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【特集】キャッシュレス化で商機! 出番到来の「QRコード」関連株 <株探トップ特集>

経済産業省が掲げる「キャッシュレス・ビジョン」がQRコード決済の急速な進展を促すことに。

―膨大な現金流通コスト解消、インバウンド対応でもニーズ―

 店舗などでの支払い時に現金を使わない“キャッシュレス化”の動きが加速しそうだ。経済産業省は11日、2025年までに電子マネーやモバイルウォレットなどで支払うキャッシュレス決済の比率を現状から倍増の40%に高めることなどを掲げた「キャッシュレス・ビジョン」を発表した。同省は今後「キャッシュレス推進協議会(仮称)」を設立し、産官学のオールジャパンで取り組むとしており、関連企業に商機が広がる。

●「キャッシュレス後進国」返上へ

 「キャッシュレス・ビジョン」の資料によると、15年時点のキャッシュレス決済比率は韓国が89.1%、中国も60.0%と高く、そのほか、キャッシュレス化が進展している国では軒並み40~60%台であるのに対し、日本は18.4%と大きく出遅れている。海外では金融機関や政府が主導してキャッシュレス化を進めている一方、日本は「現金主義」が依然として根強く、ATMが広く普及し現金の入手が容易であることなどが「キャッシュレス後進国」の一因となっている。

 ただ、現金決済は輸送費やATMの設置・管理費用など流通コストが年8兆円かかるとの試算もあり、金融機関や小売店などで現金の取り扱いを削減するニーズが高まっている。キャッシュレス化が普及しにくかった背景のひとつに、これを受け入れる小売店側の加盟店手数料や端末設置の負担が大きいことが挙げられるが、「キャッシュレス・ビジョン」では推進の具体的な方策として、こうした費用を対象とした補助金を付与する案に言及している。

 また、政府がキャッシュレス決済を進める理由として、現金決済に慣れていない訪日外国人の購買機会を逃したり利便性を損ねたりしかねないことが挙げられる。経産省がクレジットカード大手Visaに委託した調査では、現金しか使えないことに不満を持つ訪日外国人は4割存在するとされ、20年に訪日外国人が4000万人となった場合、現状のインフラを改善しないと約1兆2000億円の機会損失が発生すると試算している。政府が17年6月に策定した「未来投資戦略2017」では27年までにキャッシュレス決済比率を40%にすると明記されていたが、「キャッシュレス・ビジョン」では目標時期を大阪府が万博開催を目指す25年に前倒しし、さらに将来的には世界最高水準となる80%を目指すことを打ち出している。

●みずほはQRコード決済の実証実験へ

 キャッシュレスでの支払い方法には、「Suica」や「nanaco」といった電子マネーのほか、ソニー <6758> の非接触ICカード技術方式「Felica(フェリカ)」などさまざまあるが、今後さらに利用が広がるとみられているのがQRコードを使ったスマホ決済だ。QRコードはLINE <3938> の「LINE Pay」や中国で普及している「アリペイ」などで使われ、NTTドコモ <9437> も今春からスマホ決済サービス「d払い」をスタート。ヤフー <4689> は6月に「Yahoo!ウォレット」にQRコードを読み取ってスマホから決済できる機能を追加する予定で、大手銀行でもみずほフィナンシャルグループ <8411> が6~7月にかけてQRコード決済の実証実験を福島県富岡町周辺で行う計画など注力姿勢をみせている。

●ビリングシス、メディアS、メタップスなど注目

 今後、QRコード関連株が物色される機会は増えそうで、QRコードをベースにしたスマホ決済ツール「PayB(ペイビー)」を展開するビリングシステム <3623> [東証M]、QRコードを活用した電子通貨サービス「MONEY EASY(マネーイージー)」を手掛けるアイリッジ <3917> [東証M]、QRコードの読み取りアプリを扱うメディアシーク <4824> [東証M]、子会社がQRコードを用いたデジタルウォレット「pring(プリン)」を提供しているメタップス <6172> [東証M]、子会社がモバイルペイメント対応マルチ決済端末を販売しているテクノホライゾン・ホールディングス <6629> [JQ]、バーコードリーダー大手のオプトエレクトロニクス <6664> [JQ]、銀行口座直結型スマートフォン決済サービスの提供を目指しているエムティーアイ <9438> などに注目。

 SKIYAKI <3995> [東証M]はイベント会場での利用などを想定したスマホ決済サービス「SKIYAKI PAY(スキヤキペイ)」のiOS版を2月に、Android版を3月にリリースした。

●イオンはVisaのタッチ決済を導入へ

 現金以外の決済手段では現在、クレジッドカードも多く使われており、イオン <8267> は16日、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(東京都千代田区)とキャッシュレス決済で連携すると発表。19年3月から20年3月にかけて、全国のスーパーやドラッグストアなどグループ各店舗約10万台のレジに、Visaのタッチ決済が可能な端末を順次導入し、訪日外国人に対応する構えだ。

 また、さまざまなカード決済に加え、国内外で普及が進んでいる非接触型ICクレジットカードにも対応できる据え置き型マルチ決済装置「インクレディスト・トリニティ」を7月に発売するとしているフライトホールディングス <3753> [東証2]も見逃せない。

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