市場ニュース

戻る

【特集】逆転の発想、究極のエコ「CO2資源化」関連が“株高”生成へ <株探トップ特集>

二酸化炭素を回収し資源として活用する取り組みが熱を帯びている。「炭素資源」に変えて活用することで、これまでの“削減”という常識が180度変わる可能性を秘めている。

―CO2をエネルギーに変える「CCUS」、地球温暖化対策で物色人気前夜―

 地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)を回収し、資源として活用する取り組みが熱を帯びてきた。これはCO2を一概に悪者として扱うのではなく、「炭素資源」と捉えて再利用するもので、これまで温暖化対策として重視されてきた削減策から“逆転の発想”といえる。今月15~16日にかけて長野県軽井沢町で開かれた20ヵ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合ではCO2回収・利用・貯留(CCUS)の開発・強化が取り上げられ、今後は株式市場でも関連銘柄に関心が向かいそうだ。

●経産省は技術ロードマップ公表

 G20エネルギー・環境相会合に先立ち、経済産業省は7日に「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を公表した。化石燃料から排出されるCO2を燃料や原料として利用するカーボンリサイクルを実現するため、エネルギーや製品ごとにコスト低減に向けた課題と目標を明確化したことがポイント。具体的には、現在から2030年頃までを「フェーズ1」としてカーボンリサイクルに役立つ技術の開発を進め、30年頃からの「フェーズ2」では普及する技術の低コスト化を図るとともに、需要の多い汎用化学品の製造開発に重点的に取り組み、ポリカーボネートやコンクリート製品などについて既存製品と同等のコストまで引き下げることを目指すとしている。

 16年11月に発効された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、産業革命前に比べて気温上昇を2度未満に抑えることを目標に掲げているが、これを達成するためにはCO2の排出削減だけでなく、既に大気中にあるCO2をどう減らすかが課題となってくる。政府が今月11日に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」を実現するため、50年までに温室効果ガスの80%削減(13年比)に取り組むとしており、このカギを握るのがCCUSだ。

●日揮、出光、宇部興は研究会を設立

 こうしたなか、出光興産 <5019> と宇部興産 <4208> 、日揮 <1963> の3社は今月10日、複数の大学と協力して、火力発電所や工場から排出されるCO2を資源に転換する新技術開発を目的とした研究会を設立したと発表。これはカルシウムなどを多く含む産業廃棄物を活用し、CO2と反応させて炭酸塩化及び高付加価値化するというもので、更にこの炭酸塩や金属イオン抽出後の残渣(ざんさ)を建築・土木材料や各種工業材料などの資源として利用することを見込んでいる。

 また、Jパワー <9513> と中国電力 <9504> は今月5日、共同出資会社の大崎クールジェンが実証するCO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化燃料電池複合発電から回収されるCO2の有効利用に向けた検討を開始したことを明らかにした。回収したCO2を液化・輸送し、Jパワーが北九州市でカゴメ <2811> と共同運営するトマト菜園や微細藻類からバイオ燃料を生産する研究、中国電力などが開発した環境配慮型コンクリートで利用することを想定しており、今年12月から20年度まで実証実験を行う計画だ。

 このほか、環境省が18年度から実施している「清掃工場から回収した二酸化炭素の資源化による炭素循環モデルの構築実証」では日立造船 <7004> が、「廃棄物焼却施設からのCO2を利用した化学品製造に関する炭素循環モデルの構築実証」では積水化学工業 <4204> が技術開発を担当。

 16年に設立された「二酸化炭素地中貯留技術研究組合」の会員に名を連ねている国際石油開発帝石 <1605> 、石油資源開発 <1662> 、大成建設 <1801> 、応用地質 <9755> の動向にも注目しておきたい。

●ユーグレナはCO2でミドリムシ培養

 CO2の原料化では、ユーグレナ <2931> も見逃せない1社だ。同社は今月19日、伊藤忠商事 <8001> と ミドリムシの海外培養実証事業で覚書を締結したことを明らかにした。この実証事業は、火力発電所から排出されるCO2や排熱を利用してミドリムシを培養し、バイオ燃料用や飼料用ミドリムシ生産の商業化に向けた実験を海外で行うもの。最初に開始する試験場所としてインドネシアを選定しており、その他の候補地についても継続して検討する。

 大林組 <1802> は今月17日、水素細菌(水素と酸素の反応によって生じる化学エネルギーを利用し、生体内でCO2が有機物に変化する反応を行う細菌)を活用してCO2から生分解性プラスチックであるポリ乳酸を製造する技術の実用化検討を開始したと発表。再生可能エネルギーから製造した水素を用いることで、化学品原料の脱化石化に貢献することが期待される。

 東芝 <6502> [東証2]は今年3月、独自開発した触媒電極を用いて、CO2からプラスチック、塗料、医薬品といった化学品や燃料の原料となる一酸化炭素に変換する技術で、世界最高レベルの変換速度を達成したと発表。実用化は20年代後半になる見通しだ。

●三菱ケミHD、TOTOなどにも注目

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、太陽光と水から得られた水素(ソーラー水素)とCO2からプラスチック原料などの基幹化学品を製造するという植物の光合成プロセスの一部を模した、化石資源に頼らない革新的な化学品製造の実用化を目指した取り組みを進めている。

 この技術開発のひとつである「ソーラー水素等製造プロセス技術開発」プロジェクトには、三菱ケミカルホールディングス <4188> や三井化学 <4183> 、富士フイルムホールディングス <4901> 、TOTO <5332> などが参加。21年度末までに光触媒のエネルギー変換効率10%達成などを目標に掲げている。

株探ニュース

日経平均