【市況】国内株式市場見通し:日経平均20000円大台意識か
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■貿易摩擦の拡大懸念と円高を嫌気して全面安
先週の日経平均は急落し昨年来安値を更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)は21日、政策金利を0.25%引き上げ、1.5%から1.75%とする今年1回目の利上げを決定した。懸念された利上げペース加速の可能性についても年内の回数は、前回と同じ「3回」が委員の中心予想となった。ひと先ずの安心感が広がったのも束の間、貿易戦争の拡大懸念が、新たな相場の火種となった。米トランプ大統領が大統領令により、ライトハイザー米通商代表部(USTA)代表に中国製品への関税賦課を指示。これを受けて中国商務省は米国からの鉄鋼や豚肉、果物、ワインなどの輸入品に相互関税を課す計画を発表した。22日の米国株式市場は、米中貿易摩擦の激化懸念からNYダウが724.42ドル(2.9%)安と急落。外国為替市場ではリスク回避的な円買いに振れ1年4か月ぶりに1ドル104円台への大幅な円高を見た。リスク回避の株安は東京株式市場にも波及し、23日の東京株式市場は全面安。日経平均は終値ベースで2月6日の1071.84円安に次ぐ今年2番目の下げ幅となる974.13円安(4.51%安、一時1032.38円安)となり、3月5日の昨年来安値を大きく割り込んだ。
■日経平均20000円大台意識か
23日のNYダウは中国による米国債購入の減額検討や、ロシアの報復措置といった報道を受けて424.69ドル安の23533.20ドルとなった。米国市場動向と為替睨みで週の前半は引き続き軟調な地合いを引きずりそうだ。また、23日のCME225先物は大証日中終値比180円安の20170 円(配当分考慮で約20330円)となっており、日経平均は20000円の大台を意識する神経質な展開ともなりそうだ。急激な円高は、輸出採算悪化を連想させる外需関連セクターに対する来期収益見通しに懸念を高めて、売りが先行する展開が予想される。テクニカル的にも、日経平均の13週移動平均線が26週移動平均線を下回るデッドクロスも今週表れる見込みで、日経平均20000円ラインも視界に入り、センチメント的に押し目買い意欲が後退しやすい。仮に、日経平均20000円割れとなれば、ザラ場・終値ベースともに昨年9月15日以来となる。
■決算対策売り一巡、配当再投資の動きも
一方、需給面での光明も有る。一部の国内企業では、金利上昇と円高によって外債の含み損が膨らみ、外債売りは円高圧力に作用していた。こうした決算対策売りは28日の実質年度替わりで一巡する。また、3月期決算企業の「配当落ち分の再投資の動き」が加わってくる期待がある。今3月期末の配当総額は過去最高の13兆円とも試算されている。こうした買いは国内機関投資家にとどまらずに、海外機関投資家も同様。外国人投資家が月間ベースで17年連続して4月に買い越していることも材料視されている。今週は30日に年度最終日となるが、急激な下げからくる自律反発的な戻りと3月決算企業の配当、株式分割、株主優待の各種権利取り最終日を27日に控えた買いは限定的ながら、需給面での変化が週半ばあたりからみられそうだ。
■27日に衆議院証人喚問、期待のIPOも登場
政治スケジュールも1つのヤマ場を迎える。衆院予算委員会において27日午後2時から2時間10分の予定で行われる佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問(参院予算委は27日午前に2時間)で新たな問題が生じなければ、燻っていた政局リスクが一時的に後退して、週後半の相場に短期的なアク抜け感が台頭する可能性もある。また、27日には東証マザーズに前人気が高い期待のIPOであるRPAホールディングス〈6572〉、28日にはアジャイルメディア〈6573〉が登場する。RPAホールディングスは事務作業代行ソフトウェアの販売等を行うロボットアウトソーシング事業を展開。アジャイルメディアはソーシャルメディアや体験を通じた分析サービスを事業化している。なお、この他のスケジュールとしては、日本では29日に2月の百貨店・スーパー販売額、30日に2月有効求人倍率・失業率、2月鉱工業生産・速報値が発表され、米国では28日に10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、確定値)、29日に2月個人消費支出・個人所得が発表され、30日はグッドフライデー(聖金曜日)で株式・債券・商品市場が休場となる。
《FA》
提供:フィスコ