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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「過熱に冷や水」

株式評論家 富田隆弥

◆マネーゲームと化していた 仮想通貨(ビットコインなど)が、懸念の如く年明けから波乱になってきた。日本の若者が熱中していた仮想通貨だが、先物市場が12月にスタートし、海外勢がそこを使って仕掛けてくることが心配されていた。株をやっている自分には関係ない…、そう思う投資家もいるだろうが、仮想通貨の急落で損失を被ったのは若者や個人投資家だけではない。運用先に苦慮していた機関投資家も参戦していると思われる。機関投資家の損失状況が今後明らかになると、金融市場全体の「信用不安」につながらないとも限らない。機関投資家や運用のプロたちはいまあらゆるマーケットに資金を振り向けているので、株式以外のマーケットにも目配りは必要だ。

◆日本株はまだ高値圏にあり、市場関係者にも強気派が依然多くいるようだ。その理由の一つは言うまでもなく「NYダウ平均」の上昇であり、17日現在2万6115ドルと最高値を更新している。ただ、年初から1396ドル(5.64%)という急上昇で、テクニカルは過熱を強めている。好景気、好業績の後押しがあるとはいえ、カネ余りを背景とした需給相場であることも否めない。相場は「流れに従う」のが基本だが、過熱を無視しての「でき過ぎ、やり過ぎ相場」には限界があり、その後の反動にも要注意となる。

◆さて、日経平均株価だが、18日は26年2ヵ月ぶりとなる2万4084円まで上げたものの、終値は104円安の2万3763円と反落した。高値圏だけに乱高下はつきものだが、利食いの動きが出やすくなっていることも事実。その売りの主体は外国人投資家だ。1月第1週は4日、5日の2日間で6870億円(現物+先物)も買い越したものの、第2週は一転して1兆150億円と大きく売り越しである。

◆強気観測の理由には景気回復、好業績もある。だが、為替が110円に迫る円高となり、業績やEPS(1株あたり利益)に対する過剰期待は注意信号を灯してきた。日銀の金融政策(出口論)も今後の焦点となろう。

◆NYダウをリード役に世界同時株高で始まった1月。さらに原油(WTI)や金などコモディティ市場も上昇するなど、あらゆる市場が上昇して「買い人気」に片寄った1月。だが、1月も半ばを過ぎ、勢いに陰りが出てくれば「利食い」が出てくるのも当然。そして、大きく上げて高所にきている相場だけに、調整もそれなりに大きくなることは想定しておくべきだろう。ここからNYダウ、日経平均の調整の入れ方が注目される。

(1月18日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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