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【特集】“J-Startup”企業に注目、世界で勝てる銘柄を追え <株探トップ特集>

「企業価値10億ドル以上のユニコーンもしくは上場ベンチャー企業」を2023年までに20社創出することが政府の目標。

―メルカリも選ばれた支援プログラム、“特待生”認定でさらなる成長へ―

 フリーマーケットアプリ最大手のメルカリ <4385> [東証M]が19日、東証マザーズ市場に新規上場した。初値は公開価格を66.7%上回る5000円と、世界で戦える「ユニコーン」として投資家の期待の高さが示されたが、一方でグローバルに活躍する国内ベンチャー企業はまだ一部にとどまっている現状がある。そこで注目したいのが、経済産業省主導で11日に始動したスタートアップ企業集中支援プログラム「J-Startup」に選ばれた銘柄群で、メルカリなどが名を連ねている。

●政府目標、23年にユニコーン20社創出

 J-Startupとは、経産省を中心に日本貿易振興機構(JETRO)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が共同運営するスタートアップ企業の支援プログラムの総称。世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供することを目的としており、国の政策資源などを集中的に投じることで、政府が掲げる「企業価値または時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)もしくは上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出」との目標を実現させる取り組みだ。

 J-Startupプログラムでは、トップベンチャーキャピタリストやアクセラレーター、大企業のイノベーション担当などが、国内のスタートアップ企業の約1万社のなかから一押しの企業を推薦し、外部審査委員会で選ばれた企業を“特待生(J-Startup企業)”として認定。J-Startup企業は、国などの認定を受けたベンチャーキャピタル(VC)を通じたファイナンス支援や、規制のサンドボックス(革新的な技術やサービスの実証実験の規制緩和)、イベント出展などの海外展開支援といった政府のサポートのほか、J-Startupのサポーターとして参加しているVCや大企業などから協業機会や実証実験場の提供、アクセラレーションプログラムなどへの参加優遇などを受けることができる。こうした官民一丸となった後押しにより、J-Startup企業はさらなる成長が期待でき、選ばれた上場企業には注目しておきたい。

●クラウドワークス、クラウドソーシング国内最大級

 クラウドワークス <3900> [東証M]は、仕事の依頼主とそれを請け負う個人(クラウドワーカー)をインターネット上でマッチングし、仕事の受発注ができる国内最大級のクラウドソーシングプラットフォームを提供。4月末時点でグループ累計193万人以上のクラウドワーカーを擁している。新しい働き方を選ぶ個人が増加するなか、同社の18年9月期第2四半期累計の連結営業損益は3700万円の黒字(前年同期は2億4100万円の赤字)に浮上しており、今後も目が離せない銘柄のひとつだ。

●ユーザベース、2つの経済情報サービスを運営

 ユーザベース <3966> [東証M]は「経済情報で、世界をかえる」をミッションに、企業・業界情報や統計データを束ねる情報プラットフォーム「SPEEDA」事業でアジアに、ソーシャル機能も兼ね備えた経済ニュースプラットフォーム「NewsPicks」事業で米国に進出している。両事業の足もとは、ともに好調で、18年12月期第1四半期の連結営業利益は2億2600万円(前年同期比61.1%増)に達している。

●マネーフォワード、FinTech関連銘柄の雄

 マネーフォワード <3994> [東証M]は、FinTech(金融とテクノロジーを組み合わせた造語)関連として株式市場での注目度が高い企業。自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」と、ビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」が主要サービスとなっている。18年11月期第1四半期の連結営業損益は1億2300万円の赤字(前年同期は5億6200万円の赤字)に縮小しており、7月17日に予定される第2四半期決算に期待が集まる。

●すららネット、代表的なEdTech関連銘柄

 すららネット <3998> [東証M]は、小・中・高校生向け対話型ICT(情報通信技術)教材「すらら」の開発・提供を通じて教育支援を行う、代表的なEdTech(教育とテクノロジーを組み合わせた造語)関連銘柄。学習塾と学校、海外をあわせた「すらら」導入校は3月末時点で847(17年12月末は717)と順調に伸びており、18年12月期第1四半期の単独営業利益は4100万円(前年同期比40.5%増)となった。

●ラクスル、5月31日に東証マザーズへ新規上場

 ラクスル <4384> [東証M]は、5月31日に東証マザーズ市場に新規上場したばかりで、クラウド型ネット印刷通販サイト「ラクスル」や、荷物を送りたい顧客と運送会社のドライバーをマッチングしてインターネット上で荷物の配送予約から支払いまでを行う物流シェアリングプラットフォーム「ハコベル」などを運営している。18年7月期第3四半期累計の単独営業損益は5600万円の赤字ながら、会社側が公表している前年同期(8億8600万円の赤字)からは赤字幅が大幅に縮小している。

●リプロセル、iPS細胞関連のバイオベンチャー

 リプロセル <4978> [JQG]は、iPS細胞関連の研究試薬などを手掛けるバイオベンチャー。体性幹細胞を用いた脊髄小脳変性症を対象疾患とする治験を国内で18年中に開始することを目指しているほか、中枢神経領域の疾患を対象としたiPS細胞由来の神経グリア細胞開発に関する米企業との共同研究などを行っている。今19年3月期は研究支援事業の拡大などにより、営業損益は7億5700万円の赤字(前期は10億2500万円の赤字)が見込まれている。

●ペプドリ、CYBERDYNEなども注目

 このほかにも、ミドリムシを活用したバイオ燃料の研究開発に注力しているユーグレナ <2931> 、独自の創薬開発プラットフォームシステムを持つペプチドリーム <4587> 、インターネット広告技術の開発やコンサルティングなどを手掛けるFringe81 <6550> [東証M]、装着型のロボットスーツ「HAL」を開発・販売するCYBERDYNE <7779> [東証M]がJ-Startup企業に選定されている。

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