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【特集】太田千尋氏【くすぶる米中貿易摩擦、相場の風向きは変わるか】(1) <相場観特集>

SMBC日興証券 投資情報部部長 太田千尋氏

―不安と期待が入り混じる年末相場と日経平均の居どころ―

 週明け19日の東京株式市場は3営業日ぶりに反発に転じた。米中貿易摩擦問題は依然として相場の重荷となっているが、トランプ発言などを受け、足もとはやや行き過ぎた警戒感に歯止めがかかっている。また中国・上海株も目先底入れの動きをみせており、風向きは若干変わってきたようにも見える。ここから年末相場に向け日経平均株価はどのような軌道を描くのか。第一線で活躍する市場関係者にここからの見通しを聞いた。

●「当面は2万2000円を挟んだもみ合い局面続く」

 太田千尋氏(SMBC日興証券 投資情報部部長)

 東京株式市場は、前週に日経平均が大きく調整したことに伴う値ごろ感から目先リバウンドに転じているが、トレンドとして上昇に転じているという感触はない。ここから年末にかけて日経平均は2万2000円台を挟んでのもみ合いが続くとみている。

 前週末のNYダウは続伸し120ドル強の上昇をみせ、週明けの東京市場もこれに追随した。米中貿易摩擦問題に対する警戒感の後退が、直近のNYダウ反転の背景に挙げられているが、実際は前週末の米株市場でキャタピラーに投資資金の流入が目立ったかといえばそういうことはなく、むしろヘルスケア関連などが買われ全体の地合いを牽引した。スケジュール的には11月30日~12月1日にアルゼンチンで開催されるG20と同時に米中首脳会談も見込まれており、この行方にマーケットの視線が集まることになる。しかし、基本的に米中貿易摩擦問題は今後も不透明感が払拭されるような状況は期待できない。

 また、きょうの東京市場では東京エレクトロン <8035> をはじめ広範囲に半導体関連が買われたが、自律反発の域といってよい。半導体業界の収益環境には構造的な逆風の強さが意識され、株式市場でも継続した買いは想定しにくいだろう。物色対象としては、グローバル景気に減速懸念がくすぶるなか、内需系の銘柄が注目されやすい。セクター別では消費関連株の一角が相対的に優位性を発揮しそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおた・ちひろ)
1985年日興証券入社。投資情報部、金融法人営業部、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)出向(リサーチ部門)、エクイティマーケティング部、株式アドバイスセンター、機関投資家営業部を経て、2013年10月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

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