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【通貨】為替週間見通し:もみ合いか、米税制改革法案審議で攻防も

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル下落、米税制改革法案の上院通過は困難との見方も

先週のドル・円は軟調推移。113円91銭から一時111円95銭まで下落した。年内の米税制改革実現に対する懐疑的な見方が広がったことから、ドルの上値は重くなった。15日発表の10月米消費者物価コア指数と10月小売売上高は市場予想を上回ったことから、ドル売りは一服したが、「モラー米特別検察官がトランプ大統領陣営のメンバー宛に召喚状を出した」と報じられたことや、「米国は北朝鮮をテロ支援国家に再指定する」との観測がドル売り・円買いを促した。

米議会下院は16日、税制改革法案を賛成多数で可決し、ドルを買い戻す動きがみられたが、ドル上昇は限定的だった。上院での法案通過には、連邦予算の赤字、ヘルスケア、税制優遇の分配問題などに対する対応策(修正案)を講じる必要があるとみられている。3名以上の共和党議員が法案に反対した場合、法案の可決は極めて難しくなることから、リスク選好的なドル買いは縮小した。

17日のニューヨーク市場では、「米議会上院の税制改革案可決は容易ではない」との懸念がさらに強くなったことから、リスク回避のドル売り・円買いが優勢となった。米国株の下落を受けて米長期債利回りが低下したこともドル売り材料となった。ドル・円は、112円69銭から111円95銭まで下落し、112円18銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:111円95銭-113円91銭。

■もみ合いか、米税制改革法案審議で攻防も

今週のドル・円はもみ合いか。トランプ政策の最重要案件である税制改革について、感謝祭前の法案成立を目指し、上院での攻防が予想される。16日までに税制改革法案は下院を通過したが、上院では修正を余儀なくされるとみられている。法案一本化に向けた調整は難航するとみられているが、政権公約である法人減税の施行時期は2018年ではなく、2019年にずれ込む可能性もある。また、2018年中の法人減税施行が決まった場合でも市場の期待を下回る内容だった場合、企業業績改善への期待は後退し、株安・ドル安の相場展開となる可能性がある。

一方、12月12-13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げは確実視されていることから、投資家の多くはここから先のドル売りには慎重。ただし、来年以降の利上げペースに関しては、経済情勢次第で金利見通しが大きく変わる可能性があるため、積極的なドル買いは手控えられるだろう。10月31日-11月1日に開かれたFOMC会合の議事要旨は22日(日本時間23日未明)に公表されるが、金利正常化に向けメンバーの見解が注目される。

また、欧州中央銀行(ECB)による金利正常化への期待は根強く、23日公表のECB理事会議事要旨(10月開催分)から早期利上げへの思惑が広がればユーロ高・ドル安が進行し、この影響でドル・円相場はやや圧迫される可能性がある。

【米・10月耐久財受注】(22日発表予定)
22日発表の米10月耐久財受注は前月比+0.3%と、前月の+2.0%を下回る見通し。コア指数は同+0.7%から+0.4%程度になる見込みだが、予想と一致した場合ドル売り要因にはなりにくい。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(22日公表予定)
22日に10月31日-11月1日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。FRBは9月のFOMCで金利正常化に向け、今年と来年の利上げ回数を3回との見通しを堅持。来年3回の利上げ観測が広がればドル買いが強まる可能性がある。

予想レンジ:111円00銭-114円00銭

《SK》

 提供:フィスコ

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