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【特集】雨宮京子氏【夏枯れの中も頑強な日本株、ここからの狙い筋は】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

―貿易摩擦に新興国通貨安と不安材料山積、しかし相場は……―

 ここ売買代金低調で夏枯れ相場を思わせる東京株式市場だが、 日経平均は2万2000円台で売り物を吸収する動きをみせている。米中貿易摩擦問題は目先やや不安心理が後退しているものの先行き不透明感は拭えず、外国為替市場ではトルコリラ急落に端を発した新興国通貨安などに対する警戒感は根強いものがある。株式相場の機微に通じる市場関係者にここからの展望をどうみているのか、そして注目銘柄についても意見を求めた。このほか、為替動向についても専門家に見解を聞いた。

●「悪材料に打たれ強い相場、本格反騰の機うかがう」

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

 東京株式市場は確かに商い薄で方向感も定まらず、その点では夏枯れ相場の印象は拭えないが、日経平均は2万2000円台をキープしているという現実をどう見るかだ。個人的には、売り方に有利な材料が多いなかで今の地合いは底堅さを評価してよいと考えている。日銀のETF買いについてもステルス・テーパリングが取りざたされ、以前よりも下値リスクが意識される状況下で日経平均の「鈍感力」が光を放っている。

 米中貿易摩擦問題については11月の両国首脳会談に道筋をつけるなか、目先は次官級の貿易協議を22日から行うとみられ、この結果を受けてショートポジションを積んだ向きの買い戻しが全体相場に浮揚力を与える可能性がある。また、新興国通貨安の問題も負の連鎖につながる懸念は限定的とみている。

 直接的には米国株の動向よりも、前週末時点で2年7ヵ月ぶりの安値圏に沈んだ上海株市場の動向に投資家のセンチメントは左右されやすいが、それほど心配はしていない。中国の場合、景気減速懸念も間髪を入れず当局の政策アナウンスが出てくることから、売り方もこれを材料に売り込むには勇気がいる。中国経済を悲観する形で上海株の下げがここからさらに加速するということは考えづらい。

 日経平均の下値メドとしては8月13日につけた2万1851円(ザラ場ベース)程度でとどまるとみている。これに対して、ボックス相場にあるとはいえ上値余力はそれよりも大きい。2万2500円近辺の25日移動平均線を上に抜くのが最初のハードルだが、早晩達成される公算は小さくない。さらに8日の高値2万2800円をクリアしてくるようであれば、必然的に鬼門となっていた2万3000円ラインへの再挑戦を視界に入れる流れとなり、リスク選好ムードが強まりそうだ。

 個別銘柄ではユーチューブ全盛の時流を映してUUUM <3990> [東証M]に上値期待が大きいほか、上下水道の設計コンサルで業績増額含みのオリジナル設計 <4642> [東証2]や、シェールガス掘削部材のPGAやリチウムイオン電池用バインダー需要が拡大中のクレハ <4023> に着目。また、「ニンテンドースイッチ」普及とスマートデバイスビジネスの拡大が続く任天堂 <7974> 。さらに透析関連の医療器具が伸び、再生医療分野にも注力するニプロ <8086> は大勢底入れ確認、目先押し目狙いで面白い。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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