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2018年10月13日13時30分

【市況】S&P500 月例レポート ― アノマリーを破り再び過去最高値を更新 (1) ―


 S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

●2018年分の値上がりは第3四半期に大半を実現

 株式市場が広く値上がりした第3四半期は、多額の資金をビットコインに振り向けてはなりませんでした(ビットコインの価格が現在の6,661ドルではなく、2017年12月の1万9,871ドルに戻したのであれば別ですが)。一方、第3四半期の株式市場は13週のうち10週でリターンがプラスになり、さらに、珍しく9月もプラスを記録しました。これまで9月は54.4%の確率で値下がりし、平均下落率は1.00%でした。わずか0.43%(配当込みのトータルリターンは0.57%)の上昇とはいえ、値上がりしたことに変わりはありません。

 9月24日からの週は、第3四半期に値下がりした3週間のうちの1週間(0.54%の下落)として取引を終えましたが、そのことを気に留める市場参加者はいないようでした。空売り銘柄の含み損を抱えることになった株式ショート筋を除けば、ですが。ウォール街のムードは明るく、S&P 500指数は第3四半期に7.20%(配当込みのトータルリターンは7.71%)値上がりしました。これは、2013年第4四半期の11.35%以来、第3四半期としては10.72%を記録した2010年以来の上昇率です。

 数ティックを取りに行くトレードや、デイトレなど短期売買を行わなくても、この3カ月間はリターンを手にすることができました。S&P 500指数は取引レンジを上抜けて2,900を突破し、取引時間中の高値(2,940.91)と終値での高値(2,930.75)を更新し、第3四半期中に最高値を5回更新したからです(9月に1回と8月に4回)。

 年初来で見ても、最高値の更新は1月の14回を含めて19回に上り、個別銘柄でも、値上がりした銘柄数(348銘柄)が値下がりした銘柄数(157銘柄)を大きく上回りました。直近の株価上昇と値上がり基調の継続は、S&P 500指数が過去6カ月間の取引レンジから上放れたことを裏付けるものと言えるでしょう。

 インデックスとして長い歴史を持つダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は、2018年1月26日にS&P 500指数とともに最高値を付けた後、S&P 500指数に遅れを取っていましたが、9月に入って、年初来で12回目と13回目、大統領選挙以降では100回目と101回目となる最高値更新を記録しました。

 この3カ月を振り返ると、株価を動かしたのはテクニカル要因だったようです。減税と売上高の増加(2018年第2四半期は前年同期比11.2%増)を背景に、企業利益は暫定データで同26.7%増と拡大しました。貿易問題は駆け引きが続いているものの、進展もありました。米国とカナダの間では交渉が継続中で、米中間は緊張が高まっているように見えますが、いずれも合意に達するとの見方が多勢を占めています(カナダとは早い段階での合意が見込まれ、中国との合意は年末)。

 注意すべき点は、ウォール街では多くの市場関係者が引き続き中国との貿易問題を重大な懸念事項ととらえており、貿易戦争に発展する可能性もあると考えていることです。政治問題が経済問題を圧倒する場合もあります。

 現時点でS&P 500指数は、年初来8.99%の上昇、配当込みのトータルリターンがプラス10.56%、年率換算ではプラス14.37%と、好調に推移しています。バーでの会話と仲間に酒を振る舞っているトレーダーの人数(ただし、お金がなくてもトレーダーは平気で奢る場合があるので、この人数はあまり参考にはなりません)から判断すると、今ここで1年が終わったら困ると言う人はほとんどいないでしょう。

 第4四半期に向けた市場心理が暗いわけはなく、多くは明るい見通しを持っているものの、弱気派や逆張り派は常に存在するものです。一方、これまでのところ今年は困難な年でもありました。2018年の値上がり分の大半は第3四半期に実現したもので、それによって最適な状態が維持されています。現時点で見通すと、第4四半期もまた相場の波乱や政治の混乱が続くと思われます。

●「嘘には3種類ある。普通の嘘、真っ赤な嘘、そして統計だ」(マーク・トウェイン)

 ・貿易問題は9月も引き続きメディアを賑わし、グローバル市場を左右しました。NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の合意期限である9月30日が迫る中(米国議会への通知。12月1日にはメキシコ大統領が退陣。カナダでは10月1日に地方選挙実施。米国では2019年1月3日に新議会が発足)、米国とカナダの交渉が続けられました。

 トランプ大統領は2018年9月24日に、それまでの関税対象である500億ドル相当に加えて、2,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を発動しました。当初の関税率は10%で、2019年1月1日には25%に引き上げられます(したがって、交渉のための時間的余裕があり、中間選挙前に米国の物価が上昇する事態を避けることができます)。大統領はさらに2,670億ドルの中国からの輸入に追加関税を課すことも検討していると表明しました(2017年の中国からの輸入額は5,050億ドル)。中国は報復措置として、同じく2018年9月24日付で600億ドル相当の米国製品に対する追加関税を発動しました。

 →米国市場は9月に0.03%上昇、年初来では9.09%上昇

  ◇時価総額は9月に70億ドル減、年初来では2兆1,510億ドル増

 →米国以外の市場は9月に0.03%下落、年初来では5.24%下落

  ◇時価総額は9月に2,730億ドル増、年初来では1兆1,540億ドル減

・過去最高の企業業績、貿易交渉の進展、個人消費拡大の兆候(減税が追い風)、持続的な経済成長を市場が好感したことから、第3四半期のS&P 500指数は7.20%上昇(配当込みのトータルリターンは7.71%上昇)と好調でした。同指数は9月20日に終値で今年19回目の最高値を更新し、2016年11月8日の大統領選当日以降の最高値の更新回数は89回となりました(取引時間中の最高値は2,940.91、終値での最高値は2,930.75)。ダウ平均も9月20日と21日に今年12回目、13回目の最高値(大統領選当日以降で100回目と101回目)を更新しました(取引時間中の最高値は2万6,769.16ドル、終値での最高値は2万6,743.50ドル)。

・米国10年国債利回りは8月末の2.86%(7月末は2.96%)から上昇して3.06%で9月を終えました。

・S&P 500指数構成銘柄の2018年第2四半期のEPSは好調で過去最高を更新しました。現在注目を集めている第3四半期は、法人税減税と売上高の増加を背景に高水準の利益とキャッシュフローが見込まれ、利益は前年同期比で27.8%増と、またもや過去最高の更新が予想されています。

・長期に及ぶ強気相場(2009年3月9日以降継続)はとどまる気配がなく、S&P 500指数は過去最高値を更新し、強気相場開始以降の年率リターンは16.51%、配当込みのトータルリターンは年率18.91%となりました。

・2018年第3四半期の63営業日中で1%変動した日数はゼロ(1928年以降では23.5%)、取引時間中の平均値幅が1%以上となった日数はわずか5日でした(1962年以降では67.4%)。

・過去3カ月間が順調だったことから、年初来のS&P 500指数は良好な結果となり、年初来の上昇率は8.99%、年率換算で12.20%、トータルリターンは10.56%、年率換算で14.37%となっています(2017年通年の上昇率は19.42%、トータルリターンは21.83%)。

●2018年9月

 過去の実績を見ると、9月は44.4%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は3.31%、下落した月の平均下落率は4.62%、全体の平均騰落率は1.00%の上昇となっています。10月は58.3%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は4.17%、下落した月の平均下落率は4.66%、全体の平均騰落率は0.49%の上昇となっています。

 今後のFOMCのスケジュールは、年内は11月7日-8日、12月18日-19日、2019年は1月29日-30日、3月19日-20日、4月30日-5月1日、6月18日-19日、7月30日-31日、9月17日-18日、10月29日-30日、12月10日-11日、2020年は1月28日-29日となっています。

※「アノマリーを破り再び過去最高値を更新 (2) 」へ続く

株探ニュース
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