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【特集】高橋春樹氏【夏枯れの中も頑強な日本株、ここからの狙い筋は】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)

―貿易摩擦に新興国通貨安と不安材料山積、しかし相場は……―

 ここ売買代金低調で夏枯れ相場を思わせる東京株式市場だが、 日経平均は2万2000円台で売り物を吸収する動きをみせている。米中貿易摩擦問題は目先やや不安心理が後退しているものの先行き不透明感は拭えず、外国為替市場ではトルコリラ急落に端を発した新興国通貨安などに対する警戒感は根強いものがある。株式相場の機微に通じる市場関係者にここからの展望をどうみているのか、そして注目銘柄についても意見を求めた。このほか、為替動向についても専門家に見解を聞いた。

●「日経平均のPER13倍台割れは絶好の買い場に」

高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)

 日経平均は、8月13日に終値で2万2000円台を割り込む場面があったものの、大まかに捉えれば、2万2000~2万3000円のレンジ相場が継続していると判断して良いと思う。日経平均の1株利益(EPS)を1700円とすると、PER13倍の株価は2万2100円と試算できる。ここ数ヵ月の相場を振り返ると、PERが13倍台を割り込む場面では高い確率で押し目買いが入り反転上昇局面となっている。

 米中貿易摩擦や、米国とトルコの外交摩擦といったマイナス材料が重なる不透明な局面にあっても、日経平均2万2100円はかなり強固な下値抵抗ラインとして認識されているようだ。22~23日にも開催が見込まれる米中次官級通商協議などを突破口として、米中貿易交渉の妥協点を探る兆しが顕在化してくれば、再び2万3000円に向けた上昇軌道に復帰する可能性もある。ここ数年のアノマリー的な株価推移の傾向からみても、8~9月の押し目は、秋の上昇相場に向けての絶好の仕込み局面となっている。

 米国株相場は、S&P500指数が過去最高値に急接近しているのをはじめ、NYダウ平均株価ナスダック総合指数も比較的堅調な推移をみせている。また、外国為替市場での円相場は、7月以降は円高・ドル安局面でも1ドル=110円をキープして、110円を突破するような円高には至っていない。こうした外部条件を考慮すれば、日本株の投資環境は“リスクオフ”とはいえそうもない。

 19年3月期決算の第2四半期累計(4-9月)の業績内容の輪郭が明らかになり、通期業績の上方修正が伝えられる10月半ば以降は、好業績が牽引する上昇相場がスタートすることになりそうだ。物色対象としては、世界的に安定した需要拡大が見込め、日本企業が強みを発揮できるFAなど設備投資関連の機械株に注目している。なかでも、7月に年初来安値をつけて、反転上昇軌道にあるダイフク <6383> に期待している。また、ファナック <6954> や三菱電機 <6503> も見逃せない。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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