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【市況】S&P500 月例レポート ― 今年15回目となる最高値更新を記録 (3) ―


●個別銘柄

 ○ブローカー戦争は続いており、株式、ETF、オプションの一部のオンライン取引にかかる手数料を撤廃するという、Charles Schwab(SCHW)、Interactive Brokers(IBKR)、TD Ameritrade(AMTD)の動きにE*Trade(ETFC)が加わりました。各社の狙いは、オンライン取引のコストを負担することで顧客を獲得することにありますが、市場はこの動きをあまり好感せず、各社の株価は大幅に下落しました(マイナス金利のような状態=取引した企業から手数料を受け取る=を期待する冗談も聞かれました)。

  →10月末にはSchwabが、投資家による単元未満株式の取引を認める意向を明らかにしました。

 ○ディスカウントストアチェーンのWalmart(WMT)は2020年1月1日から、米国内で医療コストの削減を目的とした複数の健康管理の試験プログラムを開始する予定です。他の大手企業(Amazonなど)も同様のプログラムを実施する意向を表明しています。

 ○自動車大手のGeneral Motors(GM)と、9月16日からストライキを実行していた4万7,000人の全米自動車労働組合(UAW)の組合員は合意に達しましたが、ストライキに伴うGM側のコストは30億ドルに上ると推測されます(労働者側も1カ月以上分の賃金を犠牲にしました)。GMとの合意から間もなく、UAWはFord(F)と同様の労働協約を締結しました。

 ○複合企業のGeneral Electric(GE)はコスト削減の一環として2万人分の年金を凍結し、401(k)プランによる年金制度に移行することを明らかにしました。

 ○電子郵便サービスを手掛けるStamps.com(STMP)は、UPS(UPS)と提携した値引きを行うことを発表しました(同社は2019年2月にU.S. Postal Servicesとの提携を解消しました)。

 ○航空機大手のBoeing(BA)は引き続き、737 MAXが年内に運航を再開すると見込んでいますが、2020年の生産機数を削減することを発表しました。

 ○通信大手AT&T(T)はアクティビスト投資家のElliott Managementと「休戦」し、新たな大型買収を手控え(ElliottはTime WarnerやDirectTVといった最近の買収に反対していました)、収益性の向上に注力するとの意向を表明しました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはリゾート運営会社Las Vegas Sands(LVS)をS&P 500指数に加え、Nektar Therapeutics(NKTR)を同指数から除外しました。Nektar TherapeuticsはS&P中型株400指数に追加されました。

●新規株式公開(IPO)

 ○WeWorksの親会社でシェアオフィスを運営するWe Companyは、IPOを撤回(および従業員を一部削減)して以降、流動性問題に直面しており、既に株式の1/3を保有するソフトバンク(SFTBY)が経営権の取得と出資比率の引き上げを含む95億ドルの支援計画を提示しました。We Companyの企業価値は80億ドルと評価されています(従来の評価額は470億ドル)。

 ○報道によれば、サウジアラビアは国営石油会社Aramco(ARMCO)を2019年12月11日付でサウジアラビア証券取引所に上場する見通しです。

 ○ビール大手のAnheuser-Busch InBev(BUD)は香港事業をスピンオフし、Budweiser Brewing APACとして上場しました。

 ○フィットネス機器を手掛けるPeloton(PTON、IPO実施日2019年9月26日)
  →IPO価格29ドル(最高値29ドル、最安値20.46ドル)、10月末終値23.87ドル(9月末終値25.10ドル)

 ○歯列矯正サービスを提供するSmileDirectClub(SDC、2019年9月12日)
  →IPO価格23ドル(最高23ドル、最低8.73ドル)、10月末11.69ドル(同13.88ドル)

 ○ペットフードを販売するChewy(CHWY、2019年6月14日)
  →IPO価格22ドル(最高41.34ドル、最低22.28ドル)、10月末24.67ドル(同33.04ドル)

 ○配車サービスUber(UBER、2019年5月10日)
  →IPO価格45ドル(最高47.08ドル、最低28.31ドル)、10月末31.46ドル(同32.54ドル)

 ○植物由来の代替肉を生産するBeyond Meat(BYND、2019年5月2日)
  →IPO価格25ドル(最高239.71ドル、最低45.00ドル)、10月末84.45ドル(同167.63ドル)

 ○ソフトウエア開発会社Zoom Video Communications(ZM、2019年4月18日)
  →IPO価格36ドル(最高107.347ドル、最低36ドル)、10月末69.89ドル(同91.67ドル)

 ○ソーシャルネットワークサービス会社Pinterest(PINS、2019年4月18日)
  →IPO価格19ドル(最高36.83ドル、最低19ドル)、10月末25.13ドル(同34.43ドル)

 ○配車サービスLyft(LYFT、2019年3月29日)
  →IPO価格72ドル(最高88.60ドル、最低37.07ドル)、10月末41.44ドル(同48.97ドル)

●注目点

 ○欧州司法裁判所は欧州連合(EU)がソーシャルメディア企業Facebook(FB)に対して、違法な投稿、写真、動画の削除を求めることができるとの判決を下しました。この訴訟は世界的に注目を集めていました。

o カリフォルニアの公益企業のPG&E(PCG)は、送電線を火元とする火事の発生を防ぐため、73万8,000世帯への電気の供給を停止しました(最大200万人が影響を受けたと推定)。同社の株価は10月に38.4%下落し(6.16ドル)、過去1年間では86.8%の下落となりました(2018年10月は46.81ドル)。

●利回り、金利、コモディティ

 ○FOMCは事前予想通り、今年に入ってから3度目となる0.25%の利下げを(8対2で)決定しました(2011年~2018年まで10回利上げを実施し、2007年~2008年にかけては12回利下げを実施)。今回の声明文では景気拡大を維持するために「適切に行動する」という文言が削除されており、追加利下げに対するハードルを引き上げたことが示されました。これに対し株式市場の反応は薄く、債券市場では利回りがわずかに低下しました。

 ○英ポンドは9月末の1ポンド=1.2291ドルから上昇して一時は1.30ドルを上回り、最終的に1.2928ドルで月末を迎えました(2018年末は1.2754ドル、2017年末は1.3498ドル、2016年末は1.2345ドル)。ユーロは9月末の1ユーロ=1.0900ドルから1.1154ドルに上昇しました(同1.1461ドル、同1.2000ドル、同1.0520ドル)。円は9月末の1ドル=108.05円から108.02円に上昇し(同109.58円、同112.68円、同117.00円)、人民元は9月末の1ドル=7.1485元から7.0387元に上昇して10月を終えました(同6.8785元、同6.5030元、同6.9448元)。

 ○原油価格は9月末の1バレル=54.31ドルから下落して54.14ドルで月を終えました(同45.81ドル、同60.09ドル、同53.89ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は9月末の1ガロン=2.737ドルから2.692ドルに下落して月末を迎えました(同2.358ドル、同2.589ドル、同2.364ドル)。

 ○金価格は9月末の1トロイオンス=1,480.50ドルから1,515.40ドルに上昇して月を終えました(同1,284.70ドル、同1,305.00ドル、同1,152.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は9月末の16.24から13.22に下落して月末を迎えました。月中の最高は21.46、最低は12.27でした(同25.42、同11.05、同14.04)。

※「今年15回目となる最高値更新を記録 (4)」へ続く

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