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【市況】S&P500 月例レポート ― アノマリーを破り再び過去最高値を更新 (2) ―


●主なポイント

・9月のS&P 500指数は2,913.98で取引を終え、8月末の2,901.52から0.43%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス0.57%)。8月は3.03%の上昇でした(同プラス3.26%)。過去3カ月間では7.20%上昇(同プラス7.71%)、年初来では8.99%上昇(同プラス10.56%)、過去1年間では15.66%上昇(同プラス17.91%)、大統領選当日(終値2,139.56)以降では36.20%上昇(同プラス41.41%)となっています。同指数は9月中に終値での最高値を1回更新して、年初来の更新回数は19回となりました(直近の高値更新は9月20日で2,930.75)。最高値の更新は2017年に62回(1995年の77回に次ぐ過去2番目の更新回数)、大統領選以降では89回となりました。

 ダウ平均は2万6,458.31ドルで取引を終え、8月末の2万5,964.82ドルから1.90%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス1.97%)。8月は2.16%の上昇でした(同プラス2.56%)。過去3カ月間では9.01%上昇(同プラス9.63%)、年初来では7.04%上昇(同プラス8.83%)となっています。ダウ平均は9月中に最高値を2回更新しました。これは2018年1月26日に2万6,616.71ドルの最高値を記録してから237日ぶりの更新で、これにより最高値の更新回数は年初来で13回(1886年以降の最高値の更新回数は2017年の71回が過去最高)、大統領選以降で101回となりました。

・米国10年国債利回りは8月末の2.86%から上昇して3.06%で9月を終えました(2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。

・英ポンドは8月末の1ポンド=1.2960ドルから1.3034ドルに上昇し(同1.3498ドル、同1.2345ドル)、ユーロは8月末の1ユーロ=1.1606ドルから横ばいでした(同1.2000ドル、同1.0520ドル)。円は8月末の1ドル=111.17円から113.69円に下落し(同112.68円、同117.00円)、人民元は8月末の1ドル=6.8318元から6.8690元に下落しました(同6.5030元、同6.9448元)。

・原油価格は8月末の1バレル=69.92ドルから上昇して73.53ドルとなりました。7月末は68.43ドルでした(同60.09ドル、同53.89ドル)。米国のガソリン価格(米エネルギー情報局(EIA)による全等級)は8月末の1ガロン=2.906ドルから上昇して2.923ドルで9月の取引を終えました(同2.589ドル、同2.364ドル)。

・金価格は8月末の1トロイオンス=1,205.30ドルから下落して1,195.10ドルで月を終えました(同1,305.00ドル、同1,152.00ドル)。7月末は1,232.90ドルでした。

・VIX恐怖指数は8月末の12.86から低下して12.12で月末を迎えました。7月末は12.84でした。月中の最高は15.63、最低は11.10でした。(同11.05、同14.04)。

・第2四半期のEPSは暫定値で前年同期比26.7%増と過去最高を更新し、売上高も11.2%増で過去最高を更新しました。

・第2四半期の自社株買い額(暫定値)は2018年第1四半期(従来の過去最高)から増加して総額1,906億ドルとなりました。2018年第2四半期は前年同期比で58.7%増、2018年上半期は49.9%増でした。

・ビットコインは9月中に7,418ドルの高値と6,131ドルの安値を付け、8月末の7,067ドルから下落して6,661ドルで月を終えました(同1万3,850ドル、同968ドル)。

・ボトムアップベースで算出した1年後の目標値はS&P 500指数が3,184(現在値から9.28%上昇、8月末時点の目標値は3,093)、ダウ平均は2万8,618ドル(同8.24%上昇、同2万8,261ドル)と、引き続き上昇しました。

●ファンダメンタルズ

・S&P 500指数構成企業の2018年第2四半期決算は、暫定結果に基づくと素晴らしい内容となっています。営業利益は前年同期比で26.7%増加し、全体の80.0%の銘柄で予想を上回り、EPSは3四半期連続で過去最高を記録しました。売上高は同11.2%の大幅増加で過去最高を更新し、73.6%の企業で予想を上回りました。営業利益率も過去20年間の平均8.08%に対し、過去最高の11.55%(従来の最高は11.40%)となる見込みです。

 第3四半期の利益見通しは現在、前年同期比28.1%増と(同四半期の見通しについては大幅な変更はありませんでした)、再び過去最高の更新が予想されており、第4四半期には同25.0%増とさらなる記録更新が見込まれています。2018年通年では、利益は2017年を26.4%上回る見通しで(大半は減税効果による)、2019年は2018年から12.1%の増益が予想されています。とはいえ、経済の不透明感を考慮すると、この予想は依然として若干楽観的と受け止められています。

 2018年第2四半期の自社株買い(暫定値)は、過去最高を付けた第1四半期からさらに増え、1,906億ドルと過去最高を更新しました。第2四半期は前年同期比で58.7%増、上半期は同49.9%増となりました。9月に支払われた1株当たり現金配当は4.03ドルで、前年同月から24.46%増加しました。年初来では39.56ドルとなり、前年同期から9.42%増加しました。第3四半期の現金配当は1株当たりで13.66ドルと過去最高となり(2018年第2四半期の13.10ドルから増加)、合計で1,157億ドル(同1,116億ドル)となりました。年初来で291銘柄が増配し、減配したのはわずか2銘柄でした(そのうちの1社であるホテル大手のWyndham Worldwideは、事業をスピンオフして2社に分社化し、スピンオフ後の2社の配当率は分社化前と同じでした)。291対2という比率は最近の指数の歴史において比類するものがありません(筆者が入手しているデータは2003年以降のものです)。

 9月の配当金増加率の中央値は14.29%となり、8月の14.81%を下回り、7月の13.04%を上回りました。年初来の中央値は10.34%でした。また9月の平均増加率は14.58%となっています(8月は16.59%)。年初来の平均増加率は14.45%(9月時点でも14.45%)となり、2017年の同期間の11.36%を上回っています。9月までの12カ月間の支払配当額は前年同期比で9.42%増加し、2018年も過去最高となることが予想され、そうなれば7年連続で過去最高を付けることになります。ただし、事業環境、現金の入手可能性、予想される利益の増加、株主還元を強調する企業の「意欲」を踏まえても、実際の配当金の前年同期比の増加率が再び2桁になる可能性は少ないように思われ、合計で9%前半となることが示されています。それでもなお順調であり(特に減税効果を踏まえると)、依然として賃金の伸び率の数倍となっています。

 注目は、2018年第2四半期のGDP確報値が、個人消費と企業支出ならびに純輸出が増加して年率換算で前期比4.2%増となったことです。企業利益は6.4%増となりました。米商務省経済分析局の暫定報告によると、第2四半期に米企業は(現行規制の規定に基づき)海外保有利益1,700億ドルを国内に環流させました(第1四半期は2,950億ドル)。米家計資産は第2四半期に2.19兆ドル増加して過去最高の106.9兆ドルとなりました(S&P 500指数の時価総額は24.8兆ドル)。

※「アノマリーを破り再び過去最高値を更新 (3) 」へ続く

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