【市況】新興市場見通し:不安定な相場の影響を受けにくい小型株やIPO銘柄に物色、5社上場
マザーズ指数 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の新興市場では、国内外の政治リスクなどが警戒され、週初からマザーズ指数や日経ジャスダック平均が大きく下落してスタートした。その後は値ごろ感から押し目買いが入り、底堅さを見せる場面も見られた。しかし、3月23には米中貿易摩擦への懸念などから日経平均が前日比で一時1000円を超える下落となり、新興市場でもリスク回避の売りが強まった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-4.9%であったのに対して、マザーズ指数は-6.3%、日経ジャスダック平均は-4.0%だった。
個別では、ミクシィ<2121>が週間で7.2%安、サイバーダイン<7779>が同3.6%安、そーせいグループ<4565>が同5.3%安となり、マザーズ時価総額上位は全般軟調だった。PKSHA Technology<3993>は同19.2%安となったが、米国の自動運転車による死亡事故の影響を懸念する向きがあったようだ。売買代金上位では前週上場のフェイスネットワーク<3489>などが大きく売られ、同じく直近IPO銘柄のMマート<4380>が週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、メディアシーク<4824>などが逆行高となり、週末にストップ高水準まで買われたアイティメディア<2148>が上昇率トップだった。合弁会社設立が材料視された。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同12.6%安と軟調だった。ただ、日本マクドナルドHD<2702>やセリア<2782>は円高によるメリットが意識されて底堅い展開だった。売買代金上位では明豊エンタープライズ<8927>が決算発表後の材料出尽くし感などから大きく下げ、週間のジャスダック下落率トップとなった。反面、免疫生物研究所<4570>などが買われ、ジェイテック<2479>が上昇率トップだった。ともに新製品発売が材料視された。IPOでは5社が新規上場し、SOU<9270>などが公開価格を上回るしっかりした初値形成となった。3月23日上場のファイバーゲート<9450>は買い気配のまま初値持ち越しとなった。
今週の新興市場は、引き続き不安定な展開となりそうだ。前週末の米NYダウは400ドルを超える下落となり、週初は外部環境への警戒感からリスク回避の動きが続きそうだ。その後は自律反発が意識される場面もあるだろうが、国内外にリスク要因が多く、積極的な買いは手掛けづらい。物色の向かう先は相場全体の地合いの影響を受けにくい小型株や、人気の根強いIPO銘柄などに限られそうだ。
前週末には為替市場で1ドル=104円台まで円高が進み、マクドナルドHDやセリア、エニグモ<3665>といった円高のメリット享受が期待される銘柄が買われる場面があった。為替の円高推移が続くなか、引き続きこうした銘柄の動向をマークしておきたい。また、27日は3月末の権利付最終売買日となり、配当や株主優待取りの動きも出てくるだろう。なお、今週は3月29日に夢の街創造委員会<2484>、GameWith<6552>、NaITO<7624>、30日にパレモ・HD<2778>などが決算発表を予定している。
IPO関連では、RPAHD<6572>など5社が新規上場する。3月27日上場のRPAHDは公開規模がマザーズ上場案件としてはやや大きいが、RPA(業務自動化)関連などのテーマ性で人気が高いようだ。その後上場する4社は公開規模が小さく、初値を飛ばしそうだ。なお、先週はアイペット損害保険<7323>(4月25日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されており、4月のIPO件数は計8社となった。
《FA》
提供:フィスコ