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【特集】ジェネパ Research Memo(6):マルチチャネルの構築サイトでリスクを分散し、日本商材を拡販

伊藤忠 <日足> 「株探」多機能チャートより

■中国越境ECの現状

2015年11月に、当時上海市政府出資企業が運営する「KJT.com」に、日本企業としてコンソーシアム参加・出店しスタートした中国越境EC事業だが、2016年4月8日に改正された新税制の影響で、輸出入業者を始めオペレーション上の混乱が生じた。中国政府は当面の混乱を鎮静化させるために、2度にわたり新税制の適用を保留することとし、現在では2018年末までの延期を発表している。2017年11月には、中国政府は消費財の輸入関税引き下げを発表するなどの動きもあったが、全体的にはいまだ流動的な状況のようである。また、KJTは5者によるコンソーシアムでスタートしたが、上海市政府と協業予定にあったCPグループ、伊藤忠商事<8001>、 中国移動通信集団公司、中国中信集団有限公司各企業のKJT事業への参画が白紙になったことにより、KJTの集客施策が計画どおりにいかなくなり、上海市政府はKJTを香港の民間企業であるKing Wai Groupに売却した。このため、KJTにあったジェネレーションパス<3195>のすべての在庫について、2017年10月期で100%の評価減を実施した。

また、同社が出店した上海の「KJT.com」は一般商業貨物の間接貿易モデルであるが、直接貿易型モデルとして2016年8月に北京の通信会社でECサイトの構築会社であるMNCと資本業務提携して「洋桃派」※でサービス開始、同年9月には中国最大のECモールTaobaoに出店するなど、マルチチャネル化によってリスク分散を図っている。保税区モデルは中国国内に在庫を保有するので、注文後短納期でユーザーに配送できるが、在庫リスクが日本側にあるので売れ筋商品に限定される。一方、直接貿易型モデルは日本側からの配送のためデリバリーに時間を要するが、在庫リスクはなく、日本で流通するほぼすべての商材が対象にできる。中国での売れ筋商品としては、おむつ、台所用品、その他日用品などが多いそうだが、野菜を洗う洗剤など中国独自の慣習によるものもあるとのことである。

※「洋桃派」については、その後現地運営企業がサイトをクローズしたことを受け、現在では取引が中止されている。


なお、同社グループは、今後も拡大する越境EC事業について、株主であるCPグループの協力のもと、積極的に継続していく方針に変更はないとしている。

いずれにしても、中国の中間所得層の旺盛な購買意欲は今後も衰えることはないものと考えられ、一時的な運用の混乱は生じても、越境EC事業は今後とも大きく拡大していくことが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)

《HN》

 提供:フィスコ

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