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【市況】プラチナは値固め継続、米中摩擦休戦なら支援要因に <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリス 東海林 勇行

 プラチナ(白金)の現物相場は5月下旬以降、米中の通商協議の行き詰まりを受け、788.32~832.92ドルのレンジ相場が続いている。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を受けて ドル安に振れたことにより下げ一服となったが、米中の貿易摩擦に対する懸念が上値を抑える要因になった。

 しかし、月末の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で米中首脳会談が開催されることになり、貿易摩擦に対する懸念が後退した。トランプ米大統領はこれまでG20で合意に達しなければ米国は3250億ドル相当の中国製品に対しても25%の関税を課すとしている。だが、貿易戦争の休戦で合意し、追加関税の発動を回避できれば先行き期待からプラチナが上昇する可能性も出てくる。

 ただ、プラチナは供給過剰見通しが上値を抑える要因である。これまでに課された関税の撤廃方針が示されなければ、買い戻し主導の上昇にとどまり、900ドル前後で上値が抑えられるとみられる。

●米国が対中追加関税発動すればプラチナ一段安も

 米通商代表部(USTR)は17~25日、中国製品に対する第4弾の制裁関税の公聴会を開いた。参加企業や業界団体などは300超にのぼり、大半が「発動反対」に回った。第4弾のリストには衣料品や靴、スマートフォンなどの生活必需品が多く含まれており、関税発動で販売価格が値上がりし、消費が落ち込むとみられている。全米民生技術協会(CTA)は、今回の輸入品の半分強はテクノロジー製品であり、関税賦課により、中小企業を中心に「壊滅的」な影響が及ぶ恐れがあると指摘している。公聴会終了後には7日間の意見公募期間が設けられ、米大統領は関税を発動するかどうかを決定する。

 一方、中国国家発展改革委員会(NDRC)がレアアース(希土類)に関する輸出規制の強化について検討しており、米国が関税発動を決定した場合、中国の報復措置も焦点になりそうだ。国際通貨基金(IMF)は、米中の報復関税合戦が2020年に世界の経済生産を0.5%下押しする可能性があるとの見方を示しており、景気の先行き懸念が強まると、プラチナは強固な支持帯となっていた800ドル割れの水準から一段安となる可能性が出てくる。中国商務省は25日、中国副首相とライトハイザー米USTR代表らが電話で意見交換し、対話を続けることで合意したとした。米中首脳会談は29日の予定とされており、合意できるかどうかを確認したい。

 一方、米中の貿易摩擦に対する懸念から、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まったことはプラチナの下支え要因である。米連邦公開市場委員会(FOMC)はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%に据え置くことを決定した。ただ、不確実性の増大などに対応するために年内に最大0.5%の利下げが実施される可能性があることも示唆した。米FRBはFOMC声明で、「景気拡大を維持するために適切に行動する」と表明している。

 CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のフェドウォッチによると、7月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.75~2.00%が29.2%(前月0.8%)、2.00~2.25%が70.8%(同17.4%)となった。前月は据え置きの確率が81.8%となっていたが、利下げ予想に急速に転じた。ドル指数は2月28日以来の安値95.84をつけており、ドル安が進むかどうかも当面の焦点である。

●NY市場でファンド筋の売り玉が急増

 米中の貿易摩擦への懸念を受け、ニューヨークの先物市場では大口投機家の売り玉が急増した。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月18日時点のニューヨーク・プラチナの買い越しは1970枚(前週6952枚)に縮小した。4月30日の3万3322枚買い越しがピークとなり、急速に縮小している。買い玉が1391枚減少したのに対し、売り玉は2万9961枚増加した。

 ただし、米中首脳会談で貿易戦争休戦で合意すればプラチナはレンジ下限を維持し、買い戻し主導で上昇するとみられる。

 一方、プラチナETF(上場投信)残高は21日時点の南アフリカで31.80トン(4月末32.55トン)、米国で21.30トン(同20.59トン)、英国で11.06トン(同11.10トン)となった。南アで減少したが、6月10日の31.50トンを底として投資資金が戻った。米国では5月22日の20.29トン、英国では5月30日の10.53トンを底にして残高が増加した。供給過剰見通しだが、プラチナETFで安値拾いの買いが続くと下支え要因になる。

(minkabu PRESS CXアナリス 東海林 勇行)

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