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【特集】高橋春樹氏【くすぶる米中貿易摩擦、相場の風向きは変わるか】(2) <相場観特集>

三木証券 取締役 商品本部長 高橋春樹氏

―不安と期待が入り混じる年末相場と日経平均の居どころ―

 週明け19日の東京株式市場は3営業日ぶりに反発に転じた。米中貿易摩擦問題は依然として相場の重荷となっているが、トランプ発言などを受け、足もとはやや行き過ぎた警戒感に歯止めがかかっている。また中国・上海株も目先底入れの動きをみせており、風向きは若干変わってきたようにも見える。ここから年末相場に向け日経平均株価はどのような軌道を描くのか。第一線で活躍する市場関係者にここからの見通しを聞いた。

●「年内に日経平均2万3000円が射程圏に」

 高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)

 4~9月期決算と19年3月期通期業績見通しの発表が終了した。その結果を集計してみると、4~9月期経常利益の増益率は、前年同期比12.2%増と、4~6月期の前年同期比16.5%増に比べてやや減速している。ただ、19年3月期通期の経常利益予想増益率は、4~6月期発表時点では前期比2.1%増だったものが4~9月期では6.2%増予想と、通期予想は上方修正となっている。また、下期(18年10月~19年3月)の想定為替レートの平均は、1ドル=108円60銭程度となっており、足もとでも円安メリット享受による通期業績上方修正の余地がある。

 11月第1週(5~9日)の海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買動向は、3838億円の買い越し(前週は4592億円の売り越し)となった。買い越しは5週ぶりで、前週までの4週間の海外投資家の現物株と先物合計の売り越し額は、4兆7000億円に達していた。この数値から判断して、海外投資家による大規模な売り需要は峠を越えたのではないか。

 一方、ここにきて米長期金利の上昇一服傾向が鮮明となっていることに注目したい。金利低下がより鮮明になれば、NYダウ平均株価を値固めから反転上昇に導く支援材料となりそうだ。先週は、米アップルの新型スマホの販売不振懸念台頭や、半導体関連のエヌビディアやアプライドマテリアルズが、収益懸念により時間外取引で株価が急落するなど、米国発の大きなマイナス材料が飛び出した割には、日経平均は底堅い動きとなった。

 11月30日~12月1日に、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれる主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、米中貿易摩擦問題などの解決に向けて一定の方向性が見いだせることになれば、株式市場にとっては年末高に向けての追い風となりそうだ。10月2日取引時間中の日経平均の高値2万4448円から、同月26日の安値2万971円までの下落幅の半値戻しに相当する約2万2700円水準から2万3000円が、年末までには射程圏に入る可能性もある。

(聞き手・冨田康夫)

 <プロフィール>(たかはし・はるき)

 1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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