値を付けたことがわかります。つまり、半年前の1472円で株を信用取引で買って、含み損を抱えているのに損切りを行わないで耐えてきた人たちが、期日が近づいたことに伴って株を売る可能性があることになります。先ほどの個別銘柄の時系列ページで「週次信用残」の推移をみると、信用残の整理の進捗具合などをより細かく分析できます。


図3 「株価注意報」で「高値期日到来銘柄」をまとめてチェック
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 期日が近づくにつれて信用の返済売りが株価の重石になることがありますが、逆にこの6カ月後の期日を経過すると需給が好転し、値動きが軽くなることもあります。これを見越して先回りして買いに動くことを「期日向かい」といいます。銘柄によっては、信用取引の売り方、買い方の思惑がぶつかり合うケースも多いので慎重に取り組む必要があります。

 なお、「期日到来銘柄」の表ではチャートのマークにカーソルを合わせると、チャートをポップアップで表示させることができますから、信用残のデータとともに株価の推移を念のため確認してみるとよいでしょう。

 前回も述べましたが、信用買いも信用売りも、レバレッジを効かせられる分、相場の地合いの影響を受けやすい取引方法です。数字が表す通りにマーケットが教科書通りに動くわけではありませんし、私たちの心はその時の地合いによっても左右され、冷静な判断力を失ってしまうことも多々あります。信用取引の持つリスク、そしてメリット、デメリットをしっかりと理解したうえで、自分にあった使い方を見つけられるようになるといいですね。

 次回以降は、銘柄選びなどの参考に使いたい各種情報やテクニカル指標について解説していきます。

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