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【特集】2018年は“原油高”復活の年? 出そろった上昇への条件 <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司

―検証・2018年原油相場、上昇軌道が鮮明になる時―

●協調減産の行方はロシアが鍵握る

 来年の原油市場は戻り局面が本格化しそうだ。米国のシェールオイル革命による供給過剰を背景として、ニューヨーク市場で指標原油のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は100ドル超の水準から下落し、2016年2月には26.05ドルまで一段安となった。振り返ってみれば、2017年は原油価格が回復するための足場が形成された一年だったといえる。

 原油価格の回復を見通すうえでの支柱は、世界的に過剰な石油在庫の減少傾向である。「在庫減=原油高」のパターンが来年にかけて鮮明になると思われる。原油高をもたらしている主要なテーマが在庫減であるとの認識が浸透していけば、上昇トレンドが顕著になると期待する。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国の10月の石油在庫は29億4000万バレルと、2015年7月以来の低水準まで縮小した。石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの産油国が協調減産を続けている一方で、景気拡大によって世界的な石油需要は伸びており、需給は明らかに引き締まっている。OPECなどの産油国は過去5年平均の水準まで石油在庫を縮小させようとしており、この達成時期や原油価格、出口戦略の内容に関する思惑が原油高トレンドの向かい風となって現れるだろう。協調減産の行方次第では、原油高は一巡すると思われる。

 OPECやロシアなどによる協調減産は2018年末まで継続することで合意に至っているものの、来年6月のOPEC総会で協調減産の期間や規模の見直し作業が行われる見通し。報道を見る限り、ロシアが協調減産の長期化に反対しており、過剰在庫の減り具合によっては大幅な修正が加えられそうだ。協調減産の先行きが不透明となるなら、原油高の推進力は失われる。ロシアが協調減産の早期終了に傾くなら、視界が一変するだろう。

●来年前半にかけて原油価格は上昇

 来年は協調終了後の出口戦略に焦点が移る。出口戦略によって、各国の生産量を調整しつつ、本来の水準に戻していく段階に向かうが、「出口戦略=供給増加」であり、原油価格を抑制する可能性が高い。ただ、OPECを中心とした産油国がシェールオイルに対抗するための措置を導入するならこの限りではない。

 原油高が続くようだと、米国のシェールオイル生産が一段と増加し、原油高のブレーキとなり得る。シェールオイル増産によって米国の原油生産量は増え続けており、来年には日量1000万バレルの節目を超えるのはほぼ確実である。この水準はサウジアラビアやロシアなど、産油大国とほぼ同等。シェールオイルの増産が続くなかで、中東やロシアが生産制限を解除すると、供給過剰に逆戻りするリスクがある。

 各国の供給拡大が懸念されるとはいえ、来年前半にかけて原油価格は上昇軌道を描くと思われる。WTIで、2014年6月高値と2016年2月安値の半値戻しである66.89ドルはおそらく通過点だろう。61.8%戻しの76.53ドルは意欲的な目標値として視野にいれておくが、達成は難しいと思われる。70ドルの節目を上回った後、伸び悩む展開が本線か。年後半はOPECやロシアなど主要産油国の決定次第である。

 ビットコインなど仮想通貨への資金流入が示すように、主要国の金融緩和による過剰なマネーの動きが目につくようになった。世界的な株高が続いているほか、サブプライムローン・ショックの後遺症に喘いでいた米住宅市場にも復調の兆しがある。原油相場のテーマははっきりとしており、期限付きではあるものの、資金が向かう条件は整っているのではないか。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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