【特集】好調継続の20年3月期【連続増収増益】リスト〔第1弾〕28社選出 <成長株特集>
ニチイ学館 <日足> 「株探」多機能チャートより
「株探」集計によると、20年3月期業績の見通しを開示したおよそ2300社のうち、今期に経常利益ベースで増収増益を見込む企業は1201社と昨年の同じ時期と比べて約1割減少した。下表では、時価総額400億円以上の企業(最高益銘柄を除く)を対象に、20年3月期に連続で増収増益を見込み、かつ経常利益が7%以上伸びる計画を立てている28社を選び出し、増益率が大きい順に並べた。
増益率トップとなったのは介護と医療事務受託の最大手であるニチイ学館 <9792> 。前期は介護部門で居住系施設の利用者が増加したうえ、保育施設の拠点拡大なども寄与し、3期連続の増収増益を達成した。20年3月期は赤字部門の英会話教室と中国事業の構造改革を進め、経常利益は前期比92.9%増の110億円に拡大する見通しだ。好調な決算を受けて株価は2006年2月以来、約13年4ヵ月ぶりの高値圏に浮上している。なお、株探プレミアム会員向けに提供している【業績修正履歴】をみると、直近5年のうち4回、期中に通期業績予想を大幅に下方修正していることがわかる。同社は期初に意欲的な計画を立てる傾向があり、この点は留意しておきたい。
2位のカドカワ <9468> は20年3月期に経常利益が前期比47.4%増の62億円に伸びる見通しだ。今期は動画サイト「ニコニコ」を運営する子会社ドワンゴで不採算事業の撤退などの構造改革を実施し、Webサービス事業が黒字化(前期は25.7億円の営業赤字)するほか、映像・ゲーム事業ではアニメ作品の海外ライセンス販売や配信収入の好調継続を見込む。
4位のコールセンター受託大手、りらいあコミュニケーションズ <4708> は人手不足を背景にアウトソーシング需要が堅調に推移するなか、前期に減損損失を計上した海外子会社ののれん償却費が大幅に減少し、20年3月期の経常利益は前期比35.8%増の76億円に伸びる計画を立てる。
8位のよみうりランド <9671> は遊園地入場者の増加基調が続くうえ、川崎競馬場と船橋競馬場を運営する公営競技部門では勝馬投票券の購入額に連動する賃料収入が伸びる。また、サポートサービス事業はグループ内部工事の増加で大幅増収を見込む。
18位に入ったネットワンシステムズ <7518> の20年3月期は注力姿勢にあるセキュリティ対策やクラウド基盤のシステム構築案件が引き続き増加するほか、パートナー向けソリューションビジネスの拡大を目指す。今期の経常利益は前期比13.1%増の150億円と12年3月期に記録した過去最高益154億円の更新が視野に入る。米中貿易摩擦による世界経済の先行き不透明感が増すなか、内需好業績株として注目され、株価は20日に約17年10ヵ月ぶり高値となる3295円まで上昇した。
22位のヨコオ <6800> と27位の日本信号 <6741> の株価も全体軟調相場に逆行し、力強い上昇トレンドを描いている。車載アンテナ大手のヨコオは20年3月期に営業利益ベースで実に19年ぶりとなる最高益“大復活”を見込むほか、事業拡大に向けた積極的な設備投資への評価も高い。昨年10月にはADAS(先進運転支援システム)・自動運転・5G(次世代移動通信システム)など先端技術に対応するアンテナの開発に向けた電波測定施設を完成させており、これに絡み“5G関連”としても脚光を浴びている。
一方、日本信号は前期にバングラデシュやミャンマーといった海外案件の増加などで鉄道信号部門の収益が拡大し、売上高が前の期比19.2%増の998億円、経常利益が同2.7倍の79億円と業績高変化を遂げた。20年3月期の経常利益は85億円と5年ぶりの高水準に復帰を見込む。決算と同時に発行済み株式数の4.6%を上限とする自社株買いの実施を発表したことも好感され、株価は連日で年初来高値を更新している。
┌ 経常利益 ┐ ┌ 売上高 ┐ 増収増益 予想
コード 銘柄名 増益率 20年3月期 増収率 20年3月期 連続期数 PER
<9792> ニチイ学館 92.9 11000 5.3 303000 4 15.0
<9468> カドカワ 47.4 6200 4.0 217000 2 24.3
<6651> 日東工 40.5 9000 9.4 128000 2 12.6
<4708> りらいあ 35.8 7600 0.2 116000 3 16.8
<4078> 堺化学 31.8 6000 3.9 93000 2 10.7
<9783> ベネッセHD 31.7 16000 4.5 459000 3 25.5
<1968> 太平電 29.6 5200 2.8 104000 2 12.0
<9671> よみランド 27.2 4500 6.3 23350 2 12.8
<7554> 幸楽苑HD 26.0 2000 1.8 42000 2 38.0
<6727> ワコム 24.6 5170 3.9 93000 3 16.8
<8130> サンゲツ 23.9 8300 1.6 163000 2 21.4
<7231> トピー 21.8 11400 7.3 307000 3 7.5
<5440> 共英製鋼 21.4 10500 5.3 255000 2 11.9
<6788> 日本トリム 19.3 2530 7.8 16360 2 27.5
<7004> 日立造 19.0 8000 0.5 380000 2 13.4
<2594> キーコーヒー 18.4 760 0.6 64000 2 64.4
<3863> 日本紙 17.1 28000 4.8 1120000 2 16.9
<7518> ネットワン 13.1 15000 3.1 187500 4 24.6
<9509> 北海電 12.7 34000 2.4 770000 3 4.4
<6395> タダノ 12.2 17500 6.1 200000 2 12.0
<6703> OKI 9.8 17000 1.9 450000 2 8.3
<6800> ヨコオ 9.6 3600 5.9 58000 4 17.7
<8252> 丸井G 9.3 43500 3.0 259000 3 17.7
<2613> Jオイル 9.1 6900 1.7 190000 2 11.8
<7732> トプコン 8.7 12500 3.6 154000 3 17.8
<6976> 太陽誘電 7.7 37000 5.7 290000 3 9.9
<6741> 信号 7.6 8500 5.2 105000 2 14.1
<4528> 小野薬 7.5 70000 0.5 290000 2 18.5
※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前期と比べた増加率、単位は%。
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