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【特集】サイバー・5G・クラウド「テクノロジー3大戦略エリア」で化ける株10選<株探トップ特集>

相場の地合いは目先悪くとも9月の安値には買い向かえ。投資家の視線が集まる3大投資テーマで、明日の変身株候補を探った。

―9月の安値は年内最後の買い場、強力な上昇波形成に向かうここからの有力銘柄は―

 東京株式市場では、またしても 日経平均2万3000円ラインを完全に突き破ることができずに踵(きびす)を返す展開となった。上昇相場入りへの思惑が今回も雲散霧消となり、仕切り直しを余儀なくされている。これで今年に入ってから5月21日、6月12日、7月18日、8月30日の都合4度にわたるタッチ&リターンである。厳密には7月18日は2万2900円台で折り返しているが、いずれにしても、投資家は2万3000円から上のステージになかなか上がることができない。そこは上昇気流に乗った4度のチャレンジを押し返す“鉄の扉”に閉ざされた舞台といってもよい。

●ゴルディロックス相場継続、振り子は「陽」に向かう

 ただし、9月の安値は最後の拾い場になる可能性がある。「セル・イン・メイ(5月に売れ)」そして「カムバック・イン・セプテンバー(9月に戻って来い)」、つまり9月前半に下押した場面は果敢に買い向かうチャンスで、統計的にも年末に向けキャピタルゲインを確保できる可能性が非常に高い。次の上昇局面では日経平均は“鉄の扉”を開くに違いない。なぜなら、現在の日経平均の予想EPSは1330円を上回り、2012年末にスタートしたアベノミクス相場で過去最高水準に高まっているからだ。慎重さは常に必要だが、ここで弱気に傾いて好機を逃すことのないようにしたい。

 世界的に金融相場の色彩がだいぶ色褪せたことは否めないが、業績相場を飛び越えて逆金融相場に突入するのは早過ぎる段階といえる。現に金融政策正常化の先頭を行く米国ではFRBが利上げを急がない方針を重ねてアナウンスしており、ゴルディロックス相場(適温相場)の道程は実際まだまだ続く。

 そして、相対的に出遅れる東証2部や新興市場も東証1部にキャッチアップする形で書き入れ時を迎えることになろう。マザーズ市場ジャスダック市場は追い証に伴う投げ売りを回避し、陰の極を脱したとはいえ依然として底値圏、ここから振り子は陽の極に向け大きな“ひと振り”を待つ段階にある。

 では、今の相場で注目できる有力な投資エリアはどこか。最近の相場をひと言で表現するなら情報通信に絡む“テック系相場”である。買われている銘柄をみると、ひと昔前には投資家の脳裏に刻まれていなかった「サイバーセキュリティー」「5G」、「クラウドコンピューティング」といったテーマに乗る銘柄が多いことが分かる。これらは時代の要請の下で、国家や企業が経営資源を注ぐことが必須となっている分野であり、株式市場でもすたれることのない投資テーマとして光を浴び続けることになる。

●サイバーセキュリティーは産官学連携で緊急強化へ

 サイバーセキュリティーは国家安全保障の観点から、世界的に政府が先導して強化に動かざるを得ない喫緊の重要テーマとなっている。ロシアが16年の米大統領選でサイバー攻撃を仕掛けた可能性は濃厚とみられているが、最近ではこれに倣って中国が近隣諸国への“サイバー政治介入”に向けた技術開発に乗り出しているとの観測もある。米国ではフェイスブックの8700万人分の個人情報流出問題が明らかとなり、同社株が急落を余儀なくされたことは記憶に新しい。さらに、今後は我々のリアルな日常にもサイバー攻撃のリスクは及ぶ。あらゆるものがネット接続されるIoT社会が本格普及する過程で、ランサムウエアをはじめとするウイルス感染などがもたらす危険性はより深刻なものへと変わっていく。

 日本では20年の東京五輪をひとつのメルクマールとして、安倍政権が産官学の連携を強化して対応にあたる構えをみせている。サイバーセキュリティー予算は18年度に728億円と前年度の599億円から130億円も上乗せされた。また、内閣官房は19年度予算の概算要求で、政府のサイバーセキュリテイーの司令塔となっているNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の経費を18年度比1.7倍の水準に引き上げる方針を示している。

 株式市場でも引き続き関連銘柄への注目は怠れない状況にある。

【エンカレッジはセキュリティー最新モデル発売】

 エンカレッジ・テクノロジ <3682> [東証M]はシステム管理者向けソフトを手掛け、セキュリティー対策で強みを有する。内外のセキュリティー脅威から重要システムを守る特権ID管理ソフトウェア「ESS AdminControl」最新バージョン1.6の販売を8月末から開始している。18年4-6月期は営業利益段階で前期比2.8倍の1億5000万円と好調。8月以降は全体相場に左右されない強力な下値切り上げ波動を形成、出来高流動性には乏しいものの、25日移動平均線をサポートラインとする着実な上昇トレンドが継続しそうだ。<急騰性3・中期的上値余地3>

【ラックは“脅威インテリジェンス”の先駆】

 ラック <3857> [JQ]は情報セキュリティー分野に実力を有するシステムインテグレーターで、企業へのサイバー攻撃を監視するセキュリティーソリューションサービスが好調、好採算部門の伸びで売上高だけでなく利益率の向上も顕著だ。サイバー攻撃の予兆を捉え、顧客企業に通知する「脅威インテリジェンス」といわれる新たなサービスも立ち上がっている。顧客企業にとって脅威となる情報に先手を打って対応できる点でニーズは高いが、同社は同サービスの先駆者として業績に反映させている。<急騰性3・中期的上値余地4>

【セラクは人材派遣でセキュリティー対応】

 セラク <6199> はITインフラの構築・保守を主力にIT系人材を自社教育して派遣するビジネスモデル。サイバーセキュリティー分野に対応したスキルを持つ人材が圧倒的に不足するなか、同社はIT分野で年間300人以上の技術者を採用・育成するなどそのノウハウと展開力で群を抜く。セキュリティー関連に絡む案件も大手企業を中心に伸びており収益を押し上げている。18年8月期から連結決算に移行するが、実質2ケタ増益。株価水準は底値圏で拾い場を提供している。<急騰性3・中期的上値余地4>

●IoTをインフラで支える5Gは抜群のテーマ性

 一方、IoT時代の到来をインフラ面から支えるのは次世代通信規格である「5G」だ。5G導入の意義はこれまでの延長であるスマートフォンや無線インターネット通信の高速化にとどまるものではない。IoT社会が本格化する20年には実に500億台の機器がネット接続されるとの試算がある。その際にLTEの1000倍以上の大容量化と10Gbps以上の通信速度を実現する5Gは、「超低遅延技術」や「同時多数接続」という、避けては通ることのできないもう一つの命題もクリアする。スマートシティ構想や、大手自動車メーカーが経営資源を注ぐコネクテッドカーもIoTの一形態であり、その普及局面では高速・大容量の通信環境は欠かせない。コネクテッドカーの近未来形である自動運転や、遠隔医療などでも5G商用化が大前提となる。

 25年に5G回線は10億回線を超え、世界のモバイル回線の30%以上を占めるとの見方もある。 IoT社会と並行して、ビッグデータやそれを最大限に活用した人工知能(AI)の進化など、産業革命が同時進行していくプロセスで、そのサービス領域も大きな広がりをみせることが予想されるが、飛び交う膨大なデータを遅滞なく処理する“縁の下の力持ち”、5Gなくして画期的な成長市場は創出されない。

 既に5Gの商用化に向けて米国や韓国の通信事業者をはじめ世界の機器メーカーが一斉に動き出しており、20年の商用化を19年に1年前倒しする勢いで注力する構えを見せている。日本では政府主導で昨年度から実証実験をスタートさせており、東京五輪開催年である20年に国内で商用化の計画にある。20年時点で5G関連投資は世界ベースで55兆円に及ぶ投資需要が生まれるとの試算もある。

 いうまでもなく、関連銘柄が人気化するのは当然ともいえる背景があるのだ。

【PALTEKはFPGAで5G時代の中核企業に】

 PALTEK <7587> [東証2]は半導体商社で、特定用途向け半導体(ASIC)のほかグラフィック半導体(GPU)や現場での構成可能なFPGAなどを強みとしている。最近ではNTTドコモ <9437> などと共同でリアルタイム処理が可能な世界初の「8K360度VRリアルタイム映像処理装置」を開発している。FPGAコンピューティングを活用することにより8Kリアルタイム処理を可能としたもので今後に期待が膨らむが、これは5G環境が前提だ。このほか、同社は高技術力を武器に5G関連の通信機器分野に積極的に取り組んでおり、5G普及局面でその存在感を大きく高めることになる。18年12月期は減益見通しにあるものの、19年12月期以降は2ケタ成長路線に突入する公算がある。株価は急騰性が高い点もポイント。<急騰性5・中期的上値余地4>

【アイレックスは併合前の駆け込み急騰も視野】

 アイレックス <6944> [JQ]はNECグループやパナソニックグループを主要販売先にシステム開発を手掛けるが、通信コア技術に強みを持ち、会社側でも5G分野への注力を明示している。新規顧客開拓にも積極的で19年3月期は経常利益段階で前期比3.7倍を見込む。信用買い残はやや重いものの、出来高流動性に富んでおり動き出すと商いがついてくるタイプの銘柄。株価は300円未満と低位に位置するが、9月末に株式併合を控えており、株式需給面でも低位株の看板を掲げている今は思惑高の要素を内包している。<急騰性3・中期的上値余地4>

【サイバーコムは5G×自動運転で実力発揮】

 サイバーコム <3852> は富士ソフト傘下の通信ソフトウェア開発企業で、カーナビなど車載向けが得意、コネクテッドカー自動運転車普及時の5G関連需要を取り込むことが予想される。LTE監視制御システムなどで実績が高く、5Gでも活躍余地が大きい。実際、2月末から4月にかけて同関連銘柄として人気化、株価を短期間で倍化させた経緯がある。時価は底値圏からの出直り初動、5日・25日移動平均線がゴールデンクロスし、5日線は25日線に続き75日線も下から抜き去るタイミングにある。<急騰性5・中期的上値余地3>

【構造計画はドローンにも強く、高配当利回り際立つ】

 構造計画研究所 <4748> [JQ]は独立系システム開発会社で、構造設計から創業しており建築業向けで高シェアを確保。通信分野の開発に強く、5G以外にドローン関連の切り口でも注目度が高い銘柄だ。5Gは20年に商用化され、商業利用区域は23年にも全国へ広がる見通しにあるが、同社は「第5世代モバイル推進フォーラム」に参画し、研究開発や調査研究に力を注いでいる。出来高流動性にやや難があるが、信用買い残も枯れた状態で動き出せば足は軽い。PERなど指標面でも割高感はなく、年80円配を計画し配当利回りが3.6%前後と非常に高い点にも注目。<急騰性3・中期的上値余地4>

●クラウドはアマゾン時価総額1兆円が成長性暗示

 世界的に企業のクラウドの活用が急速に進んでいる。ビッグデータの普及はディープラーニングによるAI進化の礎ともなったが、これと同時進行する形でデータ急増に伴うサーバーなどへのシステム投資負担の重さが企業にとっての悩みの種となっている。これを回避しようという流れがクラウド市場急拡大の背景だ。現在はシステムを更新しても短期間でそれが陳腐化してしまうリスクがあり、そうならないように随時投資を続けていたら、利益採算が悪化してしまうことになる。それよりは、常に最新技術に対応したクラウドを活用する方が企業にとって遥かに賢明な選択となる。

 こうした流れを背景に業績を急拡大させ、世界の注目の的となっているのが米アマゾン・ドット・コムだ。アップルに続く時価総額1兆ドル台乗せを達成したニュースは世界を駆け巡った。クラウドサービス「AWS」が収益牽引役を担い、18年4-6月期は同部門の売上高が1.5倍化した。営業利益率も20%を上回る利幅の大きさで、同社の利益成長の源泉となっている。これを猛追するのがマイクロソフトで、クラウドサービス「Azure(アジュール)」は直近、ウォルマートを取り込むことに成功した。マイクロソフトは20年にアマゾンを抜き去り、クラウド企業として世界トップに躍り出るという野心的な目標を掲げる。

 日本勢は現在米国企業の後塵を拝しているとはいえ、クラウド市場の成長性を強く認識していることに変わりはなく、富士通 <6702> やNEC <6701> といったIT大手企業やNTTグループなどが中心となって新たな果実を獲得しようとしのぎを削っている状況にある。

 このほか中小型株の中にも、ここから頭角を現してくる銘柄が相次ぐことは時間の問題といえそうだ。

【サイボウズは中小型株のクラウド関連代表】

 サイボウズ <4776> はクラウド関連の中小型株としては真っ先に名前が挙がりやすい。業務効率化のグループウェアのソフト開発を展開、「サイボウスオフィス」などクラウドサービスを軸に受注を伸ばしている。17年12月期は営業利益段階で56%増益と急拡大したが、18年12月期は38%減益の5億円を会社側では予想。ところが今中間期時点で10億6900万円(前年同期比26%増)とこれを大幅に超過しており、通期計画がどこまで上振れするかが注目される。株価は8月中旬以降、急速に上値追い態勢に突入、8月30日に大口の利益確定売りが出て急反落したが、売られ過ぎの感が強い。ここにきて700円近辺で下げ止まっており、値運びの速さは折り紙付きであるだけに再騰への期待が高まる。<急騰性4・中期的上値余地3>

【JBCCはエヌビディアとの連携で思惑膨らむ】

 JBCCホールディングス <9889> は日本IBM系のコンピューター関連企業で機器販売やソフト開発を手掛ける。ITインフラ構築で実力を持ち、セキュリティーに強く、企業のクラウド化需要も積極的に取り込んでいる。直近では、8月29日に米エヌビディア社とパートナー契約を締結しており、エヌビディアの仮想GPUソリューションをベースとした高速で快適な仮想デスクトップ環境を顧客に対して提供していく。株価は8月29日に1425円の年初来高値をつけた後調整しているが、時価は25日移動平均線線上に位置しており、弾みつくには絶好のタイミングだ。<急騰性3・中期的上値余地3>

【フライトは持ち合い煮詰まり上放れ前夜の気配】

 フライトホールディングス <3753> [東証2]は音楽や映像コンテンツの配信システムで優位性を持つシステム開発企業だが、電子マネー決済ソリューションでは決済端末やアプリが成長局面にある。18年4-6月期は営業損益が赤字ながら大口案件が下期に寄与する見通し。前期はクラウドソリューションの立ち上がりの遅れが収益にネガティブに反映されたが、今期以降の成長を担う分野であることは確かだ。同分野ではクラウド導入支援のほか、物流や楽曲配信に注力の構えにある。週足では三角持ち合いが1200円台で煮詰まり、上放れ好機を示唆している。<急騰性4・中期的上値余地4>

◇サイバー・5G・クラウド3大戦略エリアで化ける株10選◇
銘柄 <コード>      急騰性    中期的上値余地
エンカレッジ <3682>   ☆☆☆    ◆◆◆
フライト <3753>     ☆☆☆☆   ◆◆◆◆
サイバーコム <3852>   ☆☆☆☆☆  ◆◆◆
ラック <3857>      ☆☆☆    ◆◆◆◆
構造計画 <4748>     ☆☆☆    ◆◆◆◆
サイボウズ <4776>    ☆☆☆☆   ◆◆◆
セラク <6199>      ☆☆☆    ◆◆◆◆
アイレックス <6944>   ☆☆☆    ◆◆◆◆
PALTEK <7587>   ☆☆☆☆☆  ◆◆◆◆
JBCC HD <9889>  ☆☆☆    ◆◆◆

※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。

株探ニュース
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