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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 常に、パニックは政策の母、という!

株式評論家 杉村富生

「常に、パニックは政策の母、という!」

●クルーズ船の対応ミスがトラブルの元!

 円安である。1ドル=112円台に入っている。為替関係者は「115円前後があり得る」という。通常は「円安→株高」になる。ちなみに、輸出企業の想定為替レートは1ドル=106円90銭だ。円安メリットは大きいと思う。

 ただ、この円安は“日本売り”といわれている。外国人は日本株を買わないだろう。日本は中国との関係が深い(最大の輸出国)だけに、そのダメージを気にしている。クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号)の対応のまずさもある。

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)の国内感染者は約9割(634人)がクルーズ船関係者だ。これを除いた感染者は70人(それ以外に、中国居住の日本人感染者が9人いる)前後である。これは韓国の100人よりも少ない。マスコミは「感染列島」などと騒いでいるが、おかしいじゃないか。

 もちろん、SARSが流行した2003年時点の中国の世界のGDPシェアは4.3%に過ぎなかったが、現在は16.3%だ。約4倍になっている。それに日本の場合、 インバウンドの落ち込みが懸念される。ちなみに、03年4-6月のインバウンド消費は4866億円(年率)だった。現在はどうか。19年10-12月でみると、4兆3351億円(同)だ。名目GDPシェアは0.09%→0.78%と高まっている。

 なお、SARSは3月にWHOが「警告」を発したあと、6月には感染拡大が止まり、7月5日にWHOが「制圧」を宣言した。今回も同様のパターンをたどる、と考えている。

●“日本売り”だけではない円安の要因?

 先に、ここでの円安を“日本売り”と紹介したが、違う側面を指摘しておきたい。それは、本邦機関投資家の動向だ。今年1月の信託勘定による外債投資は2兆円を上回った。2月第1週は何と1.6兆円にのぼった。本邦機関投資家の外債投資は年間13.2兆円程度だが、1~2月のペースはそれを大幅に上回っている。

 この背景にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外債シフト(中心比率15%を20%に引き上げ?)がある、といわれている。金利ゼロの日本国債では運用できない。外債シフトは正しい投資戦術と判断する。

 一方、足もとの株式市場は相変わらずNY市場の動向に一喜一憂し、 COVID-19に振り回される展開だ。しかし、資金フローは良好である。さらに、円安傾向が下支えになる。国会の迷走は気掛かりだが、与野党ともに「時間稼ぎ」を行っているのだろう。

 まあ、パニックは政策の母、という。マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに政策対応は強化される。そして、危機は必ず克服される。これが歴史の教訓である。実際、中国は金融緩和を断行、トランプ米政権は1兆ドルのインフラ投資策を打ち出す方針という。

 具体的な銘柄としては玉の争奪戦に発展しそうな前田道路 <1883> 、売り叩いて下値を執拗に拾っている栄研化学 <4549> 、テレワークのブイキューブ <3681> 、ヘルスケア向け求人サイト運営のメドレー <4480> [東証M]、国土強靱化関連のポエック <9264> [JQ]などに注目できる。

 このほか値動き抜群のファーマフーズ <2929> [東証2]、Jストリーム <4308> [東証M]、大商いの有機合成薬品工業 <4531> などに妙味があろう。

2020年2月21日 記

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