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【特集】はてな Research Memo(3):2019年7月期第2四半期累計業績は大幅増収増益に

はてな <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2019年7月期第2四半期累計業績の概要
2月28日付で発表されたはてな<3930>の2019年7月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比33.7%増の1,256百万円、営業利益で同130.5%増の261百万円、経常利益で同106.9%増の259百万円、四半期純利益で同108.9%増の177百万円となり、第2四半期累計としては2年ぶりに最高業績を更新した。コンテンツプラットフォームサービス、コンテンツマーケティングサービス、テクノロジーソリューションサービスと3部門揃って増収となり、なかでもテクノロジーソリューションサービスが前年同期比76.0%増と大幅増収となったことが業績の押し上げ要因となった。なお会社計画は非開示となっているが、売上高、利益ともにやや上回ったものと推定される。

費用面では、積極的な人材投資(当第2四半期末の従業員数は前年同期末比22人増の139人)により、人件費が前年同期比23.9%増の540百万円となったほか、データセンター利用料が同8.7%増の205百万円、オフィスの増床による賃借料の増加等によりその他費用が同24.4%増の250百万円となるなど、全体で同20.5%増の995百万円となったが増収効果で吸収し、営業利益率は前年同期の12.1%から20.8%に大きく上昇した。

データセンター利用料の増減要因を見ると、事業拡大に伴う自然増で27百万円の増加、ITインフラ投資(データセンター移行に伴う二重支払の発生)で38百万円の増加となった一方で、旧システムから新システムへの更新等によるコスト削減施策で48百万円の減少要因となった。また、営業外収支が若干悪化したが、これは前年同期に計上した保険解約返戻金9百万円がなくなったことに加え、為替差損益が4百万円悪化したことが要因だ。


「Mackerel」「はてなブログMedia」等のBtoB向けストック型ビジネスが好調
2. サービス別売上動向
(1) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前年同期比8.1%増の308百万円と堅調な増収となった。主力サービスとなる「はてなブログ」を中心に登録ユーザー数が前年同期末比17.1%増の786万人、月間ユニークブラウザ数が前年同期比5.3%増の2.38億UBといずれも増加し、広告収入増と「はてなブログPro」の有料プラン契約数の増加が増収要因となった。Q&Aサイトとなる「人力検索はてな」の訪問数は、検索エンジンの高度化が進んだこともあり減少傾向が続いているが、一方で、TwitterやFacebookなどのSNSを使った情報発信よりもさらに深い情報を発信したいユーザーが、同社の「はてなブログ」を利用するといったケースが増え、登録ユーザー数や有料プランの増加につながっていると見られる。

(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスは前年同期比17.9%増の414百万円と会社計画を上回る増収となった。企業のオウンドメディアとなる「はてなブログMedia」の運用件数が前期末比12件増の58件と通期目標の57件を上回ったことが主因だ。当第2四半期累計期間中における新規開設件数は13件(前年同期比5件増)、解約件数は1件(同3件減)となり、新規開設件数の増加が加速していることがうかがえる。

使いやすいUIや高いシステム安定性、検索エンジンから評価されやすいサイト構造実現に向けた機能強化に継続して取り組んでいることや、「モバイル環境でWebコンテンツの表示を高速化するプロジェクト」であるAMP(Accelerated Mobile Pages)にいち早く取り組んできたことに加えて、2018年7月期から提供サービスプランに「レギュラー」「ライト」の2プラン制を導入し、大企業からベンチャー企業まで幅広い企業層に対して提案訴求してきたことが運用件数の増加につながった。また、デジタルマーケティング戦略や人材採用戦略において、オウンドメディアを活用する事例が増えてきたことも要因と考えられる。

(3) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスは前年同期比76.0%増の535百万円と大幅増収となった。受託サービスのうち、受託開発が期ずれ案件の計上もあって大幅増となったことに加えて、サーバー監視サービス「Mackerel」の累積顧客指数が前年同期末比で69.4%増と急拡大が続いていること、マンガビューワ「GigaViewer」も新たに(株)ヒーローズのマンガ雑誌「月刊ヒーローズ」公式サイトや、(株)リイド社のマンガサービス「コミックボーダー」に新たに採用され、合計7件(前年同期末比4件増)に導入されたことなどが増収要因となった。

受託開発案件では任天堂が2018年12月に発売した「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」における「ニュース・お知らせ機能」の開発を行った。「Mackerel」については、クラウドサービスの普及拡大が続くなかでサーバー管理担当者の業務負担軽減につながるメリットが認知されるようになり、特にインターネット関連企業での導入が拡大しているようだ。2018年8月に、AWS最上位コンサルティングパートナーであるクラスメソッド(株)と販売代理店契約を結んだことも顧客数増加に寄与した。なお、「GigaViewer」や受託開発案件等の保守運用サービスの増収率は前年同期比20.5%増となっており、増収寄与度としては受託開発の開発料売上、「Mackerel」、運用保守サービスの順となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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