【特集】伊藤智洋が読む「2018年後半シナリオ、1月高値は越えられるか」 <GW特集>
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
●今年前半と類似のケースは過去7例
本年の日経平均株価は1月23日に戻り高値2万4129円をつけて、3月26日の安値2万0347円をつけるまで、3782円幅の下げを経過しています。
日経平均の年間の変動幅はおおよそ4000~6000円程度なので、本年はすでに年間の変動幅の大部分を下げ方向で使ってしまっている格好になっています。
1990年以降で、同じように1月から値幅と日柄の伴った下げの流れを作っている年は、1990年、1992年、1995年、2001年、2003年、2008年、2016年が挙げられます。
年明け後の株価が3月頃まで大きく下げる動きは、上げやすい時期に積極的な買いが入らない弱さを示しています。
上に挙げた過去7回のケースでは、2003年以外が共通した展開となっています。それは、上昇しやすい4月にいったん値を戻す展開となって、4月から6月の範囲で戻り高値をつけて、その後の下げで4月までにつけている安値を割る展開です。
2003年だけは3月に押し目底を確認して、そのまま上昇の流れへ入っています。この年は、経済全体に対する刺激策を以前から実施していて、その中で株価の上値を重くする要因となっていたりそな銀行の救済措置が発表されたことで、株価はすぐに上昇を開始しました。2003年は、株価の下げ要因がはっきりしている状況で、それを直接取り除いたという経緯があり、本年とは異なるケースであると判断します。
●2万2500~2万3000円で戻り高値を確認か
年初に株価が下げて、その下げが2月、あるいは3月まで継続して、値幅の大きな下げ場面になるような年は、最も買われやすい時期に積極的な買いが入り難い状況を示しています。そのような状況があるのですから、6月から9月までの下げやすい時期に、株価が上昇を開始する理由がありません。
9月以降は、政策等を考慮して翌年を見据えた買いが入ることも考えられますが、それまでの期間、積極的な行動があらわれにくいのは当たり前です。
株価は4月までに押し目をつけて、上げ傾向のある4月に上昇します。その上げは、4~6月の期間で戻り高値をつけて、再び下値を掘り下げる動きになります。
過去の経験則を考慮すると、本年の3月26日以降の上げ局面は、押し目をつけた後の上昇ではなく、季節的な動き、下げるまでの時間待ちの状態だと推測できます。
前述した通り、本年は上げやすい時期を前に年間の変動幅に近い値幅分の下げがあり、1月の高値が越えられない壁になっていることを示しています。
1月の高値水準に戻す場面があったとしても、それは来年に向けた動きだけだと考えられます。本年は上げられない場所がはっきりしています。
3月26日からの上昇は、日柄と値幅を伴って上げ方向に強い動きになっていますが、1月高値の2万4129円へ届かないことが明確なので、その手前の壁である2万3000円以上を積極的に目指す展開にならないと考えられます。
だとすれば、今後は下げ過程で大きくギャップを開けた地点となる2万2500円から2万3000円の範囲で戻り高値を確認して、5月以降、再び下降を開始して、3月26日の安値2万0347円以下を目指す動きになると考えられます。
(5月1日 記)
情報提供:パワートレンド=伊藤智洋のPower Trend
【伊藤智洋 プロフィール】
1996年に投資情報サービス設立。メールマガジン、株価、商品、為替の市況をネット上で配信中。https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046014172/kbtn-22/ref=nosim/ 「株の値動きは4回のうち3回当てられる」(KADOKAWA)など著書多数。
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「儲かる! 相場の教科書 ローソク足チャート 究極の読み方・使い方」(日本実業出版社)。
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