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【特集】Jトラスト Research Memo(4):金融事業がグループ全体の中核事業(2)

Jトラスト <日足> 「株探」多機能チャートより

■Jトラスト<8508>の事業概要

3. 東南アジア金融事業
東南アジア金融事業では、東南アジアで最大の人口を持つインドネシアで銀行業及び債権回収事業などを展開する。ライツ・オファリングで得た資金により、銀行業の現PT Bank JTrust Indonesia, Tbk.(以下、Jトラスト銀行インドネシア)を傘下に収めた。2019年3月期は同行の業績悪化に苦しんでいるが、将来的には債権回収業のPT JTRUST INVESTMENTS Indonesia(以下、Jトラストインベストメンツインドネシア)、マルチファイナンス会社のJTOとともに、同社グループでは東南アジア金融事業が第3の収益の柱に成長し、グループの業績をけん引することを期待している。

長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったJトラスト銀行インドネシアについては、同社グループでは最優先課題の1つとして、再生に取り組んでいる。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社Jトラストインベストメンツインドネシアを設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど、銀行再生を加速してきた。ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期第3四半期決算において抜本的な対応に踏み切った。すなわち、Jトラスト銀行インドネシアでは買収前からの負の遺産である不良債権を前倒しで一括処理し、またJトラストインベストメンツでは移転された不良債権の回収することを決断した。このように抜本的な不良債権処理を断行することで、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。回収及び不良債権売却を進めた結果、2018年12月の銀行の貸出残高は102,576億ルピア(約800億円)に減少したものの、90日以上延滞債権の割合は4.3%に低下している。現在、銀行単体での積極的な貸付は停止しており、今後はJTOを主軸として貸出資産を増加させ、来期は、とりあえず収支均衡を図る計画である。また、同銀行は、2019年1月には、日本全国で介護施設を展開するウチヤマホールディングス<6059>傘下の(株)さわやか倶楽部及び広島銀行<8379>と、インドネシアにおける個人向けローン商品の共同開発を行うなど、新たな取り組みも始めている。

マルチファイナンス会社のJTOについては、2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めた。JTOはオートローン業界の老舗として高い知名度があり、2017年12月末の資産規模は、業界44位の17,270億ルピア(約130億円)で、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。既に提携先等のパートナーも増えており、従来の中古車ローンに加え農機ローンや新車ローンなど新しい商品の提供を始めている。また、Jトラスト銀行インドネシアのバランスシートを活用し、資金調達の安定化、資本効率の向上を進めつつ、銀行の再建にも寄与する見通しである。JTOのグループ入りに伴い、韓国に続きインドネシアでも、銀行、債権回収会社、ファイナンスカンパニーの三位一体の事業セグメントが構築され、幅広いエリアにおける多様なニーズに応えられる体制が整うことになる。

加えて、カンボジアの商業銀行で2017年12月末の資産規模は、業界7位(約1,120億円)のANZRの株式55%を2019年5月までに取得予定である。ANZRは優良銀行であり、同社グループに対する早期の利益貢献が期待される。こうした矢継ぎ早の買収から、東南アジア金融事業を今後のグループ成長ドライバーと位置付ける、同社の戦略が鮮明にうかがわれる。

4. 投資事業
投資事業では、シンガポールを拠点に、事業のシナジー性や商品力などを総合的に判断し、投資先を選定する。特に、金融事業あるいは金融事業とシナジー効果が見込める事業に投資している。ただ、2019年3月期第3四半期は、保有するGLに対する債権全額に対して貸倒引当金を繰り入れたことでグループ全体の業績悪化を招いた。改めて海外企業への投資の難しさを示す結果となったが、貸倒引当金を引き当てたことで今後は将来の回収金は利益計上されることになるため、回収に尽力することでグループ全体の業績回復に貢献する計画である。

5. 非金融事業
同社グループでは、非金融事業として総合エンターテインメント事業、不動産事業、システム事業などを展開している。ライブ・エンタメ事業を中心に展開する子会社のKeyHolder<4712>(2017年10月1日にアドアーズ(株)より商号変更)では、2018年3月に子会社のアドアーズを売却した。さらに2018年10月には同社の連結子会社(孫会社)であるハイライツ・エンタテインメント(株)を売却し、グループ経営資源の選択と集中を進めた。ただ、同社の本業である金融事業とのシナジーを考えると、非金融事業は今後もさらに見直しの余地が大きい事業分野と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《HN》

 提供:フィスコ

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