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2018年06月20日19時00分

【市況】中村潤一の相場スクランブル 「トランプ乱気流、個別株“最強の選択肢”は」

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

 株式市場は目先波乱含み。貿易摩擦問題の根は深く、濃霧の海原を羅針盤が失われた状態で航海するような状況を余儀なくされています。

 ただし、ここは冷静さが求められる場面ともいえます。6月初旬から中旬にかけての2週間、重要スケジュールが目白押しとなりましたが、まず、これらを振り返る必要がありそうです。全体相場は難所ともいえるイベント満載の6月前半を順調に通過したことに少なからず意味があるからです。

●北風政策で地政学リスクは後退、貿易摩擦は再燃

 米朝首脳会談は具体案に欠けた内容だったとはいえ、会談実現までの日柄の短さを考慮すればそれも想定内であり、その後は両国の事務方の交渉に委ねる形となっています。公の場で非核化に向け北朝鮮が前向きに取り組む姿勢をみせたことで、少なくとも当面は軍事オプションの発動はなくなり、地政学リスクは後退しています。もっとも北朝鮮への経済制裁について中国は強硬姿勢を続ける意図はないようで、通商問題でやり合う米中の足並みが乱れる気配も漂い、これが今後どう影響してくるかは注意を要するところです。

 また、G7サミットはアメリカ・ファースト路線一直線のトランプ米大統領と他国首脳との間で激しく紛糾しましたが、これも予想されたトランプ劇場の一幕であり、この段階では株式市場へのネガティブな影響は顕在化しませんでした。

●欧米の金融政策正常化の道のりは織り込み済み

 一方、日米欧の金融政策決定会合については、現状維持が既定路線となっている日銀を除き、今後の金融政策におけるFRBとECBのスタンスに耳目が集まりました。FOMCメンバー15人によるFF金利見通しでは年内利上げ回数が、これまでの3回から4回に変わりましたが、内訳をみると前回3月時点では年3回を予測していたメンバーが8人で4回が7人だったのが、今回は3回予測が7人、4回が8人ということで、わずか1票の入れ替わりが利上げ予想シナリオの変更につながったということになります。この年3回から4回への変化のプロセスにはほとんどカロリーが伴っておらず、米株市場もこれに振り回される要素は少なかったといえます。いずれにしても利上げは強靭な米経済の裏返しであり、年内の引き上げ回数に対する思惑が、業績相場の只中にある今の米株市場にとって足かせとはなりにくい状況にあります。

 一方、ECB理事会では年内の量的緩和終了を決定。これは個人的には意外な感じがしましたが、同時に来年の夏までは利上げしないとのガイダンスが効力を発揮、引き上げまでのモラトリアムの“お墨付き”を好感する形で欧州株が上昇したことから、これも結果オーライだったことになります。

●米中貿易の“摩擦”が“戦争”になるかの見極め

 しかし、重要スケジュール通過後に視界が晴れたかといえば、残念ながらそうはなりませんでした。

 当コーナーでは6月相場は高いという見方を示していましたが、現時点で思惑通りには進んでいません。2万3000円台を地相場とするには程遠く、むしろ2万2000円ラインを下回る可能性すら意識される地合いで、これは正直想定外でした。

 米中貿易摩擦の問題は常にくすぶってはいましたが、2000億ドル相当の輸入品を対象とした追加関税に言及したトランプ発言が、中国側の報復関税の可能性も含め思った以上に投資家のセンチメントを揺るがす格好となり、前日(19日)の日経平均株価はもんどり打つように下落、400円安という派手な下げに見舞われました。NYダウもそれに合わせたように一時400ドル強の下げをみせ、世界株安連鎖の始まりを想起させましたが、きょう(20日)の東京市場は前日の空売り分の買い戻しも作用して切り返しに転じる格好となっています。

 問題は米国と中国の間で激化する貿易摩擦が本格的な貿易戦争へと発展するかどうかです。ひとつ言えることは、6月の重要日程をこなした時点で相場はしっかりしていたことが証明するように、今はトランプ米大統領の保護主義路線だけが株安の元凶となっているということ。トランプ氏のツイッターなどにリンクさせたアルゴリズム取引なども相場の撹乱要因となっています。確かに米中の公式発表を含め我々の目に触れるコメントだけを見ると危機感を禁じ得ませんが、このまま行けば共倒れになることは自明、水面下では米中2国間で落としどころを探る方向で政府関係者が膝を突き合わせていることは容易に想像がつきます。今の地合いは、ヘッジファンドなど売りから入っているところも多いはずで、それだけ買い戻し圧力も潜在していることになり、過度な悲観は相場を読み違えます。

●物色意欲消えず、メルカリが待機資金呼び込む

 現時点でも売り一色という展開ではありません。電機や精密、機械など輸出セクターは買われにくい半面、内需の好業績株やテーマ株に資金シフトが促されていることで相対的に上がりやすい銘柄も出ています。足もと大豆価格の急落などを背景に強い値動きをみせる食品株などはその典型で、エレクトロニクス関連とは明らかに色彩を異にしています。相場はバランスを崩しているけれど、理に忠実な値動きをしており、自律神経が失われているわけではないのです。

 また、今週は鳴り物入りで東証マザーズに上場した“和製ユニコーン”のメルカリ <4385> [東証M]に人気集中、公開価格3000円に対し66.7%高の5000円で初値をつける人気となりました。上場2日目は売りに押されましたが、投資家マインドが冷え切っているわけではなさそうです。時価総額ではこれまでマザーズのトップだったミクシィ <2121> [東証M]が20日終値現在で2350億円強、対してメルカリは6700億円強と群を抜く存在となっています。ちなみに、これは東証1部では西武ホールディングス <9024> やディスコ <6146> 、博報堂DYホールディングス <2433> などと肩を並べる時価総額です。

 メルカリは前期実績ベースで赤字ながら成長期待が強く、特に海外投資家からの評価が高かったと聞いています。赤字ゆえに株式指標面ではPERではなくPSR(株価売上高倍率)がモノサシに使われ、5000円で換算すると18倍強。これは、よく引き合いに出されるスタートトゥデイ <3092> の約2倍の水準に評価されている計算となります。しかし、これからの売り上げの伸びしろに対する思惑を考慮すれば妥当性があると考えています。

●内需の好業績テーマ株に照準合わせる

 メルカリのセカンダリーで回転が効くか否かは新興市場への資金還流という面で重要視されますが、仮に上値が重いケースでもいったん引き寄せた個人投資家の資金が離散するわけではありません。

 それではここでの最強の選択肢は何か。基本的には内需系の銘柄で業績内容の良いもの。そしてテーマ性を携え、チャート好形の銘柄が理想です。

 内需株という切り口で見た場合、物色の手掛かりとなるのは政府が直近閣議決定した骨太の方針で掲げる「政府4計画」。社会保障の歳出改革という難しい問題に直面するなか、安倍政権では今回の骨太の方針でプライマリーバランスの黒字化目標年度を20年度から25年度に遅らせています。具体的な解決へのシナリオを棚上げした形での後ろ倒しに対する批判も根強いようですが、少子高齢化の問題は、掛け声だけの成長戦略でクリアできるほど簡単なものではないということは現政権もよく認識しているはずで、それが“本気の政策”として株式市場にも反映される可能性があります。

【アルバイトタイ、ソースネクストは国策に乗る】

 政府4計画では人手不足への対応を重点課題とし外国人の受け入れ拡大などがひとつの目玉となっていますが、そこで、まず注目したいのは人材関連株。特に穴株としてアルバイトタイムス <2341> [JQ]をマークしたい。同社は静岡県を地盤に無料求人情報誌や求人情報サイトなどを運営していますが、外国人採用支援サービスを展開していることはポイントで国策に乗る銘柄として人気化する公算があります。上ヒゲを形成しやすい銘柄ではありますが、6月6日以降は明らかに売買高に変化がみられ、うねりを伴う相場に発展しつつあるようです。

 また、官民を挙げてのフォローが必須となっているサイバーセキュリティ関連ではソースネクスト <4344> に注目。パソコンソフトを開発販売しており、 セキュリティ関連では高評価が定着している「ZEROウイルスセキュリティ」を展開。同製品の搭載エンジンが4月実施のAV-Comparativesのパフォーマンステストで世界18製品中、第1位を獲得しています。また、通訳機「ポケトーク」は増勢の続く訪日外国人の接客ツールとして評価され、その観点からも“観光大国日本”を目指すアベノミクス戦略に乗る銘柄といえます。

IoT支える図研、仮想通貨でマネックス浮上】

 あらゆるものをオンラン化するIoT社会では、ハード面からその底辺を支える プリント基板の関連メーカーにもビジネスチャンスが訪れます。その本命格の一社ともいえるのがプリント基板用CAD/CAMで国内トップの図研 <6947> 。プリント基板用CAD/CAM市場は拡大一途にあり、同社の業績も成長路線を邁進。本業のもうけを示す営業利益は18年3月期に27%増の20億2500万円、19年3月期も24%増の25億円を見込むなど絶好調です。

 信頼回復への第一歩を踏み出した仮想通貨関連の切り口ではマネックスグループ <8698> が相場となりそうな気配です。ここビットコイン価格が下落基調にありましたが、こういう不人気の局面が買い場となっていることが多い(あくまでこれはビットコインではなく関連株についての話ですが)。仮想通貨は顧客の資産保全や価格形成の透明性などが大きな課題となっています。そうした折、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が自主規制ルール案をまとめており、これに伴い財務基盤の強い企業が優位性を発揮することが予想されます。同社はその意味で再浮上の機をうかがう場面。日々公表銘柄指定とはいえ、東証信用残、日証金ともに株式需給面での取組妙味が光ります。

【ディア、ファインデクス、トレンダーズも注目】

 インバウンド需要などを背景に不動産流動化ビジネスにも光が当たっています。そのなか、株価位置的に底値圏で仕込み妙味を漂わせているのがディア・ライフ <3245> です。同社は投資用マンション開発を手掛けるほか、モデルルームなどへ販売人材の派遣も展開しています。先の日銀金融政策決定会合でも低金利環境の継続が確認されており、PER9倍の時価近辺は見直し買いの対象となります。今18年9月期最終利益は前期比58%増の19億5000万円と高い伸びが予想されていますが、直近「田端プロジェクト」と称する販売用不動産の売却に成功、今期(第4四半期)に売り上げ計上する見込みでさらなる業績上振れ期待があります。

 このほか、“強い株につけ”を実践するなら、医療用汎用ファイルシステム(画像や文書のデータ管理システム)を手掛けるファインデックス <3649> や、インスタグラムを活用した企業向けマーケティング支援事業を行うトレンダーズ <6069> [東証M]に注目。いずれも25日移動平均線をサポートラインとする上昇波に崩れがみられない業績好調銘柄として、有力な追撃買い対象といえます。

(6月20日記、隔週水曜日掲載)

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